上 下
1 / 5

1・記憶のない僕と自称恋人たち

しおりを挟む
記憶喪失というモノになった。
事故にあったせいだというが、その事故すら、僕は覚えていない。
気付くと病室で、季節は夏で、病院関係者と見舞いに来た家族に、自分の事を教わった。
先生は記憶はじき戻るだろうと言った。家族もそれまでの辛抱だと言った。


退院して自宅に戻ってからも、自分の過去の出来事を学ぶという作業が続いた。
家はどうも金持ちであるようだった。そしてその家で、ある人物を紹介された。
それはフミヤという名の、同じ年で、同じ学校に通う、僕のいとこだという少年だった。
そのいとこの存在により、今の、記憶のない僕は僕として存在出来ている。


「緊張してる?」
フミヤに聞かれ、僕は頷く。
「……してる。泣きたい。帰りたい」
そう答える僕にフミヤが眉を下げて、困ったような顔を向ける。

「それは出来ないよ。明日から新学期だしね」
僕は夏休みの帰省中に事故にあって、記憶を失くしていた。

「事故の事言ったら許されないかな? まだ記憶が戻ったワケじゃないし、病気だし」
「病気……ではないと思うけど」
「記憶喪失って病気じゃないの?」
「ないんじゃない?」
フミヤの返事に溜息をつく。

「はぁ、嫌だな。知らない人達の中に放り込まれるの」
「僕も同じクラスだよ」
「だから、フミヤ以外は知らない人だろう」
むくれながら、歩道の脇の夏草を引きちぎる。
この緑に囲まれた道は、学校の寮まで続いているらしい。


「あー、不安だな」
抜いた草をブチブチと千切り捨てながら嘆いていると、フミヤが隣で笑っている事に気付いた。

「なんか楽しそうな顔だな」
「だってミサキ、子供みたいなんだもの」
フミヤは穏やかな笑顔を浮かべている。
「……昔の僕はこんなんじゃなかった?」
聞くと一瞬フミヤの顔が引きつる。
「う……ん、どうだろう? そんな面もあったと思うけど」

僕はイマイチ、以前の僕がどんな人間か掴めていなかった。
記憶があろうがなかろうが、僕が僕である事に変わりはないと思うんだけど、なんだか周りの反応を見ていると、どうもしっくりこない。

「もしかして僕、事故に遭った今の方が性格が悪い? 病院で甘やかされたから?」
草を放り捨てて詰め寄ると、フミヤは両手を上げて降参ポーズをする。

「別に今も性格悪くはないんじゃないかな? 昔ももちろん悪くなかったし」
「本当?」
顔を寄せると、反対にフミヤは顔を背ける。

「う、うん。君は人気者だったよ」
「それは聞いてるけどさ!」
でも本当かどうかは分からない。本人に向かって学校で嫌われていたとか、虐められていたとは言わないだろう。

「……でもやっぱり不安だな。上手くやっていけるかな」
俯いて呟くと、フミヤは肩をポンと叩いた。
「大丈夫だよ。その為に僕がいるんだ。みんなには今日のうちにちゃんと説明しておくし、大丈夫だよ」
僕はフミヤを見上げる。
背が高くがっしりとした体格のフミヤは、たれ目で穏やかな雰囲気で、まるで「良いお父さん」みたいな人間だ。
記憶がなくて不安だった僕にとっては、本当に頼れる友人だった。

「あれが僕達の寮だよ」
言われて道の先に見える建物を見た。
博物館や美術館を思わせる、豪奢な造りの白っぽい建物だった。

「全寮制……ではないんだっけ?」
「うん、一応ね」
「すごくオシャレだね。美術館とか、ちょっとしたお城みたいだ。なんだか自分が場違いな気がしてきた」
「何言ってるの? ミサキはあの寮の中心的人物だったんだから」
「僕が?」
とてもそうは思えなかった。
豪華で綺麗な、まるで王宮のような建物。そこで自分が生活していたなんて、嘘みたいだ。

「僕ってどんなヤツだったの?」
「だから、みんなに好かれていたよ。学校や寮では、いとこの僕ですら近付けない位に」
「大袈裟に言ってるだろう?」
今こうして話しているフミヤが、側にいなかったなんて信じられない。

僕はフミヤが好きだ。彼は真面目だし、気が利くし、すごく性格が良い。
そんな人間を自分が放っておいて、他の人間と仲良くしていたとは思えない。
そこまで以前の自分が、人を見る目がなかったハズはないと思う。と言うか思いたい。


寮の扉を開けると、すぐに受付の管理室があった。
そこで送っていた荷物を受け取ると、フミヤの案内で中央の大きな階段に向かう。
僕達の部屋は同じ3階にあるらしい。


「ここがミサキの部屋だよ。暫くしたら迎えに来るから、お茶でも飲んで待ってて」
「了解」
案内された部屋の前で荷物を置いて、フミヤの歩く先を見る。
フミヤは僕の部屋から数メートル先の角を曲がった。意外と内部は広いらしい。
記憶喪失という生まれたて状態のような僕は、寮の中もさっぱり分からない。
だから後でフミヤに案内してもらう事になっている。それまでは自室の見学だ。
僕がカードキーを翳し、ドアを開けた時だった。

