67 / 200
第九章 神玉の冒涜
第百十六話-5 バラロサの猛攻
しおりを挟む「小僧、ニミュエをどうする気だ? 答えによっちゃあ、ただじゃ済まさないぞ」
ファイの剣幕が変わっていた。
犯人は唾を吐き、睨み返してきた。
「どうもこうも、売り飛ばすだけだ。俺は機械士団バラロサの一員だ。ここらを仕切ってるんだぜ、あんたらの方が命危ないんじゃねーの」
「バラロサ?」「機械士団?」
ヒョウとウィードに動揺が一瞬うかんだ。
ファイも何かを察知していた。
「ほらよ、建屋の窓をみてみろよ、あんたら、死ぬぜ、銃の山だ」
犯人がそういうと、建屋一面の窓から、銃が飛び出ていた。
機械士団バラロサの人数は多い。ざっと見て三十人程度は見受けられた。
だが、ファイたちも一筋縄ではいかない面子だった。
ヒョウがニヤリと笑った。
「フン、笑止。銃などで仕留められるものなら仕留めてみろ」
「いったな、よし、撃てぇ!」
BANG!
勝負は一瞬だった。銃撃音が辺りに響き渡った。
「展開、ウィンドストーム!」
その瞬間、地面にぶつけていたウィンドブリッドを視点として、ウィードの術が展開した。突風が巻き起こって、無数の銃弾を力無きにし、地面に叩きつけた。
「な、なんだこの風は?」
「銃も風圧を受ければ、当たる前に全て力を失い地に落ちるな。僕たちを甘く見過ぎだ」
一瞬だった。ファイが犯人の懐に入り込んでいた。
魔剣を首に突き付けた。
「おい、小僧、ニミュエを解放しろ、さもなくば、お前の喉首を斬る」
「ひぃ、わかったよ、わかった。これが鳥かごの鍵だ。俺たちはお金がほしかっただけなんだ。殺す気はなかったさ」
そういい、犯人は、ファイに鍵を渡した。
「ニミュエ、大丈夫か、怖い想いしたな」
「ファイ―」
ニミュエがファイの頬っぺたに抱き着いた。
涙を浮かべていた。
「こわかったよー、ありがと、皆も助けてくれて」
「それにしても、あんたたち、何もんだ?」
犯人は手を挙げ、悔しそうに言った。
「俺たちはな、炎と氷と風の旅の剣士だ」
「炎と氷? 風? 旅の剣士? すまなかった、もうしないから命だけは勘弁してくれ」
「解放すれば、お前に用はない。それに、俺たちはお前の命を奪う気もはなっからないぜ」
ファイはいうと、剣を首から下げて助けた。
すると、犯人は急いでその場から離れた。
「俺は、バラロサの師団長ニスカだ。くそ、覚えてろよ」
「減らず口が過ぎるやろうだ」
「はは、ああいう子供も、困りますね」
ヒョウとウィードがたまったもんじゃないと、いった面持ちでいった。
ファイも困った顔をし、言葉を紡いだ。
「よし、どうにか、一件落着だ、みんな、飯屋メルフェンにいこうぜ」
「ご飯、ご飯♪ もう待ちきれなーい、お腹すいたーぁッ」
ニミュエに明るさが戻っていた。
そして、ファイたちは飯屋メルフェンに向かった。
☆☆
4/25アップ予定。気軽に感想でも書いていただければうれしいです。
0
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
放置された公爵令嬢が幸せになるまで
こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
へなちょこ鑑定士くん、脱獄する ~魔物学園で飼育された少年は1日1個スキルを奪い、魔王も悪魔も神をも従えて世界最強へと至る~
めで汰
ファンタジー
魔物の学校の檻の中に囚われた鑑定士アベル。
絶体絶命のピンチに陥ったアベルに芽生えたのは『スキル奪取能力』。
奪い取れるスキルは1日に1つだけ。
さて、クラスの魔物のスキルを一体「どれから」「どの順番で」奪い取っていくか。
アベルに残された期限は30日。
相手は伝説級の上位モンスターたち。
気弱な少年アベルは頭をフル回転させて生き延びるための綱渡りに挑む。
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
【完結24万pt感謝】子息の廃嫡? そんなことは家でやれ! 国には関係ないぞ!
宇水涼麻
ファンタジー
貴族達が会する場で、四人の青年が高らかに婚約解消を宣った。
そこに国王陛下が登場し、有無を言わさずそれを認めた。
慌てて否定した青年たちの親に、国王陛下は騒ぎを起こした責任として罰金を課した。その金額があまりに高額で、親たちは青年たちの廃嫡することで免れようとする。
貴族家として、これまで後継者として育ててきた者を廃嫡するのは大変な決断である。
しかし、国王陛下はそれを意味なしと袖にした。それは今回の集会に理由がある。
〰️ 〰️ 〰️
中世ヨーロッパ風の婚約破棄物語です。
完結しました。いつもありがとうございます!
異世界宿屋の住み込み従業員
熊ごろう
ファンタジー
なろう様でも投稿しています。
真夏の昼下がり歩道を歩いていた「加賀」と「八木」、気が付くと二人、見知らぬ空間にいた。
そこに居たのは神を名乗る一組の男女。
そこで告げられたのは現実世界での死であった。普通であればそのまま消える運命の二人だが、もう一度人生をやり直す事を報酬に、異世界へと行きそこで自らの持つ技術広めることに。
「転生先に危険な生き物はいないからー」そう聞かせれていたが……転生し森の中を歩いていると巨大な猪と即エンカウント!? 助けてくれたのは通りすがりの宿の主人。
二人はそのまま流れで宿の主人のお世話になる事に……これは宿屋「兎の宿」を中心に人々の日常を描いた物語。になる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる