こころとこころをつなぐ不思議なパピルスと英雄

蒼井一

文字の大きさ
上 下
17 / 63

第十七話 黒パン食べるのは軍人の練習、未来のパンを食べてみる

しおりを挟む


パンを買い、香織は二人に手渡した。


そして、三人は近くにあったベンチに座って一休みした。


「どれ、食べてみるか」


 ナポレオンが現代の黒パン? いや、チョコパンに口を添えた。美味しいと実感しているようだ。


「美味しいでしょ?」


 香織が相槌を打つように、笑顔でナポレオンに訊いた。


「ほう、未来のパンはこういう味がするのか。俺のいた時代の白パンより、上手い」


「黒パン、ナポレオンも白パンが食べれるのに、無理して食べてた時があるんだよね。そんなに軍人になりたかったの?」


「そりゃ、小さい時から、軍人の練習で食べてたんだ」


 ナポレオンは真摯な顔つきをし、パンをむしゃむしゃと食べながらいった。


 その様を見て、楓が言葉を繋いだ。


「やっぱりそうだったんだね。その頃から軍人の生活習慣を嗜んでいたんだね」


「あんたたち、何いってるの? 軍人とか黒パンとか、あたし、ちんぷんかんぷんよ」


 指を立て、香織は、ナポレオンと楓の方に、押し当てながら、表情が少しきつかった。


「えとね、香織ちゃん、ある複雑な理由があって」


「パンを食べるのに理由もないでしょ。白でも黒でも茶でもお腹の中に入ったら同じよ」


 余りに度が過ぎたのか、香織はプンプンと怒り出した。声の語尾が高かった。


「ははは、香織さんは豪快な女性だな。母に考え方が似ている」


「そう? 豪快じゃなくてかわいいっていってね、こうみえてもレディだから」


 香織が、訂正するようにいってから、しばらくして、三人はパンを食べ終わった。


 食べ終わったのをみると、三人はベンチから立ちあがった。


そして、香織が話しを切り出した。


「美味しかったね。じゃぁ、観光だから、とりあえず、国会議事堂とか日本銀行みにいこうか」


「いいね、それ」


 楓が、話しに乗り、笑顔で答えた。ナポレオンも隣で笑みを漏らした。


 そのときだった。急に香織が照れ臭そうな顔をした。


「ちょっとトイレ行って来るね」


「わかった」


 香織は少し恥ずかしそうな顔で言うと、近くにあったトイレに入った。


 まぁ、女の子が男の子にいうのは恥ずかしいのは間違いないだろう。どの時代でも。


 数分が経ち、香織が出てきたところで、楓たちは、日本銀行が見えるところまで、数十分、歩き出した。
























☆☆

こんにちは。
何回も見てくださっている読者さまには感謝しかありません。
ありがとうございます。
作者こう見えても、電撃の漫画原作賞審査通過したりしてます。
懐かしい話です。
プロの作詞家の先生が審査しているビクターの作詞の賞も取ったりもしてます。
これも懐かしい話です。
そういうの関係なく楽しんでもらえたらうれしいです。
またおあいしましょう。
読者様がいる限り物語は続きます。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

好きな人がいるならちゃんと言ってよ

しがと
恋愛
高校1年生から好きだった彼に毎日のようにアピールして、2年の夏にようやく交際を始めることができた。それなのに、彼は私ではない女性が好きみたいで……。 彼目線と彼女目線の両方で話が進みます。*全4話

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

希望が丘駅前商店街 in 『居酒屋とうてつ』とその周辺の人々

饕餮
ライト文芸
ここは東京郊外松平市にある商店街。 国会議員の重光幸太郎先生の地元である。 そんな商店街にある、『居酒屋とうてつ』やその周辺で繰り広げられる、一話完結型の面白おかしな商店街住人たちのひとこまです。 ★このお話は、鏡野ゆう様のお話 『政治家の嫁は秘書様』https://www.alphapolis.co.jp/novel/210140744/354151981 に出てくる重光先生の地元の商店街のお話です。当然の事ながら、鏡野ゆう様には許可をいただいております。他の住人に関してもそれぞれ許可をいただいてから書いています。 ★他にコラボしている作品 ・『桃と料理人』http://ncode.syosetu.com/n9554cb/ ・『青いヤツと特別国家公務員 - 希望が丘駅前商店街 -』http://ncode.syosetu.com/n5361cb/ ・『希望が丘駅前商店街~透明人間の憂鬱~』https://www.alphapolis.co.jp/novel/265100205/427152271 ・『希望が丘駅前商店街 ―姉さん。篠宮酒店は、今日も平常運転です。―』https://www.alphapolis.co.jp/novel/172101828/491152376 ・『日々是好日、希望が丘駅前商店街-神神飯店エソ、オソオセヨ(にいらっしゃいませ)』https://www.alphapolis.co.jp/novel/177101198/505152232 ・『希望が丘駅前商店街~看板娘は招き猫?喫茶トムトム元気に開店中~』https://ncode.syosetu.com/n7423cb/ ・『Blue Mallowへようこそ~希望が丘駅前商店街』https://ncode.syosetu.com/n2519cc/

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

Hand in Hand - 二人で進むフィギュアスケート青春小説

宮 都
青春
幼なじみへの気持ちの変化を自覚できずにいた中2の夏。ライバルとの出会いが、少年を未知のスポーツへと向わせた。 美少女と手に手をとって進むその競技の名は、アイスダンス!! 【2022/6/11完結】  その日僕たちの教室は、朝から転校生が来るという噂に落ち着きをなくしていた。帰国子女らしいという情報も入り、誰もがますます転校生への期待を募らせていた。  そんな中でただ一人、果歩(かほ)だけは違っていた。 「制覇、今日は五時からだから。来てね」  隣の席に座る彼女は大きな瞳を輝かせて、にっこりこちらを覗きこんだ。  担任が一人の生徒とともに教室に入ってきた。みんなの目が一斉にそちらに向かった。それでも果歩だけはずっと僕の方を見ていた。 ◇ こんな二人の居場所に現れたアメリカ帰りの転校生。少年はアイスダンスをするという彼に強い焦りを感じ、彼と同じ道に飛び込んでいく…… ――小説家になろう、カクヨム(別タイトル)にも掲載――

独身寮のふるさとごはん まかないさんの美味しい献立

水縞しま
ライト文芸
旧題:独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~ 第7回ライト文芸大賞【料理・グルメ賞】作品です。 ◇◇◇◇ 飛騨高山に本社を置く株式会社ワカミヤの独身寮『杉野館』。まかない担当として働く有村千影(ありむらちかげ)は、決まった予算の中で献立を考え、食材を調達し、調理してと日々奮闘していた。そんなある日、社員のひとりが失恋して落ち込んでしまう。食欲もないらしい。千影は彼の出身地、富山の郷土料理「ほたるいかの酢味噌和え」をこしらえて励まそうとする。 仕事に追われる社員には、熱々がおいしい「味噌煮込みうどん(愛知)」。 退職しようか思い悩む社員には、じんわりと出汁が沁みる「聖護院かぶと鯛の煮物(京都)」。 他にも飛騨高山の「赤かぶ漬け」「みだらしだんご」、大阪の「モダン焼き」など、故郷の味が盛りだくさん。 おいしい故郷の味に励まされたり、癒されたり、背中を押されたりするお話です。 

処理中です...