「ミサキ、お帰り!」
声をかけられ振り返った瞬間、知らない人に抱きつかれた。

「わっ」
「もう、ずっと待ってたんだよ。戻るのが遅れるなら、連絡くれれば良かったのに」
ガシリと背中に手をまわしている、こいつは誰だ?
僕は眉を顰めて言う。

「苦しいから離してくれるかな?」
「ああ、ごめん、久しぶりだったからつい」
離れて改めて顔を見る。もちろん僕の記憶にはない顔だ。けれどすごく印象的な顔をした人物だった。
フワリとした茶色の髪に、零れそうな大きな瞳。美少女という言葉が浮かんだが、彼は男だ。

「そんな見つめないでよ。照れるな……」
「あ、ごめん」
顔を赤くして言われて、反射的に謝る。
「ええ? 謝らなくて良いよ。むしろミサキに見つめられて嬉しい。というか、僕の方がミサキをずっと見てたい。
あーん、どうしてこうミサキはこんなに綺麗なの? 僕、本当にミサキ以上に綺麗な人見た事ないよ。愛してる!」
再び抱きつかれた。どうしよう。今すぐ殴り倒したい。というかこの人、頭大丈夫かな? 
なんか見かけと違って、発言変だし、怖いんだけど。

「は、離して!」
我慢できず、僕は乱暴に彼を引きはがす。
「いったー。酷いよミサキ……」
「あ、ご、ごめん、つい」
謝ると彼は指を唇にあてる。

「えー許すの、どうしようかな? ミサキ次第だけど」
面倒臭いな。この子。そう思いながら、僕は作り笑顔を向ける。

「本当にごめんなさい。許して下さい」
「フフ、良いよ。大好きなミサキだもん、これで許してあげる」
言うと僕の首を抱きしめ、彼はキスしてきた。

え?
やわらかく押しつけられた唇はすぐに離れた。

「えへへ」
幸せそうに笑う彼の前で、僕は氷の彫像になる。
なにこれ、キス? もしかしてファーストキスじゃないよね? 
いや、それよりむしろ、実は僕がこの子と付き合ってるって方が怖くないか? 
僕は地面に倒れそうになった。

「あれ、ミサキどうしたの?」
少年が首を傾げたその時、廊下の角から現れたフミヤが叫んだ。
「わーーーーー!」
フミヤはダッシュで走ってきて、僕と彼の間に立った。

「シアン、今、ミサキと何か話した?」
「マナカ・フミヤ。珍しいね、僕に話しかけるなんて。というか、ミサキと何を話したって、何したって、君には関係ないと思うんだけど」
腕を組んで偉そうに言う。どうやらこいつはシアンという名前らしいが、なんかすごい感じ悪い。

「実は君に説明しないといけない事があるんだ」
「は? 説明?」
そこでフミヤは僕が事故にあった事や、記憶喪失の事を説明した。



「ええ!? じゃあ、ミサキは僕の事忘れちゃったの? このフジサカ・シアンを? 嘘、淋しいよ」
腕を掴んで涙目で言われた。でもなんか、この子にそう言われても、切なくとかならない。

「じゃあ、僕達がラブラブの恋人同士だった事も忘れちゃったんだね?」
「……嘘だよね?」
「んー、バレちゃったか」
危ない! この子すごく危ない! 気をつけないと、僕、とんでもない目に遭うんじゃない!?



「それで、寮のみんなへの説明をフミヤがするの?」
シアンの問いにフミヤは頷く。
「そのつもりだけど……」
「僕がやるよ。だって君の説明って回りくどいし、聞きにくいでしょ」
「ちょ、失礼な言い方するなよ」
僕が割って入るとシアンは眉を寄せる。

「今のミサキはフミヤの事、よく知らないからそう言うんだよ。いつものミサキだったら、フミヤの事頼ったりしないよ。僕のが君の力になれるって、分かってるよ」
「……」
気まずい思いで二人の顔を見る。フミヤは俯いて何も言わない。

「何かを仕切るとか、発言するとか、フミヤ嫌いでしょ?」
「嫌いというワケでは……」
「ああ、じゃあ言い方変える。やった事ないでしょ? だったら仕切りなれた人間の方が良いんじゃないかな。だいたい君、社交的じゃないじゃん」
「……そうだね」
シアンは勝ち誇ったように笑うと、僕の手を握る。
「よし、じゃあ、僕がみんなに説明してくるからね、ミサキは安心して待ってて」
廊下を走りさるシアンを見送る。
その姿が見えなくなってから、フミヤに向かって呟く。

「僕、あの子と仲良かったの?」
「……分からないけど、でも二人がよく一緒にいるのは見たよ」
「本当に? はぁ、自分で自分が分からないよ。あんなテンションの子と、どんな顔して過ごしてたんだろ」
「どんな顔って……」
一瞬考えるように目を伏せた後で、フミヤは顔を上げる。

