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第九章 神玉の冒涜

第百十七話-3 魔導兵器

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 メルフェンにいた皆は、ご飯を食べ終わって、姫様が会計のカウンターの前にいた。
「合計17万ルフになります」

「現金で払うわ」
 姫様は用意していたお金を即座に払った。

 この大そうな金額は、普通の民では払えないくらいの大金だった。

 ファイやエリューは、目をパチクリしていた。
 二人とも平民上がりだからだ。

 ヒョウは一応貴族だったが、裕福な貴族ではない。
 だが、ヒョウは普通の感覚のように受け止めていた。

 レギンが重い口を開いた。
「さすが、姫様だ」
 その言葉を聞くと、キュラが店のドアを開けた。

「さて、店を出るとするか」
 そうこうして、メルフェンを一行は後にした。



☆☆


 そのメルフェンから出てくるウィードの姿を気配を消し、家屋の屋上から遠目で見遣っている魔族がいた。

 そう、フォライーだ。追いついていたようだ。

 フォライーはニヤリと不気味な笑みを浮かべた。
「くひひひ、いい気なもんだな、ウィードよ。ん、待てよ、ここはバルトカム? だとすると、魔王ダギラス様君臨の時、千年前の魔導大戦争時の魔導兵器が埋まっているのでは?」

 どうやら、フォライーはバルトカムの何かの昔を知っているようで、恐らく魔族としての年齢も高いと思われる。

 フォライーの脳裏には勝算が浮かんでいた。一体、魔導兵器という代物は。
 フォライーは不気味に笑い、宙に足を浮かせて、地面に降り立った。

「くひひひ、よし、一泡吹かせてやるぞ、ウィードめ」
 いうと同時に、低空飛行し、フォライーはどこかへ立ち去った。



☆☆



「あーあ、今日も疲れたぜ、それにしてもあの妖精は惜しかったなぁ、高く売り飛ばせたのによぉ」
 ニスカだ。ニスカがアジトの壁にもたれかけ、そこにふてくされた顔つきで頭を手で抱え、座りこんだ。

 そのときだった。

「!」
 ニスカの表情が一変した。

「(空を飛んでいる?)な、なんだ、お前は?」

 なんと、目の前には魔族フォライーがいた。フォライーは何かを知っている算段だ。

 フォライーは低空飛行で、ニスカの目の前にきた。
「小僧、お前は機械士団バラロサの長であろう。魔導兵器の場所を知っているな?」

「なんでお前がそんなことを。知っててもいうか」

「ほほう、身の程知らずな少年だ。勝気だな、だが、自信過剰は死を招くぞ」
 フォライーがそういった瞬間だった。

「催眠手術(ギレドスティール)!」
 フォライーの手から紅い光りが出て、それはニスカの目に映った。

 そのとき、奥の建物からバラロサの団員が二人でてきた。
「お前は何者だ! ニスカ様に何を!」

「ぐあぁぁぁぁあぁッ」「ぎゃあ」
 なんと、一瞬のうちに片手一つで、団員二人を血祭りにあげた。

 フォライーは不気味に笑った。

「諸い、これが人間か。雑魚に用はない。さぁ、ニスカよ、魔導兵器のある場所まで案内しろ」

「は、フォライー様」

 ニスカは目の色を失くし、フォライーの意のままに操られ、魔導兵器がある場所へ誘導していってしまった。












☆☆
4/26もう一回アップ予定。
どうなる、ニスカ。応援よろしくお願いします。
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