上 下
44 / 101
第二章 本部編

43 一緒

しおりを挟む
 肉料理を黙々と食べているとふともう一つパスカルに聞かなくてはいけないことを思い出す。食堂なんかで話す内容ではないのだがまだ人は少ないので大丈夫だろう。

「なぁパスカル、レオに聞いたんだけどさ……俺がその、しゃ、せ、いすると魔力も一緒に出るって本当なのか」

 あのリングのせいでその後の行為では精液が出せず正直いって苦しかった。最終的には外されたが結局出せなかった分が出てきてしまっていたし、意味なかった気がする。
 そのあと俺は気絶しちゃったけど、気絶間際にレオから次は女の子みたいにイケるようにしてあげるとか言ってた気がする。

 あの言葉の意味はよくわからないが、レオとやるのは当分遠慮したい。

「そんなわけないだろ。言っただろう魔力操作に長けた者でないと他人に魔力を送ることはできないと、魔法も使えないサタローにそんなことできるわけないだ……ろ? どうした?」

 パスカルの言葉を聞き俺の怒りは頂点に達していた。

「あのライオンまじ許さん……」

「大丈夫か?」

 流石のパスカルも俺の異変に気づき心配そうに声をかけるが、大丈夫な訳あるか! 

 俺は今日アイツに散々いじめられ、身も心もボロボロになっている。男としてのプライドをズタボロにされたのだ。どうにかやり返してやらないと割に合わない。残った肉をフォークで刺し豪快に食べる。

「ねぇ、レオの弱点ってなに?」

「弱点?なんだろうな……まさか仕返しでも考えているならやめておけ、返り討ちに会うだけだぞ」

「……うっ、まぁ仕返しはそのうちということで」

 パスカルの言葉で我が身可愛さであっさり仕返しするのをやめる。我ながら情けないがよく考えれば相手は連隊長、挑む方が無謀。一時の感情に流されて痛い目に遭うところだった、危ない危ない。

「ここ、いいか?」

「はい、いいです……ってギル!」

 誰かが相席してもいいか聞いてきたと思ったら相手はギルだった。二日前にあった時よりもずいぶん顔色が良くなっている気がする。

「なんだ、もう大丈夫なのか?」

「あぁ、ぐっすり寝たからもう平気だ」

「なんかあったのか?」

「ギルのやつ疲労で魔力不足になって今日の訓練中にぶっ倒れたんだよ。全く前の教訓から全く学んでいない」

 え、まさかレオが言ったことが現実になるとは……驚いた俺は隣に座ったギルの方に目をやる。頬を少し赤らめて恥ずかしそうにしている。部下の前で体調管理ができてなくてぶっ倒れたなんて確かに恥ずかしい話である。

 ギルって真面目でしっかりしてそうに見えて不器用だよな。

 倒れて医務室で寝ていたからスッキリした顔しているのか。倒れたのは心配だけど睡眠不足がそれで解消されたのは良かった。

「そんなことよりも、なんでサタローは首にタオルなんか巻いてるんだ?」

「え゛! いや、その……汗かいちゃって、いやー最近暑くなってきたよなー」

「……まぁ、たしかにそうだな」

 怪しんだ目で俺を見てくるが、今回もどうやら俺の完璧な演技によって難を逃れたようだ。

 真面目なギルに俺も魔力不足で倒れちゃったよ一緒だねーなんて言ったら、真面目なギルは自分のせいだと落ち込んでしまうに違いないので今日のことは黙っておこう。



◇◇◇



 夕飯を食べ終わり、お腹いっぱいになった俺は、疲れた体を休めるため自室に戻りベッドにダイブした。

「あー、疲れた」

 さてさて、明日は何をしようかと考える。
 
 今日が久々に充実した? 日になったが明日からまた特にすることがない暇な1日が始まる。

 そういえば、ソフィさんがレオと何かあったら話を聞きたいと言っていたがあの二人のことだからきっと、エロ話でもしろとか言ってくるに違いない。
 悪いが今回のことは誰かに話すつもりはない、というか恥ずかしすぎて口に出すのも遠慮したい。

 とにかく身体のキスマークが消えるまではリズに会わないのが吉だろう。

 レオには文句を言ってやりたいが、会うとまたロクでもないことするに違いないので会わない方がいいだろう。

 つまり俺は現在出会ってはいけない人が、リズとソフィさん、レオ、エドガー王子、レイモンド隊長と5人もいるわけだ。なんだこの国は猛獣の住処かなんかだろうか、いや変態の巣窟だな。

 疲れ切った俺はここで睡魔に襲われいつの間にか眠ってしまっていた。



しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

異世界転移して戻ってきたけど、疲れきったおじさんになっちゃった元勇者が子連れで再召喚されたら総愛されになってしまった件について

鳥海あおい
BL
勇者「クロエ」として異世界転移し、任を終えて普通に暮らしていた黒江光太郎はバツイチ、ブラック企業勤務、父子家庭。育児に家事疲れで、すっかり疲れ切ったおじさんになっていた。 だがそんなある日息子の律と再召喚される。 勇者として!ではなく、異世界でかつて魔王を倒したクロエはなんとアイドル的存在になっていたうえに、パーティーのメンバーから総愛されの逆ハーレム状態になってしまう。

兄たちが弟を可愛がりすぎです

クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!? メイド、王子って、俺も王子!? おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?! 涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。 1日の話しが長い物語です。 誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。

ギルド職員は高ランク冒険者の執愛に気づかない

Ayari(橋本彩里)
BL
王都東支部の冒険者ギルド職員として働いているノアは、本部ギルドの嫌がらせに腹を立て飲みすぎ、酔った勢いで見知らぬ男性と夜をともにしてしまう。 かなり戸惑ったが、一夜限りだし相手もそう望んでいるだろうと挨拶もせずその場を後にした。 後日、一夜の相手が有名な高ランク冒険者パーティの一人、美貌の魔剣士ブラムウェルだと知る。 群れることを嫌い他者を寄せ付けないと噂されるブラムウェルだがノアには態度が違って…… 冷淡冒険者(ノア限定で世話焼き甘えた)とマイペースギルド職員、周囲の思惑や過去が交差する。 表紙は友人絵師kouma.作です♪

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

処理中です...