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第十章 復活されし魔神

第百三十四話 思わぬ弱点

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「(魔神よ、近くにあるのはエトワル城だ、エトワル城を破壊せよ)」


「エトワル城? また、貴様か、我は自らの意志で動く、お前の指図は受けん」


 バルバトスのドロッとした獰悪な声が響いた。


「また、誰かと話してるぞ」


「あの魔神不完全か」


「いや、誰かの意志が脳にいるのかもしれない。考えられるのは」


「フォライーか。エトワル城を知っているものとすれば」


「一理あるな。誰かの指示で、攻撃の手が止まるのは有利だ」


 そのときだった。


「ウィンドドラゴン!」


「爆裂斬(ブラストドゴール)」


「な! まずい」


DOWOOOOOONNNN!」


「ぐあぁぁあっぁ」「も、燃える」


 なんと、一瞬のうちに、ファイたちを巨大な熱量の攻撃が襲った。


 ファイたちは見事に包まれ大爆発を起こした。


 しかし、直前でウィードがあることを見越してはなっていた。


「ほう、我の一撃に耐えたか」


 バルバトスはにやりと不敵な笑みを浮かべた。


 ファイたちは地面に倒れていた。


 キュラも起き上がろうとするが、ダメージがひどい。


 ウィードが辛辣な表情でいった。かなりのダメージを受けている。


「くそ、なんて攻撃だ、咄嗟に発したウィンドドラゴンの壁を突き破ってくるなんて」


「はぁ、はぁ、だめだ、強すぎる、ウィード様の技の壁がなければ、死んでいたやもしれん」


 キュラが珍しく弱音を吐いた。


「みんな、弱音を吐くな、きっと打ち勝つ方法がある、弱点が」


 ヒョウが、みなの士気をあげようと、はっぱをかけた。


 気持ちだけはみな上向いた感じだ。表情を少し和らげた。


「しかし、装甲もあつい、手の一振りで凄まじい攻撃が飛んでくる、いったいどうする?」


ファイがいったそのとき、ウィードが釘をさした。


「みなさん、撤退して、体制を立て直すのも手です、生きてさえいれば、活路はきっと見出せます」


 思いがけないウィードの言葉に、一同が面食らった。


 ファイがウィード様のほうを向いて、ダメージがひどく、顔を上げながらいった。


「だめだ、食い止めないと、エトワル城そのものが消える。それに、エトワル城の城下町でさえもターゲットだ」


「しかし」


「ウィード様はそれでいいのか、何の罪もないエトワルの民が死ぬんだぞ」


「僕もそれはわかっている。しかし、ここで僕たち全員が死ねば、止める者がいなくなってしまう」


 ウィードがいったとき、ヒョウがあることに気が付いた。


「おい、ファイ気づいたか? あの魔神、弱点があるぞ」


「ああ、今気づいた。情緒不安定なのと、移動速度が亀並だ」


「技は強力だが、スピードがほぼゼロに近い、ここから、エトワル城までは距離が遠い、ウィード様のいうように、撤退し手立てを考えるのも手じゃないか」


 ファイが納得したような顔つきで言う。


 レギンが割って入ってきた。


「わしもそう思う。あの移動速度をみろ、亀より遅いぞ、少しなら時間は稼げる」


「不完全でよみがえったというわけか」


 キュラに少し笑顔が浮かんだ。


「ファイ、ヒョウ、レギン殿、みな、ここは私のいうことをきいてくれ、むやみに戦っても犠牲者を出す
だけだ。ウィード様がいうように時間を稼ぎ、手立てを考えよう。生憎、ここは山だ。あのスピードなら被害も最小限に抑えられる」


「キュラ様」


「一時撤退する。奴を倒す方法を探すのだ」


 キュラが再三みなに、言い聞かすようにいう。


 みな、顔を縦に振った。


「よいな、みな」


「は、キュラ様」「わかったよ」「そうするか」「おいどんも賛成どん」


「みろ、我らのことなど眼中にない。どこかへ向かっておる」


「あの方向はおそらくエトワル城」


「フォライーの悪知恵だ。奴は何千年ぶりといった。何千年も前の輩が地理を知っているはずがない」


確かにバルバトスは山の中だが、エトワル城の方向に向かって歩みを進めていた。


 そのとき、テアフレナがすでに魔法を発動させていた。


「テアフレナ」


「は、詠唱完了です、みんな、乗って」


「記憶移動魔法ですか」


 ウィードが感心したようにいう。


「とりあえずエトワル城に帰りましょう。そこで対策を練る」


「ウィード様、しかし、御父上のネロ皇帝がフォライーに洗脳されているのでは」


 近くにいたサリアがいう。


 サリアの言葉ににこりと笑い、ウィードがいった。


「サリアそれはおそらく大丈夫だろう。術者が死ねば、基本、術は解ける」


 一呼吸置き、続けて、ウィードは語りだした。


「今は父上、他の者たちも洗脳から、元に戻っているはずだ」


「そうなのか、テアフレナ」


「私もそう思います」


 術が消えることの確認を博識な神官のテアフレナにキュラはきいた。


 テアフレナが答えると、キュラはうなずき、魔法陣の中に入った。


「よし、エトワル城に向かうぞ」


そういうと、みな、魔法陣の中に入り、エトワル城に向かった。


 魔神の進行を止められるかが、カギになってくる。


 なにか奇策はあるのか、キュラの脳裏には不安が過っていた。



















☆☆
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