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第九章 神玉の冒涜
第百十七話-5 無敵の装甲
しおりを挟む機工都市バルトカムの街中では、魔導戦車が蹂躙し、民をひき殺してた。
「きゃー、逃げろー」
「殺されるぞ」
民衆が魔導戦車とは反対の方向に一斉に逃げ惑っていた。
群衆が群がって走っていく。
そこにファイたち一行は出くわした。
「なんだ?」
「おかしい、民衆が逃げ惑っている」
キュラが妙な顔をした。
そして、キュラは走っている一人に割って入り話をきいた。
「おい、一体どうしたんだ?」
「戦車だ、とてつもなくでかい戦車がいる。人をひき殺している」
「なに? 戦車? 一体どういうことだ」
ファイもヒョウもレギンも皆、一色触発の面構えになった。
「あんたらも逃げた方がいい、殺されるぞ」
「逃げろ、ありがとな」
ファイは教えてくれた人に感謝のジェスチャーをして、前を見遣った。
「ファイ、みな、民が殺されるのを見過ごすわけにはいかん、助けに向かうぞ」
「了解だ」
キュラの問いにファイは応え、みな、戦車のいる方へ走っていった。
しばらく走ると、大きなとてつもなくでかい戦車がいた。
それを垣間み、みな開いた口が塞がらなかった。
しかも、砲撃する砲がいたるところについており、そこから、魔法のような炎の塊を街に放ち、爆発させ、一体を、火の海にしていた。下にはひき殺された死体が山ほどある。
「な、なに、あの戦車? 魔法みたいなの撃ってる」
「あれは、アータル系の魔法だ。もしや、あの戦車?」
「テアフレナ様、私の記憶が正しければ、昔、王立図書館で読んだ古文書に魔導大戦争の時に異様にでかい魔法を使う戦車が使われたと、記述がありました」
「エリュー、私もそれは思っている。もし、あれが魔力で動いてる戦車なら、あれは、大戦時につかわれていた、魔導戦車かもしれない」
「魔導戦車? 嘘だろ?」
ファイがそういった時だった。
「フハハ、御名答だ、テアフレナ。さすが宮神官なだけはある。我の魔力を暴発させ、魔力を注入して蘇らせた、魔導戦車だ。そう簡単には倒せまい」
「フォライーめ、また貴様の仕業か」
キュラが苦渋に満ちた顔つきで言い返した。
フォライーはニヤリと不気味な笑みを浮かべた。
「ウィードよ、お前もこれで地獄行きよ。くはは、良いことを教えてやろう」
「?」
「この魔導戦車は、魔法も物理攻撃もきかん。特殊な装甲で覆われている」
「なに?」
「フハハ、どういうことだか、わかるか、お前たちの攻撃は歯が立たないということだ」
フォライーの言葉に一同が面食らった。
ウィードはフォライーのいる上を見遣った。
フォライーは一呼吸おいてまた話だした。
「力尽き、殺されるのを待つだけだ」
「へ、上等じゃねーか。きかねーなら、糸口を探して破壊するだけだ」
ファイが食って掛かった。
ヒョウがそして重い口を開いた。
「魔導戦車と言えど、大戦時に壊されもしたはず、何か弱点があるはずだ」
「フハハ、弱点などない。無敵の装甲なのだよ」
「いってくれるぜ、俺たちはそんなにヤワじゃない、だったら潰すまでだ」
ファイが剣を構え直し意志を鮮明に顕した。
負けてなるものかと。
ここでひけば、街が火の海になり、被害が拡大し、民が皆殺しにされるのは目に見えていたからだ。
そのときだった。
「後は任せたぞ、魔導戦車よ。わしは先を急ぐ」
「任せておけ」
「魔導戦車がしゃべった?」
ボンが後ろの方で建物に隠れながらいった。
そして、フォライーはニヤリと不敵な笑みを見せ、魔法力を展開させだした。
「地獄へいくがよい」
「逃がすかぁ」
ウィードはフォライーに魔剣を投げつけた。しかし、クリーンヒットすることなく、魔剣はフォライーの後ろにびゅっと、通り抜けた。
「消えた?」
「ちくしょう、また逃がしたか」
ウィードとファイが悔しそうに舌打ちした。
その間に、ウィードは手元に魔剣を戻した。
その瞬間だった。
「ファイ、ヒョウ、よけろ!」
「な、なに? 魔法?」
「くそ、アレンジが施されているのか、この魔法速い!」
炎の魔法弾が、連発され、凄まじいスピードで、ファイたちを襲った。
だが、ファイたちも魔の力が使える魔剣士、上手く紙一重で躱していく。
キュラがこれを一瞥し、危険を感じたのか、皆に檄を飛ばした。
「みな、気を付けろ、近づけば撃ってくるぞ、建屋を盾として近づいて攻撃だ」
「よし、わかった」
レギンが言う。
キュラはレイティスと姫様の方を向いた。
「レイティス、オネイロスは姫様を安全なところへ」
「わかりました」
「(くそ、物理攻撃も魔法攻撃もきかぬとあらば、何か弱点はあるのか?)」
キュラの思惑は当たっていた。
誰しも攻撃がほんとに効かぬとすれば、この戦車はどうやって破壊することができるのかと思案していた。
☆☆
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