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第二章 本部編
69 駆けつけた3人
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「? どうしたんだよサタロー、まさかお前そのモンスターに襲われたんじゃ……俺魔力感知下手くそだからよくわかんねーけど、お前から強い魔力を感じるような……」
「!? な、な、なに言ってんだ! そんなわけないだろ!いやー、俺モンスターに襲われたの初めてだからなんか今更怖くなってきて……」
「? そうか……なら休んでろよ。どうせ今日はポーションづくりできねーから」
「う、うんそうさせてもらうね」
本当に体調が悪くなってきたので、お言葉に甘えて俺は実験室の隣の部屋の仮眠室で休むことにした。そんな俺の姿をパスカルがじーっと見ていることはわかっていたが、関わってはダメだとスルーして部屋を出た。
ベッドに潜り込み大きな溜息を吐く。
「はー、なんで俺ばっかこんな目に遭うんだよ……一回お祓いとかしてもらった方がいいのかな」
「やっぱり、お前モンスターに襲われたな」
いつのまにかパスカルが仮眠室に入ってきていた。俺の愚痴を聞かれてしまったらしい。俺は慌てて起き上がり誤魔化しはじめる。
「襲われたよ、くすぐったかったなーほんと死ぬかと思った!」
「……」
俺の必死なごまかしを真顔で聞いているパスカル。これは絶対にバレている。もう言い逃れはできないと素直に白状したほうが良さそうな雰囲気である。
「はぁ、襲われましたよ。エロいことされた……」
「ふっ、やっぱり」
「笑うなー!!!」
俺がため息を吐きながら白状すると鼻で笑ってきた。俺は恥ずかしさで真っ赤な顔になっているだろう。
「いや~まさか本当に襲われるなんて思ってもいなかったぞ。連れていったかいがあっ……おっと口が滑った」
「……おい、今のどういう意味だ!?」
聞き捨てならないパスカルの言葉に抱えていた頭を上げる。パスカルは目を逸らして口笛を吹いている。鳴ってないし、口笛吹けないのかよ……って! そんなことはどうでもいい。
「おまえ! 襲われることわかってて俺を森へ行かせたな!!」
俺はパスカルの胸ぐらを掴みこちらを向かせると激しく揺さぶった。流石に俺へのイタズラも今回ばかりは度が過ぎる。クロムさんが助けてくれなかったら俺は今頃メンタルぼろぼろで立ち直れていないいぞ!
もしかしたらあのおちびーずに俺の痴態を見られていたかもしれないんだ。
俺の本気の怒りもパスカルには伝わっていないらしく、へらへらと笑って謝ってきた。
「はは、すまんすまん。わしも百年以上生きているがあのモンスターだけには会ったことがなくてな。サタローがあまりにも条件にピッタリだったから研究者の好奇心ってやつでつい……」
「ついじゃねぇぇ!!」
「いや、でもこれであの森には変態モンスターがいることがわかったわけだし、軍のためにもなったぞー」
「軍のためになった」という言葉で一瞬怒りが収まったが、そもそも俺以外にその条件に当てはまるものなんていないだろう。絶対ただのパスカルの好奇心だけで、俺は生贄になったんだ。騙されんぞ!
「なにが軍のためだ……今回ばかりは騙されないぞ!」
「えー、でもアルやギルも気になってたみたいだぞ」
「嘘をつくな! 彼らがそんなの気になってるわけないだろ! パスカルみたいに変態じゃあるまいし「サタロー!! 大丈夫かい!」……えっ」
俺がパスカルに言いくるめられまいと反論していると、仮眠室の扉が勢いよく開いた。
俺は驚いて扉の方へ顔を向けると立っていたのはまさかの人物、今ちょうど話に出てきたアルだった。
アルだけかと思いきやアルの後ろからギルとレオも部屋の中に入ってきた。
パスカルが呼び出したのかと未だに胸ぐらを掴んでいるパスカルの方を向くが、彼も驚いた顔をしているのでどうやら違うらしい。
あまりにも勢いよく慌てた様子で入ってきた3人に先程までの怒りがどこかへ吹き飛んでいっていた。
「ど、どうしたの3人とも……」
俺が恐る恐る3人に声をかけるとアルが俺の方に近づき、肩を掴み正面を向かされた。
とても焦っている顔に俺は唾を飲み込む緊張が走る。何かやらかしてしまっただろうかと不安になる。
「サタローあの森には入ったんだって!? 大丈夫だったかい?!」
「ねーねー、あのモンスターにあった? 俺、気になっちゃって」
「怪我はないようだな」
アルに続いてギルとレオも俺に近づき、質問攻めにあう。
さっきパスカルの言ったことは本当だったようで、どこから俺が森に入ったことを聞いたかは知らないが(まぁ多分マオやシュリに聞いたのだろう)変態モンスターは彼らの中ではとても話題性のある話だったようだ。
俺は聖徳太子ではないので三人いっぺんに話されてもあいにく答えられない。あまりの迫力に黙り込んだ俺は、横に追いやられているパスカルに助けを求める目を向ける。
しかし、さっきパスカルの言ったことを嘘だと否定したことを根に持っているのかそっぽを向いて自分でどうにかしろという素振りをした。
「ちょ、ちょっと落ち着いて!」
「これが落ち着いていられるか! 森に入るなら私もついて行ったのに」
「なーなー、変態モンスターにあったのかよー」
「あまり無理をするなよ、お前は兵士ではないのだから」
俺の言葉に全く耳を貸さない彼らに困り果てる。気にかけてくれているのはありがたいのだが、これでは答えようがない。あと若干一名心配してくれていない奴がいる。
「あーー!!! 静粛に! 順番に話して、ちゃんと答えるから!!」