「ミサキはいつも穏やかに微笑んでいたと思うよ」
「え?」
予想外だった。昔の僕はあんな自己中そうな子に寛容だったんだろうか。
それともやっぱり、一緒に過ごした時間の中で、あの子の良い所をいっぱい見ていたのだろうか。
今の自分では、とても同じように微笑むなんて、出来そうにないなと思った。

「そうだ、寮の案内してくれるんだよね?」
「え?」
突っ立ったままだったフミヤに言う。
「他の人への説明は、あの子、シアンだっけ? がしてくれるようだけど、ここの案内は頼んでないからね。ちゃんとフミヤが案内してくれるんでしょう?」
「うん」
少しフミヤが元気になったような気がして、僕は笑顔になる。
「じゃ、シアンが戻ってくる前に行こう。ちょっと待ってて、今荷物を部屋に入れるから」
部屋の隅に荷物を置きながら、自室を見渡す。
ちょっとおしゃれ感には欠けるが、きちんと片付いている。
見覚えはないが、なんとなく自分の部屋だとしっくりくる。

「お待たせ」
廊下に出て鍵を閉めると、僕はフミヤの手を掴んで歩き出す。フミヤの顔が固まる。
「あ、ごめん、手掴んじゃって……」
慌てて手を離すとフミヤは首を振る。
「いや、寮の中が分からないと思うのに、率先して行こうとするから、どうするんだろうって思っただけだよ」
「そう言えばそうだね。じゃあ改めて案内してくれる?」
「うん」
僕はフミヤの後について廊下を進んだ。


最初に見た時、美術館のように立派だと感じたが、この寮は内部の方がもっとすごかった。
施設が充実していて、図書室や、映写室まで用意されていた。勉強も娯楽も困る事はなさそうだ。
食堂も広いし、個室シャワーに、大浴場、医務室に勉強室など、綺麗で便利な場所がたくさん用意されている。
これはかなりのお坊ちゃま学校なんだなと、実感する。

3階建の大きな自宅を見た時にも感じたが、やはり僕の家はお金持ちのようだ。
当然他の生徒も金持ちなんだろう。
そう考えれば、シアンのような性格の、いかにもな子がいるのも納得させられる。

「だいたい回ったし、あとは個人の部屋だけど、誰が誰か分からないうちに案内しても仕方ないし、これで終了で良いかな?」
最後に案内されたカフェの前の廊下で、フミヤが言った。

「うん、ありがとう。でもフミヤの部屋は確認させてもらっても良い?」
「僕の部屋?」
「うん、というか今から遊びに行っても良いかな?」
「え、うん、良いけど」
フミヤの顔が微かに赤くなったように見える。

「じゃあ、何か飲み物でも買ってく? お茶で良ければ部屋にある冷蔵庫から出せるけど」
「ん、お茶で良いよ」
階段の方に足を向けた時、目の前のカフェから人が出てきた。
スラリとしたスタイルの良い人で、驚く程の美形だった。その人は僕達に気付くと目を細めた。

「やぁ、ミサキ、久しぶりだね」
穏やかに微笑まれた。
女子だったらとろけてしまうんじゃないかって位の、映画にでも出てきそうな眩しい笑顔だった。

「あ、うん……そうだね」
僕は当たり障りのない答え方をした。
ここで記憶喪失を説明するのも面倒臭い。

「じゃあ、僕はフミヤと話があるんで」
「あ、うん……」
フミヤの背中を押して、彼の前から急ぎ足で立ち去る。
いぶかるような視線を感じたが、気のせいかもしれない。
なんとなく、背の高さだとか、穏やかな雰囲気だとかが、フミヤに似た人だと思った。



「ねぇフミヤ、今の超絶美形は誰?」
歩きながら聞いてみる。
「ああ、彼はヒューガ・ナナト。美形で頭も良いし、簡単に言えば優等生で、学校の誰もが知る有名人」
「優等生……それならフミヤも同じ優等生だよね?」
その言葉にフミヤは慌てる。
「いや、僕なんか優等生じゃないよ! あんな有名人の人気者と同じだなんて言ったら、袋叩きにあうよ!」
「袋叩きって、ここってそんなイジメとかあるの?」
フミヤは胸の前で両手を振る。
「違う違う。比喩だよ、比喩」
「そっか」
陰湿なイジメみたいなのはないようで安心した。

「でも、記憶がなくてもナナトの事はやっぱり美形だって思うんだね」
「ん? いや、だって美形でしょう? あの顔はどう見ても」
僕の言葉にフミヤは苦笑する。
「いや、それはそうだけど、ミサキ自身がすごい美形だからさ」
「えー、僕はフミヤが言う程、美形じゃないじゃん。美形っていうのはさ、もっとこう落ちついててクールで大人っぽい感じでさ、ナナトみたいな感じの事を言うんだと思うよ。僕は多少顔のパーツが良くても、ガサツな感じじゃないかな?」
フミヤの顔が少し真面目なものになる。
「うーん……確かに今のミサキは、美形と言うのとはちょっと違うのかなぁ」
『今のミサキ』という言葉が少しひっかかった。

