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第二章 本部編
48 カオスな空間
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「さっさと下ろせー」
「やだね、ほれほれ高い高ーい」
あろうことか俺の体をそのまま上に投げた。
怖い怖い怖い怖すぎる!
レオは難なく俺をキャッチするが、俺は怖過ぎてレオの首に手を回しガタガタと震えている。
「マジでやめろ! 俺を殺す気か」
「ははは、大丈夫だって」
いつも腹立つ笑顔だが、今回ばかりは悪魔の微笑みに見えてくる。
そんな俺たちを見ているリズとソフィさんはというと、
「ラブラブね!」
「はぁー、たまりません」
マジで意味わからないこと言っている。なんなんだこの空間は俺が可笑しいのだろうか。誰か本当に助けてほしい。
そう願った俺を抱いているレオの後ろに誰かが立っていることに気づいた。レオもそれに気づいて後ろを振り返ろうとした瞬間頭に強烈なチョップを食らった。
「痛っだぁぁ!!! なにすんだよてめぇ! って、ギルじゃん」
なんと俺たちの背後にいたのはギルバードだった。このメンバーの中にギルがいるのってなんだか不思議な感じだ。頭のおかしい変態三人と常識人一人と平凡一人の組み合わせ。変態の比率が高すぎる。
「なにしてんだ、お前ら騒がしいぞ」
「ギルゥゥゥ、助けてくれレオが下ろしてくれないんだよ!!」
「はぁ、どうしたらお姫様抱っこの状態になるんだか知らんが、下ろしてやれレオ」
「……へいへい」
俺の言うことなんて全然聞かなかったのに、ギルの一言でレオは大人しく俺を地面に下ろした。やっぱ上司と部下の関係ってやつなのかな。
後でギルにお礼を言っておこう。
「あらあら、これは修羅場ってやつね!」
「えぇ、元カレと今カレのサタロー様をめぐる争いですね」
なんの解説してんの、二人は?!
なんで俺をめぐる争いになってんだよ!そもそもコイツらのものになった覚えはない。だから二人が争うはずはないのだが、ギルは腕を組んでレオを睨んでいる。なんか不穏な空気だ。
「おい、レオお前は一体なにをしているんだ?」
「何ってサタローとデートしてたんだけど」
「は!? してなぐっ──」
レオの言葉を否定しようとした俺の口を、レオが瞬時に手を当てて塞いだ。
「ほぉー、随分と暇そうにしているんだな」
「部下が優秀なもんでね。ギルは昨日倒れたらしいじゃーんダメだよちゃんと自己管理しないと~」
レオの煽るような言葉に眉間にしわを寄せ、明らかに怒っている様子のギル。この2人もしかして仲が悪いのかもしれない。確かにおちゃらけたレオと堅物真面目なギルは相性悪そうだ。
俺は固唾を呑んで2人の言い合いを見ていた。
「そうだな、全く仕事をしない隊長がいてな、そのおかげで仕事が進まなくて困っている」
「えー、誰だよそれもしかしてシオン、それともレイさん?」
ギルはついに組んでいた手を離し、レオの頭を鷲掴みにした。
「お前だよレオンハルト!! ちったぁ自分の仕事をしやがれ!! 第一連隊だけ書類が全く上がってこないんだよ!」
「いだだだだ!!! ギブギブっ! やるから、ちゃんとやるから許してくださいギルバード様!」
「ちっ、たくっ何度目だよ」
ギルは鷲掴みにしていたレオの頭から手を離すとレオは痛そうに自分の頭を撫でていた。ギルは大きなため息をついている。
こいつは一体何人の人に迷惑をかけているのだろうか。部下のみならず上司にまで迷惑をかけているなんて……
俺の予想とは違いどうやらギルとレオは仲が悪いようではないらしい。むしろギルの素の口の悪さが出てきてしまっている。
「はぁ、ギルバード様とレオ様もありですね」
「そうね、ありかもしれないわ」
後ろから聞こえてくる、変態少女たちの声は触れると危険なので放っておこう。
「だったら今すぐ兵舎に戻ろうか、ちょうど書類を取りに行くところだったんだ」
「げっ! まじかよそれはちょっと……サタローと約束があるんだよ! ね! サタローくん」
俺の方を見て助けを求める顔をするレオだが、約束なんてした覚えはない。ギルは俺の方を見て、それは本当かと顔で訴えているようだった。
レオを助けるかギルに渡しレオを見捨てるか百獣の王の運命が俺に託されたわけだ。
勿論、俺の答えは最初から決まっている。
「約束なんてしてないから連れてっていいよ!」
「そうか、じゃあ行くぞレオ」
俺の言葉を聞いたギルは、レオの首根っこを掴むと嫌がるレオを無理やり引っ張り、ずるずるとさっき逃げ出してきた部屋に戻っていった。
「サタローの裏切り者ー!!!」
と言う声が聞こえたような気がしたが、きっと気のせいだろう。
「やだね、ほれほれ高い高ーい」
あろうことか俺の体をそのまま上に投げた。
怖い怖い怖い怖すぎる!
