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第十章 復活されし魔神

第百三十六話 地下牢獄

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イーミ姫様たちは、ウィードの誘導の元、王の間にきていた。


 イーミ姫たち全員が膝をつき、敬礼した。


 これに、ネロ皇帝が謙遜した態度をとった。


「お会いできて光栄です、イーミ姫様」


 自らが、ソレイユの姫がきてることに感謝して、姫様のところに、歩み寄った。


 姫様は一瞬にこりと笑ったが、すぐに本題に入った。


「ネロ皇帝、早急に、対策を講じないとエトワルが滅ぼされます」


「滅ぼされる?」


「陛下!」


隣にいた大臣が陛下に口添えをした。


陛下は理解力がよく、すぐに切り返し立ち上がった。


事前にウィードが連れて行くまでに家臣に話していたものと思われる。


 ネロ皇帝は、苦渋の色に満ちていた。


「聖魔殿に伝わる聖なる心臓の魔神か。これはまた厄介だ」


「父上、軍師により、捕まったと聞いたのですが、キレオはどうなったのですか」


「幽閉されておる。地下の牢獄で生きておる。大事には至ってない。大丈夫じゃ」


「父上、元に戻られたようで、よかったです。キレオを釈放してください。鍵を僕に」


 ウィードは、安心していた。最初の言葉を聞いて、普通だと感じ取ったのだ。


 根は横柄な皇帝ではない。庶民的な皇族だ。


「よかろう。世が軍師の洗脳により、捕まえてしまったのじゃ。釈放しよう。ほかの者たちも」


いうと、ネロ皇帝は配下の者を使い、ウィードに地下牢のカギを渡した。






☆☆



 ネロ皇帝たちは、姫様たちと話をすると、すぐに、城の一番高い城壁のところにきていた。


 そこからは、大きな巨体がすぐに目に入った。


 魔神だ。まだ、だいぶ距離がある。それに魔神の移動速度は皆無に等しかった。


 人間よりも歩くのがはるかに遅かった。


 ネロ皇帝は、顔色を濁した。エトワル城の外には城下町もある。


 そのものたちまで皆殺しにされるのは予測がついた。


「あれが、例の魔神か。まさか、言い伝えだと思っていたがほんとにいるなんて、なんてことだ。こっち
に向かってきておるな」


「しかし、陛下、あのスピードなら五日以上はかかるだろうと思われます」


 側近の大臣がいったときだった。


 ネロ皇帝がウィードのほうを向き、話し出した。


「聖魔殿には魔神に関しての伝説がある」


「魔神の伝説?」


「ネロ皇帝、どういうことですか? 私たちに詳しく教えてもらえないかしら?」


 イーミ姫様は再三興味深そうな顔できいてきた。


 みな、息をのんだ。


 もしやと思ったのだ。打開できるのではと。


「聖魔殿に魔神の心臓を神玉にわけて、封印したとき、魔神を止めるのに使われたとされるのが聖魔殿のある、この城なんじゃ。世が知っているのはそこまでじゃ」


 その言葉を聞いた一同は面食らった。


「封印に使われた?」


「ウィード様、知っておられる?」


「いえ、初めてききます」


 イーミ姫様も、ウィードも真剣だった。活路を見いだせるのじゃないかと思ったのだ。







☆☆




姫様たちの話も終わり、キュラはファイたちのいる、待合室にきていた。


 そのきた瞬間、キュラたちは、すごいものをみた。


 唖然となるくらい、すごい料理を食べつくした何十の皿が目の前にあったのだ。


 ファイたちはご馳走さんの合図を目線で送った。


 そして、ファイたちにキュラがネロ皇帝のいったことの一部始終を話しした。


「そうか、なるほど」


「この城が大昔に、魔神を封印するときに使われたってわけだな」


「となると、なんらかの方法があったってことだ」


 ファイが怪訝な面持ちで言う。


 続けて、ヒョウが話し出した。


「でも、おかしい、聖魔殿は地下通路にある。いったいどうやって城が使われたんだ」


「もしかして、あの聖なる結界が関係してるんじゃ?」


 レイティスが割って入ってきた。


 近くにいたオネイロスが話し出した。


「魔神が近づくのが最大で五日くらい。最低五日は、時間があるわけだ」


 オネイロスがそういった矢先、ウィードが話し出した。


「城自体は、大昔に倒壊し、新しく建てられたといいます。魔神がいた何千年も前には存在しなかったと思われます」


「今の形ではってことか」


「そうでしょうね」


「だとすると、何か聖魔殿に鍵があるのか」


「とりあえず、聖魔殿に行ってみましょう」


ウィードの言葉を聞くと、ファイたちはウィードの後をついていった。






☆☆



 地下を歩いているところ、ウィードはまず近かったので、地下牢獄にきていた。
衛兵が敬礼をした。


 ウィードはある牢獄で歩みを止めた。


 涙目になっていた。


「よかった、キレオ、僕だ、心配したぞ」


 牢獄にいた、屈強な体格をした男は口があいてふさがらなかった。


「あなた様は、ウィード様、それにねぇさん」


「キレオ、生きていてよかった」


 サリアも涙を流していた。


 牢獄のドアを鍵であけて、三人が軽く抱き合った。


 ファイが言葉を紡いだ。


「サリアさんの家族か」


「ええ、私の一族、ネスティル家のものです」


 サリアがいったそのときだった。


 鍵をもったニミュエがウィードのところに飛んできた。



「ねぇ、ウィード様、フォライーに連行された他の者も鍵を開けて救助したよー」


「そうか。みな、苦労をかけた、すまない」


 隣の牢獄にいた老人をみやってウィードは辛そうな顔で言った。


 老人が近づいてきた。


「謝ることないですだ、なにも陛下は悪くないですだ」


「ありがとうございます、そう言っていただけるだけで、うれしいです、ご老人」


 老人の言葉にウィードはうれし涙を流した。


 人の生死がかかわっている。当然死んだ者もいるはずだ。


 そして、気を取り直してウィードは遠くを見やった。


「ここは、地下牢獄、聖魔殿は東の通路。みなさん、こっちです」


「僕についてきて」


 そうこうして、地下牢獄を後にした。


 ウィードたちは地下にある聖魔殿へ向かった。









☆☆
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