記憶があった頃の僕は、美形という言葉が相応しいような人間だったのだろうか。
なんだか少し気が重くなった。


「僕はあのナナトって人と仲良かったの?」
「……僕にはなんとも言えないかな。普通に会話してたのは見た事があるけど、親しかったのかって聞かれると、それが悩みを打ちあける程だったのか、そうでもなかったのかとか、そこまでは分からないからね」
「そっか、そうだよね」
まぁ、それは本人に後で聞けば良いだろう。

話をしながら歩いていると、自室のある3階まで辿り着いた。
フミヤの部屋は、僕の部屋から角を曲がったちょっと先にあった。
隣ではないが、そんなに遠いわけでもない。遊びには行きやすそうだ。

「特に面白いものはないけど、どうぞ」
そう言ってフミヤはドアを開けてくれた。部屋の中は予想通りという感じで、綺麗に片付いていた。
僕の部屋も綺麗だったが、フミヤは更にホコリ一つない、掃除の徹底された清潔感ある部屋だった。
ベッドの上に腰かけると、本棚の本のタイトルなどを見ながら訊ねる。

「いつも僕はこの部屋に遊びに来てたの?」
フミヤは備え付けの冷蔵庫からお茶のボトルを取り出すとグラスに注いだ。

「そんなに来た事はないよ」
「そうなの?」
「言ったでしょう。君は人気者だったんだよ。たくさん友達がいたから、僕の所にばかり来てたりはしていないよ」
「そうなんだ」
フミヤからグラスを受け取り、そっと口をつける。
寮内は空調が効いていて過ごしやすいが、やはり夏なので冷たい飲み物は嬉しい。


記憶のない僕は、まだフミヤとは数週間の付き合いだ。
でもこの短い期間で、フミヤに対してかなりの好感を抱いている。
親戚だから僕の事を押し付けられたのだろうが、フミヤは嫌な顔一つしないで、面倒を見てくれる。
いや、それ以外でも、彼の誠実な性格は、この短い期間でもちゃんと伝わってくる。
今の僕なら、フミヤをいつでも遊んだり、何でも相談する『親友』として選ぶのだけど、以前の僕はそうでもなかったのだろうか? 
それとも今の発言はフミヤの謙遜というか、過剰に僕を褒めているだけのモノなんだろうか。

考えていると、フミヤが勉強机の椅子に腰をおろして僕を見つめた。
「記憶がなくて不安だとは思うけど、あんまり以前の自分の事を気にしなくて良いと思うよ。ミサキはミサキなんだから」
言われた言葉に胸が温かくなった。
「うん、ありがと」
僕は手の中にあったグラスに口をつけようとした。
その瞬間、激しくドアを叩く音がしたと思ったら、そのまま開かれた。

「ああ! やっぱりミサキここに居たんだ!」
大声で叫んだのはシアンだった。彼は許可もとらずにズカズカと部屋に入ってくる。

「もう、僕がみんなに説明してる間にいなくなるなんて酷いよ! 久しぶりに会ったし、ミサキといっぱい話したかったのに」
「え、えっと……」
困ってフミヤを見る。

「シアンもお茶を飲む?」
「いらないよ。紅茶だったら部屋に最高級の茶葉があるからね。ミサキもそんな安物飲まないで、僕の部屋でお茶しようよ」
シアンは僕の腕を引っ張る。なんだ、この失礼な発言と態度は。

「悪いけど、まだフミヤと話し中だから」
はっきり拒絶すると、シアンは細く美しい眉を顰めた。
「なんか、ミサキ冷たくなった……。いつもなら僕のお願いは何でも聞いてくれるのに」
「……」

正直何と答えたら良いか分からない。
以前の僕はそんなにもこの子に寛容だったのだろうか。
僕の様子で察してくれたのか、フミヤは穏やかに微笑みながらシアンに声をかける。

「もう少しで僕達の話も終るから、シアンは自分の部屋で待っていてよ。そうしたらミサキが部屋に行ってくれると思うよ」
「本当?」
小首を傾げてシアンに聞かれた。仕方なく僕は頷く。

「うん、後で寄るから待っててよ」
「約束だよ。僕の部屋を忘れたから行かなかったとか、言わないでよ?」
バレてる。僕は仕方なく笑顔で頷く。

「うん、後でお邪魔するよ。君の話も聞きたいしね」
その言葉に満足したのか、シアンはおとなしく自室へと帰った。
彼がいなくなってから大きく溜息をついたら、フミヤに笑われた。

「彼の押しの強さは相変わらずだね。今は大変かもしれないけど、以前の君は彼とも上手くいってたから大丈夫だよ」
本当かよって思う。まぁ、徐々に慣れていくのかな?


