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第三十五章 あなたの作る世界なら
07 文字通りに、跳ね飛ばされていた。黒服三人組の一人で
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文字通りに、跳ね飛ばされていた。
黒服三人組の一人であるドライの身体が、体重などなきが如くに。
カズミは別にさしたる攻撃を仕掛けたわけではなく、踏み込みながら肩を当てたという、ただそれだけだというのに。
とはいっても、カズミの全身は真っ白な輝きに包まれており、滲み出る闘気はこれまでとまるで異なる強烈な威圧感を放つものであったが。
真っ白な輝きに包まれ、その強烈な威圧感を放ちながら、カズミはちょんと地面を蹴った。
自分の吹っ飛ばした相手であるドライに一瞬で追い付くと、空中で頭を掴んで地へと叩き付けた。
地が粉々に砕け、間欠泉の如く噴き上がった。
「♪ 見ていてくれていたんだねSTAR あれはキミだったんだねMY ANGEL ♪」
カズミが口ずさんでいるのは、星川絵里奈の歌である。
別に、歌いたい気分なわけではない。
こんな状況で、楽しい気持ちなはずがない。
ただ、冷静に考えるまでもなくもう二度とこのように歌などは歌えない気がして。
それは仕方のないことだけど、でもちょっと寂しくもあり、だからつい口が動いてしまう。
だからつい歌ってしまう。
思い残すことないように、などと考えているわけではないけれど。
「♪ 流れ。落ちる。キラッ。満ちる。わたし。キラッ ♪」
右手に、なにかを摘み持っている。
白と水色の太いストライプが走っている、度の入っていない、そしてやたらと大きな、アクセサリーとしての眼鏡である。
万延子がいつも身に着けていた、形見の品。仮想世界内の中で、至垂の率いる魔法使いと戦っていた時に、死を覚悟した彼女から手渡されたものだ。
何故、幼馴染の文前久子ではなく、自分に託したのか? 他校だから頻繁に会っていたわけでもなく、なおかつ会えば喧嘩ばかりしていた仲だというのに。
まあ、おそらくは喧嘩ばかりしていた仲だからなのだろう。
そんなことを考えながらカズミは、形見のオシャレメガネを額に掛けた。
「ふざけているのか?」
「油断させるつもりなら無駄だ」
ツヴァイとアインスが、無表情のままカズミへと歩み寄りながら、白い光の剣を振り上げた。
と、その瞬間、カズミの身体がゆらり揺れる。すすっと足が動いて、二人の間へと素早く入り込んでいた。
「鉄山靠」
ばう、
低く震える音と共に、ツヴァイが背中を強く弾かれたようによろけ、足をもつれさせて倒れた。
鉄山靠とは、中国拳法の技である。
背中を使っての、体当たりだ。
ツヴァイだけでなく、ほとんど同時にアインスも倒れていた。カズミが、鉄山靠を放った直後に素早く屈んで足を払ったのである。
ふう、
カズミは、ゆらゆら揺れる白い輝きに全身を包まれながら、息を吐いた。
この白い輝きは、自分の体内に負荷分散のため埋め込まれていた、アサキの魔力が溢れ出たものだ。
さらに、万延子が以前に見せた爆発呼吸を見様見真似て自分なりにパワーアップさせたものだ。
中国拳法の技など一度も練習したことないが、延子のオシャレメガネを掛けていたらなんだか出来そうな気がして。
それよりなにより、なんだかんだと腐れ縁だった延子と一緒に戦いたくて。
一息をつく暇は、本当にため息の一息分だけしかなかった。
背後からツヴァイが静かに走り寄って、白い光の剣をカズミの背へと振り下ろしたのである。
ただし、アサキのパワーを発動させているカズミには通じなかったが。
振り返りながらカズミは、左手の甲で剣を弾いていた。
そして、
「カズミパアアアアンチ!」
叫びながら右腕を突き出すと、拳がツヴァイの腹の中にめり込んでいた。
黒服三人組の一人であるドライの身体が、体重などなきが如くに。
カズミは別にさしたる攻撃を仕掛けたわけではなく、踏み込みながら肩を当てたという、ただそれだけだというのに。
とはいっても、カズミの全身は真っ白な輝きに包まれており、滲み出る闘気はこれまでとまるで異なる強烈な威圧感を放つものであったが。
真っ白な輝きに包まれ、その強烈な威圧感を放ちながら、カズミはちょんと地面を蹴った。
自分の吹っ飛ばした相手であるドライに一瞬で追い付くと、空中で頭を掴んで地へと叩き付けた。
地が粉々に砕け、間欠泉の如く噴き上がった。
「♪ 見ていてくれていたんだねSTAR あれはキミだったんだねMY ANGEL ♪」
カズミが口ずさんでいるのは、星川絵里奈の歌である。
別に、歌いたい気分なわけではない。
こんな状況で、楽しい気持ちなはずがない。
ただ、冷静に考えるまでもなくもう二度とこのように歌などは歌えない気がして。
それは仕方のないことだけど、でもちょっと寂しくもあり、だからつい口が動いてしまう。
だからつい歌ってしまう。
思い残すことないように、などと考えているわけではないけれど。
「♪ 流れ。落ちる。キラッ。満ちる。わたし。キラッ ♪」
右手に、なにかを摘み持っている。
白と水色の太いストライプが走っている、度の入っていない、そしてやたらと大きな、アクセサリーとしての眼鏡である。
万延子がいつも身に着けていた、形見の品。仮想世界内の中で、至垂の率いる魔法使いと戦っていた時に、死を覚悟した彼女から手渡されたものだ。
何故、幼馴染の文前久子ではなく、自分に託したのか? 他校だから頻繁に会っていたわけでもなく、なおかつ会えば喧嘩ばかりしていた仲だというのに。
まあ、おそらくは喧嘩ばかりしていた仲だからなのだろう。
そんなことを考えながらカズミは、形見のオシャレメガネを額に掛けた。
「ふざけているのか?」
「油断させるつもりなら無駄だ」
ツヴァイとアインスが、無表情のままカズミへと歩み寄りながら、白い光の剣を振り上げた。
と、その瞬間、カズミの身体がゆらり揺れる。すすっと足が動いて、二人の間へと素早く入り込んでいた。
「鉄山靠」
ばう、
低く震える音と共に、ツヴァイが背中を強く弾かれたようによろけ、足をもつれさせて倒れた。
鉄山靠とは、中国拳法の技である。
背中を使っての、体当たりだ。
ツヴァイだけでなく、ほとんど同時にアインスも倒れていた。カズミが、鉄山靠を放った直後に素早く屈んで足を払ったのである。
ふう、
カズミは、ゆらゆら揺れる白い輝きに全身を包まれながら、息を吐いた。
この白い輝きは、自分の体内に負荷分散のため埋め込まれていた、アサキの魔力が溢れ出たものだ。
さらに、万延子が以前に見せた爆発呼吸を見様見真似て自分なりにパワーアップさせたものだ。
中国拳法の技など一度も練習したことないが、延子のオシャレメガネを掛けていたらなんだか出来そうな気がして。
それよりなにより、なんだかんだと腐れ縁だった延子と一緒に戦いたくて。
一息をつく暇は、本当にため息の一息分だけしかなかった。
背後からツヴァイが静かに走り寄って、白い光の剣をカズミの背へと振り下ろしたのである。
ただし、アサキのパワーを発動させているカズミには通じなかったが。
振り返りながらカズミは、左手の甲で剣を弾いていた。
そして、
「カズミパアアアアンチ!」
叫びながら右腕を突き出すと、拳がツヴァイの腹の中にめり込んでいた。
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