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プロローグ

第一劇 これって何よ!? 変身できるの?

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中学校の授業が終わり、かわいい顔立ちの少女が、いつもの帰り道を歩いていた。
 周りには、だれ一人、一緒に帰る友達もいなかった。
 少女は、そわそわしていた。ほわわと、ほんわかな気分だった。
 ほわわとしながら、歩いていたとき、なぜか、きらきら光る、店屋があった。
まさに、黄金の城みたいだった。
黄金といえど、金色には輝いているが、おそらく、鉄をメッキしたものだろう。
 なにかに引き込まれるように反応し少女は、ほわわと、指をくわえながら、店屋の看板を見た。
 すると、そこには電飾でほどこされている、いかにも、怪しい文字が書かれていた。

「魔法堂イブリース? あれっ? こんなところにお店あったかな?」
 少女はきらきらに負けて、怪しいと思いながらも前に歩いていく。
 ドアの前で、指をくわえ、数秒たち止まった。

「入ってみよっと」
 だが、決断は、はやかった。好奇心旺盛なのだ。
導かれるように少女は、店の中に入っていく。
 だれがみても、怪しすぎる店だったのだが。

 中に入ると、どうやら、宝石店のようで、いろんな貴金属が置かれていた。
 ガラス張りのケースにたくさん陳列されている。

「う~ん、何かきれいになれるようなものないかな? (きれいだけど、なんかみんな、高そぉ!)」

「お嬢ちゃん? 飛びっきり、素敵になれるチョーカーがあるよ」
 そのとき、店の奥から、怪しそうなかっこうをした老人がでてきた。
 ひげを生やし、髪も白髪だ。顔にしわもある。
 その老人が指差したチョーカーは、値段が100万円もする代物だった。

「えっ、わぁ、きれい。でも、おじさん、これ高いんでしょ?」
「値段をみてごらん。百万円じゃよ。だけど今日は、お嬢ちゃんが店の記念すべき来場者1000人目だから、ただにしとくよ」

 なんと、老人は百万円もするチョーカーをただでくれるというのだ。
 いかにも、あやしい。
 しかし、少女にはそんな考えは一つもなかったのだ。大人なら、まず断るだろうが。

「えぇっー、うそぉー。このきれいなハート型のチョーカーただでくれるの?」

「うそじゃないよ、ほんとに、ただだよ」
 老人は目利きをし、再三ただだと、言いはった。

「やったぁ、信じられない」
 少女の目は最高にかがやいた。ピュアな気持ちだったのだ。

「つけてみますか? 不思議なことがおこりますよ!」
 老人はそういうと、ショーケースからチョーカーを取りだした。

「まさか、超美人になれるとか、アハハ!」
 少女の喜びようは普通じゃなかった。
 うれしくて、にやけていた。
 そして、その表情をみると、老人はチョーカーを少女に手わたした。

「お嬢ちゃん、つけてみて。お嬢ちゃんの願いが本物になりますよ!」
「じゃぁ、おじさん、ここでは、はずかしいから、家でこっそりつけさせてもらいます!」
 そういうと、チョーカーを老人から受けとって、少女は背中を向けた。
 出口のところで、少女はうれしそうな顔で、老人に手をふった。

「じゃぁ、またね」
「毎度、アリガトよ、嬢ちゃん。願いが叶うゼ。また来てくれよ。どこかで会うかもしれないがな」

 少女が店を出て、老人が意味深な言葉をいうと、なんときらきらの店屋があっというまに消えてしまったのだ。いったい、これはどういうことなのだろう。

「ん? あれ、店が消えた? 変ねぇ、たしかここにあったのに? なんか最後にどこかで会うとかいってたような。ま、いっか。いいものもらったし」

 少女はほわわとしながら、首をかしげていた。
 チョーカーに釘づけだった。不思議な形をしたチョーカーだったのだ。

「夢だったのかな? でも、チョーカーがある?」
 再三、少女は首をかしげて、チョーカーをながめていた。
 たしかに、わたしてもらった、貴金属はあったのだ。

「まぁ、いいや。おかしなことおじさんがいってたけど、家に帰って着けてみようっと!」

 そういうと、少女は、その場を後にした。






☆☆
第二劇へつづく。

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