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第三章 強化合宿
19 カタン コトン 小気味よく揺れている。車窓から見え
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カタン
コトン
小気味よく揺れている。
車窓から見える田園風景が、ゆっくりと後ろへ流れている。
カタン
コトン
車両内はガラガラで、ほとんど乗客はいない。
七人掛けシートに座っているのは、
平家成葉、大鳥正香、
反対側には、明木治奈、令堂和咲、昭刃和美。
強化合宿から帰る、JR常磐線車両の中である。
「……とかあるわけでな。ほじゃけえ、アサキちゃんと同じくらい、うちらにとっても中身のある合宿にはなったのかな」
明木治奈が、満足げな笑みを浮かべた。
「基本は、治奈さんが常々おっしゃっている通り日々の生活や鍛錬ですけど、でも今後のために色々と考えることは出来ましたね」
大鳥正香、いつも通りのおっとり口調である。
「なにより楽しかったしな」
昭刃和美が、片あぐら組みながら器用に身を乗り出しつつ、にかっと歯を見せて子供みたいに笑った。
その言葉に、治奈がぷっと吹き出した。
「どの口がいうかの。出発前はアサキちゃんに、遊びじゃねえんだってあんなに脅すようにいってたくせに」
「だってさあ、最初にそういっとかないと、あまりにだらけてもアレだろ」
肩あぐら組んだ足首を、ぐっと自分へと引き寄せながら、隣に座っているアサキへとちらり視線を向けた。
眠っている。
カズミと反対側に座っている治奈に肩を預けてアサキは、くー、と小さな寝息を立てている。
アサキの足元にあるバッグを見ると、ファスナーのスライダーからキーホルダーがぶら下がっている。
真っ赤な変身ヒーロー、カズミがあげたバクゲキレッドのキーホルダーを、さっそく身近な物につけているのだ。
それに気付いたカズミは、ちょっと微笑ましい表情になって、アサキの寝顔を見続けていた。
「マジックで落書きしてくださいといわんばかりに、ぐっすりだなあ」
「それだけ頑張ったってことじゃ」
「ま、そうだな。よくこのカズミ様のシゴキに耐えたよ」
微笑を浮かべながら、手を伸ばしてそっと、アサキの頭を撫でた。
と、その瞬間、撫でてた左腕のリストフォンが、ブーーーーーーと振動した。
「はぎゃあああああああああ!」
頭にリストフォンを押し当てられる格好になったアサキが、振動に頭骨をガツガツガツガツ直撃されて、夢から一瞬で叩き起こされていた。
「カズミちゃんっ、どうしてすぐそういう悪戯するのおおお!」
「いや、ごめん、わざとじゃない。急に緊急メッセージが着信してさ。なんだろ?」
カズミは、アサキの頭から手を離し、リストフォンの画面を見た。
「あ、あれっ、わたしのも、なんか、着信している」
アサキはまだ眠そうながらも驚きに目を見開いて、自分の左腕にはめられたリストフォンの画面を見た。
治奈、正香、成葉も同様に。
「なんだよ、こりゃあ……」
カズミの、驚き不安がる声。
当然の反応だろう。
何故ならば、五人のリストフォンには、同じように、こう表示されていたのである。
真実が真実であると思うのは傲慢か。
コトン
小気味よく揺れている。
車窓から見える田園風景が、ゆっくりと後ろへ流れている。
カタン
コトン
車両内はガラガラで、ほとんど乗客はいない。
七人掛けシートに座っているのは、
平家成葉、大鳥正香、
反対側には、明木治奈、令堂和咲、昭刃和美。
強化合宿から帰る、JR常磐線車両の中である。
「……とかあるわけでな。ほじゃけえ、アサキちゃんと同じくらい、うちらにとっても中身のある合宿にはなったのかな」
明木治奈が、満足げな笑みを浮かべた。
「基本は、治奈さんが常々おっしゃっている通り日々の生活や鍛錬ですけど、でも今後のために色々と考えることは出来ましたね」
大鳥正香、いつも通りのおっとり口調である。
「なにより楽しかったしな」
昭刃和美が、片あぐら組みながら器用に身を乗り出しつつ、にかっと歯を見せて子供みたいに笑った。
その言葉に、治奈がぷっと吹き出した。
「どの口がいうかの。出発前はアサキちゃんに、遊びじゃねえんだってあんなに脅すようにいってたくせに」
「だってさあ、最初にそういっとかないと、あまりにだらけてもアレだろ」
肩あぐら組んだ足首を、ぐっと自分へと引き寄せながら、隣に座っているアサキへとちらり視線を向けた。
眠っている。
カズミと反対側に座っている治奈に肩を預けてアサキは、くー、と小さな寝息を立てている。
アサキの足元にあるバッグを見ると、ファスナーのスライダーからキーホルダーがぶら下がっている。
真っ赤な変身ヒーロー、カズミがあげたバクゲキレッドのキーホルダーを、さっそく身近な物につけているのだ。
それに気付いたカズミは、ちょっと微笑ましい表情になって、アサキの寝顔を見続けていた。
「マジックで落書きしてくださいといわんばかりに、ぐっすりだなあ」
「それだけ頑張ったってことじゃ」
「ま、そうだな。よくこのカズミ様のシゴキに耐えたよ」
微笑を浮かべながら、手を伸ばしてそっと、アサキの頭を撫でた。
と、その瞬間、撫でてた左腕のリストフォンが、ブーーーーーーと振動した。
「はぎゃあああああああああ!」
頭にリストフォンを押し当てられる格好になったアサキが、振動に頭骨をガツガツガツガツ直撃されて、夢から一瞬で叩き起こされていた。
「カズミちゃんっ、どうしてすぐそういう悪戯するのおおお!」
「いや、ごめん、わざとじゃない。急に緊急メッセージが着信してさ。なんだろ?」
カズミは、アサキの頭から手を離し、リストフォンの画面を見た。
「あ、あれっ、わたしのも、なんか、着信している」
アサキはまだ眠そうながらも驚きに目を見開いて、自分の左腕にはめられたリストフォンの画面を見た。
治奈、正香、成葉も同様に。
「なんだよ、こりゃあ……」
カズミの、驚き不安がる声。
当然の反応だろう。
何故ならば、五人のリストフォンには、同じように、こう表示されていたのである。
真実が真実であると思うのは傲慢か。
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