フミヤの部屋でお茶を飲んだ後で、シアンの部屋に行った。
シアンは待ちくたびれたと言いながら、温かい紅茶を出してくれた。
夏にホットはどうかと思ったが、確かに美味しいお茶だった。
それに茶器もブランド物と思われる美しい絵柄だったし、更に素敵なお茶菓子つきだった。

「なんか、高そうなお菓子だな」
宝石のようにキラキラ輝く、薔薇の形のお菓子を摘まみあげる。
「ミサキはそれが昔からお気に入りだったんだよ。綺麗で美味しいって」
僕は期待に胸ふくらませて口にする。

「あ、美味しい」
グミを柔らかくしたような、ゼリーよりは少し弾力がある、そんな触感のお菓子だった。
「フフ、気に入ってくれて嬉しいな。ミサキの為に実家から取り寄せてるからね」
「え、これって君の実家で作ってるの?」
「いやだな、違うよ。ここって買い物も自由に出来ないから、家からまとめて送ってもらってるの。この紅茶もそうだよ。有名店の最上級品なんだから」
「そうなんだ」
バクバク食べてしまったが、もっと味わって食べればよかっただろうか?

「安心して。ミサキが欲しいならいくらでもあげるから」
シアンは僕の肩に手を廻しながら隣に座る。
因みに部屋の広さはどこも同じようで、ベッドと勉強机と棚しか置けない位の、狭い空間だ。
だからどの部屋に行っても、勉強机の椅子に座るか、ベッドの縁に腰かけるかしか、座る場所はない。
まぁ、相部屋でないだけ良いと思うけど。
僕はさっきと同じようにベッドに座っていたが、でもだからって肩に手を廻して座らないで欲しい。

「えっと、くっつきすぎじゃない?」
「え、なんで? ダメ?」
真顔で聞かれて戸惑う。

「いや、だって変でしょう?」
「変じゃないよ。ミサキはいつもこうやって僕に甘えさせてくれたじゃないか」
ギュって抱きつかれた。なんだこれは、なんなんだ?

「えっと……篤い友情を持ってもらってるのは嬉しいけど、ほら、僕は以前の記憶がないし、ちょっと困……戸惑うんだよね」
「友情じゃないよ。僕はミサキの事が好きだもん」
なんか決定的な発言を聞いてしまった気がする。

「え、え?」
「だから、僕はミサキが好きなんだよ」
シアンはベッドに手をついて僕を見上げてくる。

「あ、えっと、その……記憶のない僕に告白されても困るんだけど……ちゃんと以前の僕に言ってもらわないと……」
「大丈夫。僕の気持ちはミサキ知ってたし。っていうかこの寮や学校じゃ、みーんな知ってるけどね」
「そ、そうなの?」
心臓の強い子だ。ある意味感心する。

「えっと……こんな事を聞くのはどうかとも思うんだけど、その、えっと、僕は君になんて返事してたのかな?」
じっと意味ありげに見つめられた。もしかしてまた付き合ってたとか、嘘をつかれるんだろうか。

「ありがとうって、そう言われてたよ」
「え?」
意味が読み取れなかった僕に、シアンは再度言う。

「ありがとう、気持ちは嬉しいって言われてた」

それは……遠まわしに断ってたって事かな。
少しふくれたような、それでいて真剣な顔でシアンは続ける。

「そういう意味で、今すぐには応えてはあげられないけど、でもシアンの事は好きだよって、ミサキは言ってくれたよ。だから僕は、いつかミサキが振り向いてくれるまで頑張るって言ったんだ。そしたらミサキは優しく笑ってくれたよ。だから僕はまたミサキを好きになったんだ」
シアンは僕の胸に抱きついてきた。
うわ、どうしよう。最初会った時より悪い子じゃないんだなって思ったけど、でもこれは困る。

「えっと……今の僕は何も覚えてないんだ。だからその、この告白の続きは記憶が戻った僕に言ってあげて欲しいな」
シアンは顔を上げた。

「……記憶がないならさ、逆に今から僕の事好きになっちゃっても良いんじゃない?」
「え?」
シアンは僕のシャツを乱暴に握る。

「だからさ、この僕に一目ぼれするとか、改めて今のミサキが僕を好きになれば良いんだよ」
シアンは僕の頬を両手で掴んで顔を寄せる。
「わ、ちょ、ちょ」
「ミサキ、本当に綺麗だね。大好きだよ」
シアンから顔を背けようとしたが、逃げ場がなく後ろのベッドに倒れる。
でもこれは逆にピンチだ。
シアンは僕の上に乗って、更に顔を寄せる。

「キスはね、今までもたくさんしてたよ。だから緊張しなくて良いよ」
「う、嘘だ!」
「嘘じゃないよ。ミサキはいつだってキスさせてくれたもん。それ位には僕だって好かれてたんだよ」
昔の僕のバカ! 何やってんだよ? 貞操感なさすぎじゃない!?

