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第二章 本部編
68 モンスター
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「「「ただいまー」」」
「ただいま」
「おかえりなさいです!」
30分ほどかけて来た道を戻り研究所に戻ってきた俺たちは薬草を持ってロキとラケルさんの待つ実験室に戻ってきた。相変わらずおちびーずは元気いっぱいだ。
そんな彼らをラケルさんが明るく出迎えてくれた。
「見てみてたくさん薬草採ってきたよ!」
「わぁ! すごいですね」
「お前らなんもされなかったのか?」
「なにが?」
ロキの質問に不思議そうに首を傾げる3人。そんな彼らの姿にロキとラケルさんはお互い顔を見合わせて苦笑いをした。
そういえばこの2人行くのを相当嫌がっていたが、今ならその意味がよくわかる。あんな変態植物がいる森に入りたいとは思わないだろう。医療班は非戦闘員だから特にだ。
「いやー、植物のモンスターに出くわさなかったんならいいだけどさ」
「モンスター?」
「そうですよー! あの森にはうねうねとツルを伸ばして森に入ってきた人間を捕まえて悪さするモンスターがいるですよ」
「「なにそれ、おもしろそー!!」」
恐ろしそうに森にいるモンスターの説明をするラケルさんだったが、その効果は薄くマオとシュリは目をキラキラと輝かせて怖がる様子はなく、むしろ面白そうだと興味津々に話を聞いている。
「いやいや! あれは本当に苦しいですよ」
「拷問だよな」
二人は体を身震いさせて、今すぐにでも森に駆け出しそうなマオとシュリにモンスターの危険性を伝えている。
そうだそうだ、あんな危険な変態モンスターに捕まったら大変なことに……ていうか俺と同じ目にロキとラケルさんもあっているのか?!なんか想像するだけで……イヤイヤダメだろ想像は!
一人で首を横に振り変な妄想をかき消した。
「……何されるんですか?」
マオやシュリのように行きたい様子ではなかったソウヤが、おずおずとロキとラケルさんに質問をする。
「それはなー……」
ロキがソウヤの質問に答えようとする。
──おいおい! あんな変態行為をこんないたいけな子どもたちに教えていいと思っているのか!? 焦らしているのか、話すのをためらっているのかロキはその先をなかなか話さない。
おちびーずは今か今かと、うずうずとロキが口を開くのを待っている。
「な、なぁ……その話は──」
やはり良くないと話を止めさせようとした俺だが、少し遅くロキが口を開いてしまった。
「ツルに捕まって死ぬほど#くすぐり__・__されるんだ!!」
──は?
「「「おぉ!!! おもしろそー!」」」
ロキの言葉にソウヤも加わりますます笑顔ではしゃぎだすおちびーず。
そんな楽しそうな彼ら、俺にはどうでもいい。俺はロキの方に近づくとさっきの言葉の意味を聞き出す。
「あの、くすぐりって……」
「あ? くすぐりはくすぐりだろ、こうやってこちょこちょって10分ぐらいやられるんだ」
ロキは両手を前に出し指をウネウネと動かす。
「へ、へーそりゃ拷問だな……」
──あれ? じゃあ俺が出会ったモンスターってなに?
なんかとんでもなくやばい新種のモンスターに出会ってしまったのかもしれないと、段々と恐ろしくなってきた。
「あたしそのモンスターにあってみたーい!」
「ぼくも!」
「僕も……楽しそうなので」
恐れを知らない子どもたちは、さっきの説明も意味をなさず森に戻りたいと言い出す。
そんなギャーギャー騒ぐ3人の前に今まで黙っていたパスカルが立ち喝を入れる。
「ダメだ! お前らは隊の訓練に戻れ」
「「「……はーい」」」
パスカルの一言で、騒いでいた3人は静かになりしぶしぶと実験室を出て自分達の属する隊に戻っていった。
「さてと、わたしは薬草を干してきますね」
「おう」
どうやら薬草はそのままでは使えないようで、ラケルさんはカゴいっぱいの薬草を持って外へ出ていった。
「それより聖水の方はどうしたんすか?」
「あぁ、それならクロムに採りに行かせた」
「なんでそうなったんですか……」
「森でたまたまあいつを見かけてな……そういえばサタローはあいつと何を話していたんだ?」
急に俺に話を振ってきたパスカルに肩をびくりと震わせる。
「えっ、その……あー! さっき言ってたモンスターに捕まってたところを助けてもらったんだよ!」
「マジかよ! よかったなお前」
「う、うん」
なんとか誤魔化すことができたようだ。しかし、パスカルは俺の動揺した説明に少し怪しんでいるようだが、俺は目を逸らして無視してやった。
しかし、俺を襲ってきたモンスターがなんなのか知りたいと思う気持ちもあった。新種のモンスターだったら対策を考えないと俺のような被害者が出てしまうかもしれない。
「な、なぁ森には他にもモンスターとかいるのか?」
「ん? いるぞ、これがすげー面白いモンスターでさ、すごい限定された人だけに襲いかかってくるモンスターなんだよ」
「へ、へーそれってどんな?」
俺はさりげなくロキに森にいる他のモンスターの情報を聞き出す。
「強い魔力を体内に持ってるのに魔法が使えない、いわゆる宝の持ち腐れな男を狙って襲いかかってくる変態なモンスターらしいぜ……ウケるだろそんな人間いないっつーの」
「……ははは、ほんとだよな──」
──いますいます。君の目の前にね……
モンスターの説明を笑いながらしているロキに、表では一緒に笑って聞いていた俺だが内心1ミリも笑えていなかった。
あまりにピンポイントな人間に襲いかかってくるモンスターだ。もはや俺に襲いかかってくるためだけに生まれてきたようなモンスターなんですけど。