俺の叫びに騒がしかった仮眠室が一気に静まり返る。静粛になんて人生で初めて使ったぞまったく。
俺の言葉に冷静さを取り戻した三人は謝りながらアルから順番に俺に話しかけてきた。
「!? な、な、なに言ってんだ! そんなわけないだろ!いやー、俺モンスターに襲われたの初めてだからなんか今更怖くなってきて……」
「? そうか……なら休んでろよ。どうせ今日はポーションづくりできねーから」
「う、うんそうさせてもらうね」
本当に体調が悪くなってきたので、お言葉に甘えて俺は実験室の隣の部屋の仮眠室で休むことにした。そんな俺の姿をパスカルがじーっと見ていることはわかっていたが、関わってはダメだとスルーして部屋を出た。
ベッドに潜り込み大きな溜息を吐く。
「はー、なんで俺ばっかこんな目に遭うんだよ……一回お祓いとかしてもらった方がいいのかな」
「やっぱり、お前モンスターに襲われたな」
いつのまにかパスカルが仮眠室に入ってきていた。俺の愚痴を聞かれてしまったらしい。俺は慌てて起き上がり誤魔化しはじめる。
「襲われたよ、くすぐったかったなーほんと死ぬかと思った!」
「……」
俺の必死なごまかしを真顔で聞いているパスカル。これは絶対にバレている。もう言い逃れはできないと素直に白状したほうが良さそうな雰囲気である。
「はぁ、襲われましたよ。エロいことされた……」
「ふっ、やっぱり」
「笑うなー!!!」
俺がため息を吐きながら白状すると鼻で笑ってきた。俺は恥ずかしさで真っ赤な顔になっているだろう。
「いや~まさか本当に襲われるなんて思ってもいなかったぞ。連れていったかいがあっ……おっと口が滑った」
「……おい、今のどういう意味だ!?」
聞き捨てならないパスカルの言葉に抱えていた頭を上げる。パスカルは目を逸らして口笛を吹いている。鳴ってないし、口笛吹けないのかよ……って! そんなことはどうでもいい。
「おまえ! 襲われることわかってて俺を森へ行かせたな!!」
俺はパスカルの胸ぐらを掴みこちらを向かせると激しく揺さぶった。流石に俺へのイタズラも今回ばかりは度が過ぎる。クロムさんが助けてくれなかったら俺は今頃メンタルぼろぼろで立ち直れていないいぞ!
もしかしたらあのおちびーずに俺の痴態を見られていたかもしれないんだ。
俺の本気の怒りもパスカルには伝わっていないらしく、へらへらと笑って謝ってきた。
「はは、すまんすまん。わしも百年以上生きているがあのモンスターだけには会ったことがなくてな。サタローがあまりにも条件にピッタリだったから研究者の好奇心ってやつでつい……」
「ついじゃねぇぇ!!」
「いや、でもこれであの森には変態モンスターがいることがわかったわけだし、軍のためにもなったぞー」
「軍のためになった」という言葉で一瞬怒りが収まったが、そもそも俺以外にその条件に当てはまるものなんていないだろう。絶対ただのパスカルの好奇心だけで、俺は生贄になったんだ。騙されんぞ!
「なにが軍のためだ……今回ばかりは騙されないぞ!」
「えー、でもアルやギルも気になってたみたいだぞ」
「嘘をつくな! 彼らがそんなの気になってるわけないだろ! パスカルみたいに変態じゃあるまいし「サタロー!! 大丈夫かい!」……えっ」
俺がパスカルに言いくるめられまいと反論していると、仮眠室の扉が勢いよく開いた。
俺は驚いて扉の方へ顔を向けると立っていたのはまさかの人物、今ちょうど話に出てきたアルだった。
アルだけかと思いきやアルの後ろからギルとレオも部屋の中に入ってきた。
パスカルが呼び出したのかと未だに胸ぐらを掴んでいるパスカルの方を向くが、彼も驚いた顔をしているのでどうやら違うらしい。
あまりにも勢いよく慌てた様子で入ってきた3人に先程までの怒りがどこかへ吹き飛んでいっていた。
「ど、どうしたの3人とも……」
俺が恐る恐る3人に声をかけるとアルが俺の方に近づき、肩を掴み正面を向かされた。
とても焦っている顔に俺は唾を飲み込む緊張が走る。何かやらかしてしまっただろうかと不安になる。
「サタローあの森には入ったんだって!? 大丈夫だったかい?!」
「ねーねー、あのモンスターにあった? 俺、気になっちゃって」
「怪我はないようだな」
アルに続いてギルとレオも俺に近づき、質問攻めにあう。
さっきパスカルの言ったことは本当だったようで、どこから俺が森に入ったことを聞いたかは知らないが(まぁ多分マオやシュリに聞いたのだろう)変態モンスターは彼らの中ではとても話題性のある話だったようだ。
俺は聖徳太子ではないので三人いっぺんに話されてもあいにく答えられない。あまりの迫力に黙り込んだ俺は、横に追いやられているパスカルに助けを求める目を向ける。
しかし、さっきパスカルの言ったことを嘘だと否定したことを根に持っているのかそっぽを向いて自分でどうにかしろという素振りをした。
「ちょ、ちょっと落ち着いて!」
「これが落ち着いていられるか! 森に入るなら私もついて行ったのに」
「なーなー、変態モンスターにあったのかよー」
「あまり無理をするなよ、お前は兵士ではないのだから」
俺の言葉に全く耳を貸さない彼らに困り果てる。気にかけてくれているのはありがたいのだが、これでは答えようがない。あと若干一名心配してくれていない奴がいる。
「あーー!!! 静粛に! 順番に話して、ちゃんと答えるから!!」
俺の叫びに騒がしかった仮眠室が一気に静まり返る。静粛になんて人生で初めて使ったぞまったく。
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