「で、でも、今の僕はしないから!」
「ダーメ」
シアンの唇が触れる。そう思った時、やけに楽しそうな声が聞こえた。

「はーい、そこまでだよー」


僕達は驚いて声がした方を見た。
いつの間にドアを開けたのか、扉の前に一人の男が立っていた。
背の高いイケメンだ。
ついさっきナナトという超美形と会ったが、目の前の男はそれとはまた違った種類の美形だった。
簡単に言ってしまうと、もっと軽薄そうな雰囲気だ。
茶色の髪や口調がそう思わせるのかもしれないが、優等生というよりは問題児といった感じがする。

「久しぶりに会えたからって、押し倒してキスするのはどうかと思うよ。というか、君はミサキに押し倒されたいんじゃなかったんだっけ?」
その言葉にシアンは身を引く。
体が楽になって助かったが、でもシアンが押し倒される方希望って、なんかまた怖い情報を仕入れた気がする。
僕にはそういう趣味はない。
いや、なかったよねぇ? ちょっと心配だ。

「おーい、大丈夫か?」
目の前で手をヒラヒラ振られて、僕は部屋に入ってきたその男を見た。

「本当に記憶喪失なんだ?」
「……そうだけど」
貴方は誰だ? 聞こうとしたら先に言われた。

「俺はキリュウ・トーヤ。ミサキにはトーヤとか、ダーリンって呼ばれてたよ」
「嘘言わないで下さいよ。キリュウ先輩」
先輩!? この人先輩なのか!? 
ちょっと驚いている僕に向かってシアンが言う。

「こちらはキリュウ先輩。あと、この人これでも一応寮の監督生だから」
「え、そうなの?」
監督生などという肩書が似合わなそうな人なのに。

「そ、監督生だから困った事とかあったら何でも相談してくれよ。因みにもう一人、ヒュウガ・ナナトって奴が監督生だけど。まぁ俺の方が優秀で人望あるから、俺を頼ると良いよ」
ヒュウガ・ナナトの方を頼ろうと思う。

「じゃあ、ちょっくらミサキに話があるから」
突然キリュウ先輩は僕の腕を掴んで引っ張った。そのまま部屋の外に連れ出される。
流石のシアンもキリュウ先輩には逆らえないのか、黙って僕達を見送る。
どこに行くのかと思ったら、先輩は僕の部屋に向かっていた。

「はーい、鍵開けてねー」
部屋のドアを開けると、先輩は僕より先に中に入り、当然のようにベッドに腰かける。

「この部屋に来るのも久しぶりだなー」
言うとベッドに倒れ込んだ。

「布団の匂いかいで良い? んー良い匂い」
「やめて下さい! 変態ですか!」
つい全力で突っ込んで、枕で殴ってしまった。

「いってー。つーかミサキ元気そうだな」
「え?」
「記憶喪失って聞いてたけど、ぜんぜん元気そうだ」
もしかして僕の事を心配してくれてたのだろうか。
だからあえてバカな発言とかしてくれた? 
そう考えていると、先輩はベッドに座り直す。

「なんか、むしろ以前より元気になった感じだな」
「え?」
先輩は意味ありげに僕を見つめた。身動きが出来なくなった。
黙っているとこの人は本当に美形だと思う。会話がないと怖いと感じる位に。

「なぁ、ミサキは俺と付き合ってた事も、もう覚えてないのか?」

真顔で言われて、息を飲んだ。
付き合っていた。僕が? この人と?

僕は先輩の目を真っ直ぐに覗きこんだ。



「嘘……ですよね。僕とあなたが付き合ってたっていうのは」
黙って見つめ返された。
無言で絡む視線はお互いの心を見る、駆け引きのようだった。心臓の鼓動が早くなる。
緊張が限界まできた時、キリュウ先輩はニコリと笑った。
「やっぱ、バレた?」
僕はほっと息をついた。

「やっぱりそうですか。というか二回目なんで、そういう嘘つかれるの」
「二回目?」
「さっき、シアンにも同じ事言われました」
「うわー、俺、あいつと同レベルかよ!」
キリュウ先輩は両手で頭を抱えた。けれどすぐに気を取り直して、椅子に座る僕に顔を寄せる。

「でもさ、俺が付き合ってたって言って、一瞬信じたでしょ?」
「いえ」
「え、マジで? 俺と君なら、そうであってもおかしくなかったって思わなかった?」
「思わないですよ」

実はちょっと疑った。でも考えた末、付き合ってないって思った。
それも結構自信を持ってだ。なんでかは分からない。
しいて言えば、今のこの僕の好みではないから、だから昔もきっとそうだったんじゃないかと思った。

「ちぇ、残念だな」
呟きながらも、キリュウ先輩はぜんぜん残念そうな顔はしていなかった。

「俺とお前なら、似合いのカップルでこのままイケルと思ったんだけどな。ま、騙されなかったんなら仕方ない。改めて口説くまでだ」
「え?」
キリュウ先輩は僕の顎を掴んで持ち上げた。

「このまま俺の物になれよ」
顔が近付いてきた。唇が触れる。そう思った瞬間、僕は先輩を殴り倒していた。

「なに記憶がない、いたいけな後輩襲ってるんですか!?」
先輩はベッドから落ちて、殴られた頬をさすっている。
「イテテ……つーか、マジで殴られるとか思わなかったわ。意外すぎ……」
先輩の自慢であろう顔を殴ってしまった事に、ちょっと罪悪感を抱く。

