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第六十話 歴史が変わった? セントヘレナ島から英雄救出、潜水艇が出ていた?
しおりを挟むその中の一冊にある記述を見て香織は考察して述べた。
「ねぇ、ちょっと、これ楓みて?」
「な、何、何かあったの、香織ちゃん?」
「ここにナポレオンの新しく出た本の年表があって、確かね、あたしが覚えてるのは1821年セントヘレナ島で死んだと想うの」
本の記述を指差しながらいう。それはナポレオンの歩んだ歴史の本だった。
「そうだよ、ナポレオンは1821年確か51歳で亡くなったと想うよ」
「歳まで覚えてるのね。さすが歴史マニア。それが、1830年になってるのよ」
「1830年? そんなまさか?」
「え、じゃぁ、六十歳まで、ナポレオン生きたってこと?」
「そうみたいね。それにセントヘレナ島からフランス軍の特殊部隊が、潜水艦を作って潜入し、救助したとあるわ」
「え、そんなまさか? 嘘でしょ?」
二人は顔を見合わせた。歴史が変わりつつあるのか。楓が意味深な顔で本を近くに持ってきて見遣った。
「確かに、書いてあるね。(まさか、確かにナポレオンは日本史の本を読んで戦車とか潜水艦、戦闘機が登場するの
を知った。だけど、それが作れるとは想えない一体、どういうことだ?)文明まで変わったというのかな?」
不可解な面持ちを楓はした。自分のいったことや、ナポレオンに見せたことが影響しているのかなと、推測していたからだ。
疑問は多々、あったのだ。だが、それを素直に受け入れることはできなかった。
現に、ナポレオンがまだこの国にいたからだ。
「確かに、潜水艇でナポレオンをセントヘレナ島から救助するという発案は当時あったみたいだけど、それがほんとに実行されて、歴史が変わったのかな?」
「きっと、そういうことじゃない? あたしたちが知ってる歴史が変わりだしてるんじゃない?」
「じゃぁ、スザンヌさんも」
「きっと、何か変化があるんじゃない?」
「でも、ナポレオンの名前が別人に変わっていないということは、恐らく帰るんだね」
「……もとの時代に帰るのかな」
香織が一瞬、辛そうな顔を見せた。楓も悲しそうな面持ちをした。
「せっかく、仲良くなったのにね、そうなったら、残念だね。稀代の英雄に会えたのに」
「でも、いい勉強になったじゃない。若い頃のナポレオンがどういう気質で、どういう人か、よくわかったじゃな
い。ああいう、寡黙で自信に満ち溢れた人だったのよ。あたしは、嬉しかったよ」
「そりゃ、僕もだよ、憧れだったし」
楓たちは嬉しそうな顔でいうと一呼吸おき、香織がまた口を開いた。
「あたしに、不可能はないもーん、ってあたしの決め台詞になったよ」
「香織ちゃんは底抜けに明るいね、そう言うところは好きだけど」
そのときだった。香織に返事しながら、横目である本を見遣っていた楓が度肝を抜かれた。
☆☆
応援よろしくお願いします。
また更新します。
どうなっていくのでしょう。
何回も見てくださっている読者さまには感謝です。
ほんとにありがとうごうざいます。
またおあいしましょう。
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