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シリーズ物声劇台本
未来で
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今年も、この季節がやってきた。
少しずつひてえくる空気とともに、懐かしい匂いが世界に漂う。
その冷たさを、そして匂いを感じるたびに、頭の隅で猫の鳴き声がする。
あれは、私の後悔と、人間性の一部になった話。
何もなく、少しの欠片だけを手に持ったゆえに、混乱した人生を送った私を、小さな体が救ってくれた。
冷えていてついた体に、少しの温もりをくれた。
凍えた心を、色あせたすべての世界を、その命と引き換えに色をつけてくれた恩人。
ヒメ?
私はあれから色々あって結婚したよ
いい人に出会ってね?自由気ままに生きてる。
ヒメがあの日行ってしまってから、悪いことっていうのがめっきり減ったの。
全くなくなったってわけじゃないけど。
色々苦労もあって、でも楽しいことも増えた。
ねぇヒメ。
私はね?
あなたが膝の上ですやすや眠る姿に救われて
膝の上で丸まる体温に、どれだけ幸せを感じていたかしれないの。
ヒメって呼ぶと決まって返事をして
私の膝の上に来ては、その爪で膝の上引っ掻いて
毎回悲鳴あげた
そんな私なんてお構い無しに
まるで
それぐらいは我慢しなさいよ
とでも言いたげに丸まっちゃって
本当に、救われた。救われてた。
それなのに、ありがとうの一つも言えないで
嫌な予感だけが背筋を降りていって
その予感はある日当たって
道端で倒れてるあなたを見つけた。
私の不幸を、不運を、まるで背負って言ったかのような体は
もう固まってしまっていて
来ていた上着をとっさに脱いであなたを包んだ。
ぱきぱきって、何かが割れるような、そんな音に
私は苦しくて泣きそうになった
寒空の下、めったに降らない雪が降って
きっと
あまりの寒さに、、、。
そう考えるだけで怒りが湧いてきて
ねぇヒメ
私は、死にたがりをしていたあのころとは違って
誰かのために生きてます。
あの日、唯一の親友さえ失った私だけど
しぶとく21年も生きてる
笑えてこない?
本当なら17とかで死んでたはずなのにね?
4年も生きながらえてる。
誰かさんのせいか、おかげか。
この季節になって、いつも思い出すのは姫の最後の姿
あの日、本当に最後の瞬間
仕事帰り、家族に引き取られていく姿を目にして、後悔したんだ
見つけて、メモを残して。
みんながそこに名前を書いた。
もしかしたらお礼が行くかもって理由で。
私はそこに名前は書かなかった。
意味がなかったから。
そんなものは要らない。本気で
そう思ったから
上着に包まれたヒメを抱えて
ひたすら大事に抱きしめて
冷たく、軽くなってしまった体に
ひたすら泣かないようにと力を込めるのに必死で
でも
名前を書くんだったかなって
あとから思った。
そうしたら、綺麗に、可愛くなったヒメの最後の姿が見れたかもしれないじゃない?
そんな事を、あのあと何年も考えてしまって
ヒメ
今年は県外に出てしまって
猫缶お備えできないけど
変わらず
私はあなたを忘れないし
ずっと
あなたが大好きだからね
少しずつひてえくる空気とともに、懐かしい匂いが世界に漂う。
その冷たさを、そして匂いを感じるたびに、頭の隅で猫の鳴き声がする。
あれは、私の後悔と、人間性の一部になった話。
何もなく、少しの欠片だけを手に持ったゆえに、混乱した人生を送った私を、小さな体が救ってくれた。
冷えていてついた体に、少しの温もりをくれた。
凍えた心を、色あせたすべての世界を、その命と引き換えに色をつけてくれた恩人。
ヒメ?
私はあれから色々あって結婚したよ
いい人に出会ってね?自由気ままに生きてる。
ヒメがあの日行ってしまってから、悪いことっていうのがめっきり減ったの。
全くなくなったってわけじゃないけど。
色々苦労もあって、でも楽しいことも増えた。
ねぇヒメ。
私はね?
あなたが膝の上ですやすや眠る姿に救われて
膝の上で丸まる体温に、どれだけ幸せを感じていたかしれないの。
ヒメって呼ぶと決まって返事をして
私の膝の上に来ては、その爪で膝の上引っ掻いて
毎回悲鳴あげた
そんな私なんてお構い無しに
まるで
それぐらいは我慢しなさいよ
とでも言いたげに丸まっちゃって
本当に、救われた。救われてた。
それなのに、ありがとうの一つも言えないで
嫌な予感だけが背筋を降りていって
その予感はある日当たって
道端で倒れてるあなたを見つけた。
私の不幸を、不運を、まるで背負って言ったかのような体は
もう固まってしまっていて
来ていた上着をとっさに脱いであなたを包んだ。
ぱきぱきって、何かが割れるような、そんな音に
私は苦しくて泣きそうになった
寒空の下、めったに降らない雪が降って
きっと
あまりの寒さに、、、。
そう考えるだけで怒りが湧いてきて
ねぇヒメ
私は、死にたがりをしていたあのころとは違って
誰かのために生きてます。
あの日、唯一の親友さえ失った私だけど
しぶとく21年も生きてる
笑えてこない?
本当なら17とかで死んでたはずなのにね?
4年も生きながらえてる。
誰かさんのせいか、おかげか。
この季節になって、いつも思い出すのは姫の最後の姿
あの日、本当に最後の瞬間
仕事帰り、家族に引き取られていく姿を目にして、後悔したんだ
見つけて、メモを残して。
みんながそこに名前を書いた。
もしかしたらお礼が行くかもって理由で。
私はそこに名前は書かなかった。
意味がなかったから。
そんなものは要らない。本気で
そう思ったから
上着に包まれたヒメを抱えて
ひたすら大事に抱きしめて
冷たく、軽くなってしまった体に
ひたすら泣かないようにと力を込めるのに必死で
でも
名前を書くんだったかなって
あとから思った。
そうしたら、綺麗に、可愛くなったヒメの最後の姿が見れたかもしれないじゃない?
そんな事を、あのあと何年も考えてしまって
ヒメ
今年は県外に出てしまって
猫缶お備えできないけど
変わらず
私はあなたを忘れないし
ずっと
あなたが大好きだからね
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