「えっと、スミマセン。でも悪いのはキリュウ先輩だと思うんですよ」
先輩は何故だか楽しそうに笑った。
「はは、いや、予想外ではあるが、なんか楽しいわ」

楽しいとか言った。この人実はドエムなのかな?
美形だから、普段はこんな目に遭う事がないから新鮮なんだろうけど、変な趣味に目覚めさせてしまっただろうか? 
僕が余計な心配をしている間に、先輩は立ち上がってベッドに座りなおした。

「なんか、確かにお前、以前とは違うな」
「え?」
見つめると先輩はやわらかく笑う。

「今までのミサキなら、俺の事殴って抵抗するなんて面倒な事しないで、黙ってキスされてただろうな」
「ちょっと待って下さい。僕は貴方とまでキスとかしてたんですか? 僕はそんないかがわしい性格だったんですか!?」
「いかがわしいって言うか……単に面倒臭がりに見えたけどな」

頭を抱える。昔の僕とは一体どんなヤツだったんだろう? 
ちょっと聞くだけでも、なんか最低最悪な奴な気がしてきた。

「もしかして僕は、この美貌で寮の生徒をたぶらかす、小悪魔気取った、性格最低者だったんですか?」
先輩は大笑いした。
「あはは、お前面白すぎ。自分のこと自分で美形とか言うし、小悪魔とか、マジ面白い!」
先輩はひとしきり笑った後で、涙まで拭って言う。

「いや、改めて気に入ったわ。昔のお前はお前で、放っておけない奴だったけど、今はすげー面白い奴だわ」
その言葉に僕は戸惑う。以前の僕はそんなに今と違うのだろうか。
自分ではまるで分からない。

「そんな心配そうな顔すんなよ」
ふいに優しい声で言われドキリとした。

「記憶喪失なんて、実際になったヤツに会うの始めてなんだけどさ、そんな気にしなくても良いと思うぜ。俺は記憶があろうがなかろうが、お前に対する態度とか気持ちとか変える気もないし、他の奴だってすぐに今のお前に順応すると思うぞ」
「順応?」
「ああ、いくらお前が変わったって、人って生活してればすぐに順応すんだよ。お前、引越しした事とかある?」
「いや、記憶ないんで」
「あ、そっか、つーかこれは例えだけど、例え何年か過ごした家があっても、引っ越して2週間もしたら、もう新しい家の方に馴染んだりすんだよ」
「そう、なんですか?」
「ああ」
それが本当かどうかはともかく、この人なりに気遣ってくれた事は感じた。

「それとだ」
「はい?」
見つめると先輩はニッコリと笑った。

「俺の事はキリュウ先輩ではなく、トーヤと呼べ」
「トーヤ先輩?」
「いや、トーヤだ」
「え、先輩を呼び捨てで良いんですか?」
「以前のお前も、かしこまらない時には、平気で呼んでたぞ。いい加減にして下さい、トーヤ、まったくトーヤはって感じでさ」
「貴方はどんだけ、僕に呆れられる事をしてたんですか?」
「ちげーよ! お前が生意気な奴だったんだよ!」
僕は笑った。
とりあえずこの人と、ちゃんとした友達として付き合っていけそうな気がした。




トーヤが言った通り、寮や学校での生活、見知らぬ友人達に、僕はすぐに慣れた。
けれど以前の僕を知る人間達は、トーヤが言うほど簡単には慣れてくれなかった。
特に目に前にいるこの人は……。


寮の食堂。机の向かい側にはシアンの姿があった。
彼はパンをブチっとちぎっては乱暴に口に運ぶ。外見に似合わず、なんかワイルドな食べ方だ。
シアンは黙々と食事をしながら、ずっと僕の事を見ている。
なんとなく気まずい雰囲気を感じて、自分から声をかける。

「えっと、朝ご飯美味しい?」
「うん、そうだね、いや普通」
微妙な返事だ。

「……その……シアンは、なんか機嫌悪い?」
「悪い? 悪いに決まってるじゃないか!」
「そうなの? 僕、何かしたかな?」
怖々聞くとシアンは指をさした。

「なんで毎回毎回フミヤが隣に居るんだよ!」
指さされたフミヤは驚いたのか、ご飯の塊を慌ててのみこんでいる。

「フミヤがいるのが問題? 彼はぼくのいとこだし、友人でもあるんだけど」
「そうかもしれないけど、今までは一緒にご飯なんか食べてなかったじゃないか」
「記憶喪失前の事を言われても困るんだけどさ、でも今現在、僕がフミヤと一緒にご飯食べたいんだから、それは別に良いと思うんだけど」
ふてくされたようにシアンは肘をつく。

「良くないよ。そんなのぜんぜんミサキらしくない」
「今の僕が嫌なの? だったら無理に付き合って食べなくても良いと思うけど」
「嫌だよ! 僕は綺麗なミサキの顔を見ながらじゃなきゃ、美味しく、ご飯が食べられないんだから!」
以前の僕と彼の関係がまったく分からない。いや、シアン自体が分からない。