俺の顔はどんどん暗くなっていった。
「ただいま」
「おかえりなさいです!」
30分ほどかけて来た道を戻り研究所に戻ってきた俺たちは薬草を持ってロキとラケルさんの待つ実験室に戻ってきた。相変わらずおちびーずは元気いっぱいだ。
そんな彼らをラケルさんが明るく出迎えてくれた。
「見てみてたくさん薬草採ってきたよ!」
「わぁ! すごいですね」
「お前らなんもされなかったのか?」
「なにが?」
ロキの質問に不思議そうに首を傾げる3人。そんな彼らの姿にロキとラケルさんはお互い顔を見合わせて苦笑いをした。
そういえばこの2人行くのを相当嫌がっていたが、今ならその意味がよくわかる。あんな変態植物がいる森に入りたいとは思わないだろう。医療班は非戦闘員だから特にだ。
「いやー、植物のモンスターに出くわさなかったんならいいだけどさ」
「モンスター?」
「そうですよー! あの森にはうねうねとツルを伸ばして森に入ってきた人間を捕まえて悪さするモンスターがいるですよ」
「「なにそれ、おもしろそー!!」」
恐ろしそうに森にいるモンスターの説明をするラケルさんだったが、その効果は薄くマオとシュリは目をキラキラと輝かせて怖がる様子はなく、むしろ面白そうだと興味津々に話を聞いている。
「いやいや! あれは本当に苦しいですよ」
「拷問だよな」
二人は体を身震いさせて、今すぐにでも森に駆け出しそうなマオとシュリにモンスターの危険性を伝えている。
そうだそうだ、あんな危険な変態モンスターに捕まったら大変なことに……ていうか俺と同じ目にロキとラケルさんもあっているのか?!なんか想像するだけで……イヤイヤダメだろ想像は!
一人で首を横に振り変な妄想をかき消した。
「……何されるんですか?」
マオやシュリのように行きたい様子ではなかったソウヤが、おずおずとロキとラケルさんに質問をする。
「それはなー……」
ロキがソウヤの質問に答えようとする。
──おいおい! あんな変態行為をこんないたいけな子どもたちに教えていいと思っているのか!? 焦らしているのか、話すのをためらっているのかロキはその先をなかなか話さない。
おちびーずは今か今かと、うずうずとロキが口を開くのを待っている。
「な、なぁ……その話は──」
やはり良くないと話を止めさせようとした俺だが、少し遅くロキが口を開いてしまった。
「ツルに捕まって死ぬほど#くすぐり__・__されるんだ!!」
──は?
「「「おぉ!!! おもしろそー!」」」
ロキの言葉にソウヤも加わりますます笑顔ではしゃぎだすおちびーず。
そんな楽しそうな彼ら、俺にはどうでもいい。俺はロキの方に近づくとさっきの言葉の意味を聞き出す。
「あの、くすぐりって……」
「あ? くすぐりはくすぐりだろ、こうやってこちょこちょって10分ぐらいやられるんだ」
ロキは両手を前に出し指をウネウネと動かす。
「へ、へーそりゃ拷問だな……」
──あれ? じゃあ俺が出会ったモンスターってなに?
なんかとんでもなくやばい新種のモンスターに出会ってしまったのかもしれないと、段々と恐ろしくなってきた。
「あたしそのモンスターにあってみたーい!」
「ぼくも!」
「僕も……楽しそうなので」
恐れを知らない子どもたちは、さっきの説明も意味をなさず森に戻りたいと言い出す。
そんなギャーギャー騒ぐ3人の前に今まで黙っていたパスカルが立ち喝を入れる。
「ダメだ! お前らは隊の訓練に戻れ」
「「「……はーい」」」
パスカルの一言で、騒いでいた3人は静かになりしぶしぶと実験室を出て自分達の属する隊に戻っていった。
「さてと、わたしは薬草を干してきますね」
「おう」
どうやら薬草はそのままでは使えないようで、ラケルさんはカゴいっぱいの薬草を持って外へ出ていった。
「それより聖水の方はどうしたんすか?」
「あぁ、それならクロムに採りに行かせた」
「なんでそうなったんですか……」
「森でたまたまあいつを見かけてな……そういえばサタローはあいつと何を話していたんだ?」
急に俺に話を振ってきたパスカルに肩をびくりと震わせる。
「えっ、その……あー! さっき言ってたモンスターに捕まってたところを助けてもらったんだよ!」
「マジかよ! よかったなお前」
「う、うん」
なんとか誤魔化すことができたようだ。しかし、パスカルは俺の動揺した説明に少し怪しんでいるようだが、俺は目を逸らして無視してやった。
しかし、俺を襲ってきたモンスターがなんなのか知りたいと思う気持ちもあった。新種のモンスターだったら対策を考えないと俺のような被害者が出てしまうかもしれない。
「な、なぁ森には他にもモンスターとかいるのか?」
「ん? いるぞ、これがすげー面白いモンスターでさ、すごい限定された人だけに襲いかかってくるモンスターなんだよ」
「へ、へーそれってどんな?」
俺はさりげなくロキに森にいる他のモンスターの情報を聞き出す。
「強い魔力を体内に持ってるのに魔法が使えない、いわゆる宝の持ち腐れな男を狙って襲いかかってくる変態なモンスターらしいぜ……ウケるだろそんな人間いないっつーの」
「……ははは、ほんとだよな──」
──いますいます。君の目の前にね……
モンスターの説明を笑いながらしているロキに、表では一緒に笑って聞いていた俺だが内心1ミリも笑えていなかった。
あまりにピンポイントな人間に襲いかかってくるモンスターだ。もはや俺に襲いかかってくるためだけに生まれてきたようなモンスターなんですけど。
俺の顔はどんどん暗くなっていった。
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