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第九章 神玉の冒涜

閑話回想9 ヒョウの想い人

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オー王国のマホルタラ近くにある、ガルバハニウムという街にヒョウたちはきていた。
 ヒョウが守る、貴族のシエラ様をガルバハニウムへ警護し、ガルバハニウムの町長ガラとの事案の協議のためだった。
 シエラ様は高位貴族で会議に出席するほど、有名だった。

 町長がいる建屋の前で馬車は止まった。警護している人員はヒョウを合わせて三人いた。

 そう、ガスと、クエスだった。

 馬車が止まるとシエラ様が馬車から降りてきた。

 ヒョウがシエラ様をエスコートした。

 そして、シエラ様がヒョウの方を向き第一声を放った。

「ヒョウ、ここで少し待ってて」

「判りました、シエラ様」
 言葉を聞くとヒョウは軽く敬礼をした。

 シエラ様はニコリと笑うと建屋の中に入っていった。
 中は警備され安全な物と思われる。
 そのときだった。

「よ、ヒョウ、お前でも好きな人には真っ赤か?」

「はやすなよ、クエス」

「ところで、お前、正体は何者だ? その左手にずっと巻いてる包帯はなんだ? ケガならもうとっくに治ってるだろ?」
隣にいたガスが食って掛かった。

 ヒョウは不敵な笑みを浮かべた。

「正体か。察するな、言うほどの物じゃない。たかが、貧乏貴族出身のボディガードだ」

「もしかして、ヒョウ、お前は俺たちの敵か? 魔物が化けてるのか?」

「クエス、お前まで俺を疑うのか。怪しまれても仕方がないが、これだけは、きっぱり言っておく、俺は魔族ではない、人間だ」
 その瞬間ヒョウは、掌を前に突き出し、腰の短刀で軽く手の平をきった。

 当然のようにそこからは、赤い血が流れ落ちた。

 一同がこの模様に、面食らった。

「お前?」

「な、赤い血が出ただろう。正真正銘の人間だ。それにお前たちの敵でもない」
 ヒョウが言ったそのときだった。

「あら、みんな、どうしたの、真剣な顔ばかりして」

「いえ、シエラ様なんでもありません。警護のことを話していまして」

「そう、それならいいけど、けんかしちゃだめよ。皆、仲間よ」
 シエラ様はそういうと、一呼吸おいてまた話し出した。

「これから、ラーバンクルの祠に行って、おまじないの魔法をかけてくるわ」
「ラーバンクルですか」

「私、回復魔法とおまじないの魔法くらいはできるの。代々我が家に伝わる魔法なの。祠で唱えれば、お父様の病も治るかもしれないわ」

シエラ様がそういうとヒョウが動いた。
「よし、クエス、ガス、気を引き締めてシエラ様を護送しよう」

「おうよ」「わかった」

 シエラ様はみなを明るくし統率できる魅力を持っていた。

 ヒョウが内心少し好意を持っているのも判る。

 クールだがすぐに顔に出るタイプだ。

 そうこうして、ラーバンクルの祠にヒョウたちは馬車で向かった。











☆☆
11/29更新予定。次話ヒョウの回想後半。
気に入ってもらえたらお気に入りお願いします。更新長い間滞ってしまいすみません。更新していく所存です
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