「つまる所、シアンはミサキと二人で食べたいって事だね」
フミヤの言葉にシアンは頷く。
「そう、その通り」
「でも別に、この食堂貸し切りでもないし」
テーブルがたくさん並んだ食堂は、それなりに広い。
そもそもこのテーブルだって長机で、僕達の対角線側にも人が座っている。
なんかこの会話が聞こえていたら申し訳ない感じだけど。

「過去の事を覚えていない僕が言うのもなんだけど、シアンはちょっと我が侭すぎるんじゃないかな?」
僕の発言にシアンの顔が蒼白になる。
「わ、我儘なんて……!」
今度は赤くなった。

「確かにそうだけど、そんなハッキリ言わなくても良いじゃないか!? ミサキ、前より意地悪になった!」
「え、ごめん」
つい勢いで謝ってしまう。

「謝ったってダメなんだから。許してなんかやらない。許して欲しかったらキスしてくれなきゃ嫌だ」
「いや、それは無理でしょう」
即答したら睨まれた。

「やっぱりミサキは意地悪になった。更にケチにもなった」
「いや、だって普通しないでしょ。キスなんて」
「してたもん」
シアンは涙を浮かべて、下から見上げるように僕を見る。

「そ、そんなこと言われても、僕に記憶はないし。君にそういう嘘つかれても分からないし、困るんだけど」
「僕が嘘つきだって言うの!? 本当なのにっ、酷いよ!」
シアンは怒って立ち上がった。
そのまま歩き去ろうとして、食べかけのパンだけ掴むと、再び僕を睨んでから出口に向かった。
僕はそれを茫然と見送った後で、フミヤに顔を向ける。

「えっと、どうしたら良いと思う?」
「うーん……とりあえず後でフォローしてあげれば?」
「フォローか」
またキスとか言われたらどうしようと思った。

「でも、それはあくまで、ミサキが彼と仲良くしたかったら、だと思うよ」
「え?」
「だって今の君がシアンが嫌なら、無理に仲良くする必要はないからね。昔はどうだったとか、そんな事は気にしないで、今の気持ちに正直になった方が良いと思うよ」

僕はフミヤの言葉の意味を考えながら、ご飯を食べた。
フミヤは無条件に優しい人に見えて、意外と厳しいのかもしれない。
でも言ってる事は正しいと思う。好きじゃない人に無理に付き合うよりは、距離をとって過ごす方が楽に決まっている。
フミヤは気にするなと言ったが、以前の僕はどうだったんだろう? 
嫌な人にも無理して付き合っていたのだろうか? それとも嫌いな人は無視してた? 
そもそも僕はシアンをどう思って、どう扱っていたんだろう? 
今の僕は正直彼の事がニガテだ。
嫌いではないが持て余してしまう。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】運命さんこんにちは、さようなら

ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。 とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。 ========== 完結しました。ありがとうございました。

【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています

八神紫音
BL
 魔道士はひ弱そうだからいらない。  そういう理由で国の姫から婚約破棄されて追放された僕は、隣国のギルドの町へとたどり着く。  そこでドSなギルドリーダー様に拾われて、  ギルドのみんなに可愛いとちやほやされることに……。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

俺の体に無数の噛み跡。何度も言うが俺はαだからな?!いくら噛んでも、番にはなれないんだぜ?!

BL
背も小さくて、オメガのようにフェロモンを振りまいてしまうアルファの睟。そんな特異体質のせいで、馬鹿なアルファに体を噛まれまくるある日、クラス委員の落合が………!!

これは三角関係ではありません

あさみ
BL
広瀬ナナトは放課後、イケメンで王子様みたいだと評判の白波朔也に呼び出される。 これは告白だろうと、なんとなく察するナナト。 緊張する中、聞こえてきた言葉はやっぱり告白。 けれどよくよく聞くとその告白は何故か複数形だった。 「俺達と付き合って下さい」 という言葉に動揺していると、廊下にもう一人いた事に気づく。 顏は格好良いのに、その毒舌キャラから『切り裂きジャック』と噂されている霧島潤だった。 潤と朔也はお互いを大親友と言っているが、その様子は傍から見ているとラブラブその物。 二人が付き合えば良いんじゃないかと思うが、潤も朔也も好きなのはナナトだと言う。 男同士はともかく三人で付き合うのは無理だとその場は断るナナトだが、潤も朔也もナナトを諦めないと言う。 しかもどちらかが出し抜くというのではなく、お互いを褒めてすすめてくる。 二人の仲の良さを疑問に思っていると、潤が朔也のヒーローだった事や、その潤のヒーローがナナトだった事を知らされる。 ナナトは小学校の時に泣いていた潤を助けた事を思い出す。 一緒に過ごすうちに、二人に情がわいてくるナナトだが……。 これは友情なのか恋なのか、三人で付き合う事になるのか、どちらか一人を選ぶのか。 三角関係のようで三角関係ではない物語。 (攻二人×受一人のほのぼの仲良しラブコメな感じです)

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話

gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、 立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。 タイトルそのままですみません。

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。

みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。 生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。 何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

処理中です...