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第二章 本部編
47 最悪のタイミング
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レオとアーサーがいるであろう先程レオに連れてこられた、副連隊長室と書かれた部屋に戻る。
「お! サタローおっかえりー」
「ちゃんと仕事してたのかよ」
「もっちのろんろん!」
そう言ったレオは一枚の紙を俺に見せるように前に突き出してきた。その紙に近づきよく見てみると確かに文字が書かれてはいるものの字が汚さすぎて読むのが難解である。
それにレオの周りには他に書類はなく、おそらく一時間かけてこの一枚の書類を作り上げたっぽい。たった十行程しか書かれていない文、一文字一文字が大きいため実質五行ぐらいだと思われる。
隣のアーサーの机を見ると先ほどの書類の山が見事になくなっている。アーサーが元々有能なのか、それともレオがこんなんだからアーサーが有能にならざるおえなかったのかはわからないが、同情してしまう気持ちは変わらなかった。
「じゃ、仕事も終わったことだし俺はこれでお暇させていただきまーす」
「あ゛ぁ、おいコラレオどこ行くんだよ!!!」
「バイバーイ」
レオは椅子から飛び降りると俺を軽々とお姫様抱っこして、部屋を出て行った。
俺は何が起きたのか全くわからずになされるがままレオに抱き抱えられていた。
「おい、いいのかよ」
「いいの、いいの、どーせ俺が書いたのにもケチつけてあいつが書き直すんだから」
「あっそう、てか下ろせよ」
「まぁまぁ、もう少しここままで俺のトレーニングってことで」
トレーニングなんて面倒くさいとさっきまで言っていた奴が調子の良いことをいうもんだ。マオと走り回って疲れていたので今回は大人しくレオの重りになってやることにした。
素直な俺の様子を見て少し驚いていたレオだが、少し嬉しそうな顔をして第一連隊の兵舎の出口へ歩いて行く。
「それよりなんで俺にルディとマオを紹介したんだよ」
「ん? サタローがいつも一人で暇そうにしてたから、友達にと思ってね」
「え、それだけ」
「それだけだけど、一人はつまんないからなー」
意外だった。
レオがまさか俺のことを気づかって、友達として二人を紹介してくれたなんて。自分のことしか考えてないマイペース男だと思っていたのに少し見直してしまった。
「なに? どうかした?」
「べ、べつに……」
なんだろうか、レオに対する印象が少し変わった気がする。
「ありがとな、レオ」
俺はレオの頭に手を置き撫でてやる。
「はぁ!?な んだよ急にやめろ! くすぐったい」
「照れんなって」
「照れてない! 本当にくすぐったいんだよ!」
いつもからかわれているている俺だが、この時初めて俺とレオの立場が逆転した瞬間だった。
たまにはこう言うのも悪くないな。
◇◇◇
レオの意外な一面を知れた俺は上機嫌でレオの中に収まっていたのだが、その喜びも一瞬にして砕け散ることとなった。
兵舎の外へ出た瞬間、今一番会いたくない人物No.1に出くわしてしまったからだ。
「あっ」
「あら……あらあらあらあらー」
俺たちの状況を見るなり少女は驚いていたが、それはそれは嬉しそうに俺が今までで見たいろんな人の笑顔の中でも一番の笑顔を見た気がする。
「あら、ごめんなさい、お邪魔だったわねー」
「ぐっは!」
皆さんご存知のこの国のお姫様リズとそのメイドソフィさんだ。
ソフィさんは俺たちを見るや否や鼻血を噴き出してうずくまっている。
「ちょっと! ソファさん!」
「相変わらず腐ってるなお前らは……」
「まぁね! 私は婦女子のなかの腐女子だからね」
何を誇らしげに言っているのだろうか、リズは女性なのだから婦女子なのは当たり前のことなのに。
レオはリズの言った意味がわかるようで苦笑いを浮かべている。流石の変態レオもリズの変態さにはついていけないようだ。
「それにしても~」
「なんだよ……」
リズは俺の顔を見てニヤニヤとお姫様とは思えない下品な笑みを浮かべている。俺の顔に何かついているのだろうか?今の俺にはリズを喜ばせるようなことは何一つないはず……
「なになに、レオに乗り換えたの~ぐふふ」
「は?どう言う……あっ」
そういえば俺は今レオのトレーニングのための重りになっているんだった。そう重りとしてレオにお姫様抱っこされている……
「下ろせー!! 今すぐ俺を下ろせ!!!」
「おっと! なんだよ急に! 暴れるな危ないだろ!」
「危ないのは今のこの状況だぁ!!!」
必死の抵抗もレオの力が強くて引き剥がすことができない。なんて恥ずかしい場面を見せてしまっていたのだろうか。重りになりきっていたためお姫様抱っこされていることを忘れていた。
ついつい役にのめり込んでしまったようだ。
ぎゃあぎゃあと叫んでいる俺たちをリズとソファさんはキラキラした目で傍観していた。
見てないで助けてくれ!