レオは難なく俺をキャッチするが、俺は怖過ぎてレオの首に手を回しガタガタと震えている。
「マジでやめろ! 俺を殺す気か」
「ははは、大丈夫だって」
いつも腹立つ笑顔だが、今回ばかりは悪魔の微笑みに見えてくる。
そんな俺たちを見ているリズとソフィさんはというと、
「ラブラブね!」
「はぁー、たまりません」
マジで意味わからないこと言っている。なんなんだこの空間は俺が可笑しいのだろうか。誰か本当に助けてほしい。
そう願った俺を抱いているレオの後ろに誰かが立っていることに気づいた。レオもそれに気づいて後ろを振り返ろうとした瞬間頭に強烈なチョップを食らった。
「痛っだぁぁ!!! なにすんだよてめぇ! って、ギルじゃん」
なんと俺たちの背後にいたのはギルバードだった。このメンバーの中にギルがいるのってなんだか不思議な感じだ。頭のおかしい変態三人と常識人一人と平凡一人の組み合わせ。変態の比率が高すぎる。
「なにしてんだ、お前ら騒がしいぞ」
「ギルゥゥゥ、助けてくれレオが下ろしてくれないんだよ!!」
「はぁ、どうしたらお姫様抱っこの状態になるんだか知らんが、下ろしてやれレオ」
「……へいへい」
俺の言うことなんて全然聞かなかったのに、ギルの一言でレオは大人しく俺を地面に下ろした。やっぱ上司と部下の関係ってやつなのかな。
後でギルにお礼を言っておこう。
「あらあら、これは修羅場ってやつね!」
「えぇ、元カレと今カレのサタロー様をめぐる争いですね」
なんの解説してんの、二人は?!
なんで俺をめぐる争いになってんだよ!そもそもコイツらのものになった覚えはない。だから二人が争うはずはないのだが、ギルは腕を組んでレオを睨んでいる。なんか不穏な空気だ。
「おい、レオお前は一体なにをしているんだ?」
「何ってサタローとデートしてたんだけど」
「は!? してなぐっ──」
レオの言葉を否定しようとした俺の口を、レオが瞬時に手を当てて塞いだ。
「ほぉー、随分と暇そうにしているんだな」
「部下が優秀なもんでね。ギルは昨日倒れたらしいじゃーんダメだよちゃんと自己管理しないと~」
レオの煽るような言葉に眉間にしわを寄せ、明らかに怒っている様子のギル。この2人もしかして仲が悪いのかもしれない。確かにおちゃらけたレオと堅物真面目なギルは相性悪そうだ。
俺は固唾を呑んで2人の言い合いを見ていた。
「そうだな、全く仕事をしない隊長がいてな、そのおかげで仕事が進まなくて困っている」
「えー、誰だよそれもしかしてシオン、それともレイさん?」
ギルはついに組んでいた手を離し、レオの頭を鷲掴みにした。
「お前だよレオンハルト!! ちったぁ自分の仕事をしやがれ!! 第一連隊だけ書類が全く上がってこないんだよ!」
「いだだだだ!!! ギブギブっ! やるから、ちゃんとやるから許してくださいギルバード様!」
「ちっ、たくっ何度目だよ」
ギルは鷲掴みにしていたレオの頭から手を離すとレオは痛そうに自分の頭を撫でていた。ギルは大きなため息をついている。
こいつは一体何人の人に迷惑をかけているのだろうか。部下のみならず上司にまで迷惑をかけているなんて……
俺の予想とは違いどうやらギルとレオは仲が悪いようではないらしい。むしろギルの素の口の悪さが出てきてしまっている。
「はぁ、ギルバード様とレオ様もありですね」
「そうね、ありかもしれないわ」
後ろから聞こえてくる、変態少女たちの声は触れると危険なので放っておこう。
「だったら今すぐ兵舎に戻ろうか、ちょうど書類を取りに行くところだったんだ」
「げっ! まじかよそれはちょっと……サタローと約束があるんだよ! ね! サタローくん」
俺の方を見て助けを求める顔をするレオだが、約束なんてした覚えはない。ギルは俺の方を見て、それは本当かと顔で訴えているようだった。
レオを助けるかギルに渡しレオを見捨てるか百獣の王の運命が俺に託されたわけだ。
勿論、俺の答えは最初から決まっている。
「約束なんてしてないから連れてっていいよ!」
「そうか、じゃあ行くぞレオ」
俺の言葉を聞いたギルは、レオの首根っこを掴むと嫌がるレオを無理やり引っ張り、ずるずるとさっき逃げ出してきた部屋に戻っていった。
「サタローの裏切り者ー!!!」
と言う声が聞こえたような気がしたが、きっと気のせいだろう。
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