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第十章 復活されし魔神
第百二十六話-1 地下通路
しおりを挟む翌朝、ティアランタのアジトにファイたちは宿泊していた。
ファイが窓際であくびをしてニミュエとそこから見える魔界の巨人の亡骸をみていた。
ファイが黙り込む。
そのころ、アジトに近い高い建物の上に、獰悪なやつがいた。
フォライーだ。フォライーが建物の屋上から遠目で魔界の巨人の馴れの果てをみやった。
「ぐぬぬ、もうあと一息で壊滅といったはずが」
悔しそうな声でいうと、歯ぎしりをし、拳を握りしめた。
そして、鋭い眼光を放った。
フォライーは巨人が死んでもなんとも思わないようだった。
フォライーからすると駒にしか見えないのだろう。
仲間意識が全くないように思える。
「巨人め、しくじったな」
いうと、遠くにいるファイたちを見やった。
ちょうど、支度をしてアジトを出るところだった。
テアフレナがまた杖を立て、念じ移動魔法の魔法陣を発動させていた。
それがフォライーの目にも映った。
「なんだ、出発している、あれは移動魔法?」
そういったとき、テアフレナは移動魔法を立ち上げて、飛び立った。
ティアランタの街を後にした。
その一連の模様をフォライーはじっとみていた。
「やはり、あの方角は首都エトワル、ウィードめ、我より先について破壊しようとしているのだな、バルバトス様を。そうはさせるか。みておれ」
いうと、フォライーも空を魔法で飛んで、追いかけて行った。
追いかけていくものの、テアフレナたちを抜き去るつもりでフォライーはいた。
必ずまた、何か仕掛けてくるのは目に見えていた。
☆☆
テアフレナはティアランタを出て、ずっと移動魔法を飛ばしていた。
魔法力は長時間飛ぶほど消耗させられる。
北西の方角にずっと飛んでおり、スピードもすごかった。
この調子でいくと、昼くらいには首都エトワルにつくかというくらいだ。
そのときだった。
「あの左手側に広がる大きな川を越して見える建物の所が、首都エトワルです」
ウィードがいった。
皆、感心していた。
そして、ファイが口を開いた。
「へぇ、すごい建物だな、ウィード様あの川はなんていうのですか」
「ホーキア川です。エトワルの重要な水産物資源のある場所です」
「なるほどな」
ファイがいう。
ファイがそういった時、テアフレナが重い口を開いた。
「大きな建物が見えてきましたね。もうすぐ着きますよ」
テアフレナがそういったときだった。
ウィードが怪訝な面持ちで話し出した。
「テアフレナさん、ここで下りてもらえませんか」
「なぜです、ウィード様」
「フォライーが不在といえど、父は僕を反逆者として扱っているでしょう、フォライーの悪知恵もあるでしょうし、
それに、僕は脱出するとき、追われていた身。おそらく、指名手配されいるかと」
ウィードは懸念し、困った顔で言う。
その言葉に対し、キュラが答えた。
「なるほど、素性がばれているうえに、むやみに真っ向からエトワルに入れば、捕まるというのだな」
「そういうことです。あの山のふもとにおりてもらえないでしょうか」
「わかりました」
キュラが頷き、テアフレナに合図を送ると、テアフレナは移動魔法をふもとの上で止め、飛行高度を下げていった。
そして、みな、完全に地面に足をつけた。
テアフレナが確認すると、移動魔法を解いた。
そこは、ふもとだったが、墓のような石が沢山あった。
「ここは祠(ほこら)?」
エリューが不思議そうな顔で言う。
みな、下りたものの、気を張り巡らせていた。
いつなんどき、フォライーの刺客などに襲われるかわからなかったからだ。
ウィードが前に出て啖呵を切った。
「ここからは、僕に任せて下さい」
いうと、ウィードはサリアの方をみた。
「サリア、まだ、あの道は使えるか」
「しばらく、きていませんが、大丈夫だと思います」
「どういうことだ」
ファイが妙な顔をする。
「ここだ、そうれ」
ウィードは軽く、前にあった大石を動かした。
「石が動いた?」「階段が」
なんと、石の下には階段があった。
誰もがびっくりした面持ちだった。
ウィードが話し始めた。
「ここは、城につながる地下通路です。行きましょう」
「城に直接乗り込むってことか」
「へ、いいじゃねーかよ」
ヒョウとファイがうなずいた。
後ろの方で身震いしてるものたちがいた。
ニミュエと、ボンだ。
「こわいどん」「こわいですぅ」
二人とも泣き顔だった。
それをみたファイが明るい声で言った。
「大丈夫だ、ニミュエ、みんないる」
いうと少し泣き止んだ。
それを見やると、キュラが先陣を切って、階段を下りて行った。
「よし、みなのもの、いくぞ、警戒は怠るな」
「はい」
キュラの号令を受けると、気持ちが引き締まり、姫様を警護しながら、階段の中に進んでいった。
☆☆
遅い時間でも読んでくださっている方、ありがとうございます。
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また晩にお会いしましょう。
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