「お! サタローおっかえりー」
「ちゃんと仕事してたのかよ」
「もっちのろんろん!」
そう言ったレオは一枚の紙を俺に見せるように前に突き出してきた。その紙に近づきよく見てみると確かに文字が書かれてはいるものの字が汚さすぎて読むのが難解である。
それにレオの周りには他に書類はなく、おそらく一時間かけてこの一枚の書類を作り上げたっぽい。たった十行程しか書かれていない文、一文字一文字が大きいため実質五行ぐらいだと思われる。
隣のアーサーの机を見ると先ほどの書類の山が見事になくなっている。アーサーが元々有能なのか、それともレオがこんなんだからアーサーが有能にならざるおえなかったのかはわからないが、同情してしまう気持ちは変わらなかった。
「じゃ、仕事も終わったことだし俺はこれでお暇させていただきまーす」
「あ゛ぁ、おいコラレオどこ行くんだよ!!!」
「バイバーイ」
レオは椅子から飛び降りると俺を軽々とお姫様抱っこして、部屋を出て行った。
俺は何が起きたのか全くわからずになされるがままレオに抱き抱えられていた。
「おい、いいのかよ」
「いいの、いいの、どーせ俺が書いたのにもケチつけてあいつが書き直すんだから」
「あっそう、てか下ろせよ」
「まぁまぁ、もう少しここままで俺のトレーニングってことで」
トレーニングなんて面倒くさいとさっきまで言っていた奴が調子の良いことをいうもんだ。マオと走り回って疲れていたので今回は大人しくレオの重りになってやることにした。
素直な俺の様子を見て少し驚いていたレオだが、少し嬉しそうな顔をして第一連隊の兵舎の出口へ歩いて行く。
「それよりなんで俺にルディとマオを紹介したんだよ」
「ん? サタローがいつも一人で暇そうにしてたから、友達にと思ってね」
「え、それだけ」
「それだけだけど、一人はつまんないからなー」
意外だった。
レオがまさか俺のことを気づかって、友達として二人を紹介してくれたなんて。自分のことしか考えてないマイペース男だと思っていたのに少し見直してしまった。
「なに? どうかした?」
「べ、べつに……」
なんだろうか、レオに対する印象が少し変わった気がする。
「ありがとな、レオ」
俺はレオの頭に手を置き撫でてやる。
「はぁ!?な んだよ急にやめろ! くすぐったい」
「照れんなって」
「照れてない! 本当にくすぐったいんだよ!」
いつもからかわれているている俺だが、この時初めて俺とレオの立場が逆転した瞬間だった。
たまにはこう言うのも悪くないな。
◇◇◇
レオの意外な一面を知れた俺は上機嫌でレオの中に収まっていたのだが、その喜びも一瞬にして砕け散ることとなった。
兵舎の外へ出た瞬間、今一番会いたくない人物No.1に出くわしてしまったからだ。
「あっ」
「あら……あらあらあらあらー」
俺たちの状況を見るなり少女は驚いていたが、それはそれは嬉しそうに俺が今までで見たいろんな人の笑顔の中でも一番の笑顔を見た気がする。
「あら、ごめんなさい、お邪魔だったわねー」
「ぐっは!」
皆さんご存知のこの国のお姫様リズとそのメイドソフィさんだ。
ソフィさんは俺たちを見るや否や鼻血を噴き出してうずくまっている。
「ちょっと! ソファさん!」
「相変わらず腐ってるなお前らは……」
「まぁね! 私は婦女子のなかの腐女子だからね」
何を誇らしげに言っているのだろうか、リズは女性なのだから婦女子なのは当たり前のことなのに。
レオはリズの言った意味がわかるようで苦笑いを浮かべている。流石の変態レオもリズの変態さにはついていけないようだ。
「それにしても~」
「なんだよ……」
リズは俺の顔を見てニヤニヤとお姫様とは思えない下品な笑みを浮かべている。俺の顔に何かついているのだろうか?今の俺にはリズを喜ばせるようなことは何一つないはず……
「なになに、レオに乗り換えたの~ぐふふ」
「は?どう言う……あっ」
そういえば俺は今レオのトレーニングのための重りになっているんだった。そう重りとしてレオにお姫様抱っこされている……
「下ろせー!! 今すぐ俺を下ろせ!!!」
「おっと! なんだよ急に! 暴れるな危ないだろ!」
「危ないのは今のこの状況だぁ!!!」
必死の抵抗もレオの力が強くて引き剥がすことができない。なんて恥ずかしい場面を見せてしまっていたのだろうか。重りになりきっていたためお姫様抱っこされていることを忘れていた。
ついつい役にのめり込んでしまったようだ。
ぎゃあぎゃあと叫んでいる俺たちをリズとソファさんはキラキラした目で傍観していた。
見てないで助けてくれ!
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