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第九章 神玉の冒涜
第百二十話 現れた太古の猛者
しおりを挟むファイとヒョウは、重い扉の前で扉を押していた。
近くにニスカもいる。
「そうれ」
「ぐ、確かに重いな、並の人間では無理だな」
「無理だよ、開くはずないよ、二人でなんて」
「どれ、いっちょかましてやっか」
ファイは言うと、得意そうな顔でポンポンと手を叩いて、構えた。
次の瞬間!
「魔闘気(ラスタ)!」
ファイの視線だけの無言の合図で二人は同時に魔闘気を放出した。
「ファイ、力をもっと入れろ、かなり重いぞ、こいつ」
「わかってら、やあぁぁ」
すると、ガリガリと音を立てながら、重い扉が開かれていく。
「う、うそでしょ、そんな、あなたたち、何者なの」
ニスカは、絶句し開いた口がふさがらない。
「へ、俺たちは、通りすがりの剣士だ」
そのときだった。
「おかしい、妙な邪気がする!」
「まさか、これは何かを封印していた封印の扉?」
面子に衝動が走った。
すさまじい、瘴気が一瞬のうちにひしめいた。
「我を眠りから、呼び覚ますのは誰じゃ」
「ファイ、気を付けろ、何かいるぞ」
ヒョウが剣を出し、身構えた。
この奥に凄い難敵がいる、一瞬のうちに感知した。
ファイが後ろを振り向いた。
「ニスカ、お前は逃げろ、ヒョウかしてくれ、ニスカ、これは信号弾だ、近くに仲間がいる。これで知らせてくれ」
そういい、信号弾をニスカに渡した。
「でも」
「大丈夫だ、俺たちが戦う」
近くにあった松明を暗い奥の方に放り込んだ。
すると、暗がりが消え、すさまじい大きな魔物が浮かび上がった。
「ひぃ、化け物だー、逃げろ」
「ちぃ、壊しにきてみれば、封印されていた魔物に出くわすとは」
「なんだ、あのバカでかいのは?」
「鎖につながれている?」
「我は、太古の時代から生き永らえた魔王ダギラスじゃ」
「魔王? そんなまさか」
「聞いたことがある。たしか、王立図書館で古文書を読んだときにかいていた。現魔王アガスラーマの先代魔王の名だ」
「先代魔王?」
ファイたちに動揺が走った。目の前にはすさまじく強い相手がいるのにうちひしめいた。
ファイたちに動揺の色が広まった。
だが、魔王ダギラスの様子がおかしい。
「この痛い空気はなんじゃ、生気か、体が解ける」
「あいつ、外の空気を浴びた途端に肉が落ちて、骨になりだしたぞ」
なんと、扉側から入ってくる空気を浴びた途端、魔王ダギラスの肉片が地面に落ちていく。
骨だけになろうとしていた。
「ファイ、気を抜くな、骨になっても、魔王だ。魔力はすさまじいはず」
だが、骨になろうとも魔王だ。魔力はすさまじい。
「動けぬ、呪縛魔方陣が、我を圧縮する」
「体が解ける」
「骨になった」
「あの誰かが付した、魔法陣がきいてるんだろうぜ」
ヒョウがそういった時だった。
「魔法陣の力で動けなくなって力がそがれているというのか」
「前にいるのは人間か」
魔王ダギラスの目が光った。
獰悪な声をしている。
「動けぬと言えど、人間を殺すくらい容易い物」
その一瞬だった。
「しねぇ、熱爆撃(アトミックメテオ)」
「な、しまった」
「ぐぁあああっ」
熱系最強魔法はファイたちに至近距離でまともにぶち当たった。
あたりの床や壁の石が見事に溶けた。
「くそ、俺の防御壁を打ち破りやがった。少し熱いぜ、へへ」
「すまんな、ファイ」
ヒョウが珍しくいった。
「気にすんな、まさか熱系の最強魔法を打ち込んでくるとは思わなかったぜ」
ファイの顔色が少しゆがんだ。
「だけどよ、あれをまともに受けたら、次は全部は防ぎきれねーぞ」
ジリリと間合いを詰める。
だが、呪縛魔方陣から魔王は一歩も出ることができない。
骨だけになり、まさにゾンビ化し、不死だ。
「生きておるのか、お前らは、人間ではないな、魔の力を使えるものか」
「魔王さんよ、だったら、どうする?」
「む、その剣から発する、気は、魔剣イフリート」
「お前は、カルスか」
「カルス? 英雄の事か。俺はそんな輩じゃねー、炎の魔剣士だ」
「カルスに似ておる。カルスの息子か、いや、後継者か魔剣の」
魔王の手に、高濃度のエネルギーが集まろうとしていた。
☆☆
遅い時間帯にでも読んでくださっている方ありがとうございます。
気に入っていただければ、お気に入りお願いします。
読者様の声援が作者の書くバイタリティです。
先代魔王登場、絶体絶命の窮地!
ファイ、どうなる?
応援よろしくお願いします。
またあしたお会いしましょう。
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