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第二章 本部編
32 ズレた回答
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「なるほどねー、魔力を、もらうためだったわけか」
「そう、だから決して変態ではないから!」
「でも、納得したわサタローからギルの魔力を感じるわけ……」
俺が自分の身体のことをリズとソフィさんに話すと、二人は驚きながらも案外簡単に納得してくれた。
「それにしても、厄介な身体ね……ふふふ」
「そうですねお嬢様……ふふ」
──ふふふ?
リズとソフィさんは俺の方を心配や同情の顔で見るのではなく、ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべている。まるで初めてパスカルに会った時と同じ面白いものでも見つけたかのような表情だ。
その笑みを崩すことなくリズが俺に話しかける。
「じゃあサタローは総受けなのね」
「そ、総受け?」
「バリネコってことよ」
バリ、ネコ? 初めて聞く言葉だ。
犬派か猫派かってことだろうか。つまりとっても猫好きってことか! なぜ急にそんなことを言い出すのかわからないが、俺は特に犬も猫も同じぐらいに好きだ。
「俺、犬も猫も好きだけど……」
俺は少々照れながらリズの言葉を否定する。するとリズは飲んでいた紅茶を吹き出して、ソフィさんは顔を背けて肩を震わせた。二人の反応に俺の脳は、はてなでいっぱいになる。
「……なんなのこのピュアピュアボーイは」
「はぁ……教え甲斐があっていいじゃないですか」
二人は俺に聞こえない声でヒソヒソと何かを話している。俺何か変なこと言っただろうか?二人の反応に違和感を感じながらもその原因がわからずに首を捻る。
二人はひとしきり話を終えるとひとつ咳払いをして、真面目な顔で俺にさっきの言葉の意味を説明し始めた。
「ネコっていうのは受けってことよ、つまり入れられる側ってこと」
「いれ、られ…る……はっ!」
リズの説明で言葉の意味を理解した俺は、先ほどの返答がとんでもなく的外れでアホなことに気が付きどうしよもない羞恥心に襲われ顔を手で覆う。パスカルにも言われたけど俺のエロ知識は乏しすぎるのだろうか。自分より一つ年下少女に教えてもらうなんて恥ずかしすぎる。
そんな俺の反応を見て、リズは俺を励ますかのように言葉をかける。
「まぁまぁ、知らなくてもいいのよ別に一般常識じゃないから。そんなことよりもアルとギルとしたんでしょ、どうだったのよ」
「ど、どうって?」
「そりゃ、どっちがよかったか、とか?」
「どっちがって、どっちもよかったですけど……」
「ぐはぁ」
「ソ、ソフィさん!?」
ずっと頬を赤らめなが俺たちの話を聞いていたソフィさんが、何かに撃たれたように苦しそうに胸と口を押さえながらよろめく。よく見ると鼻から血を流していた。
俺は慌ててソフィさんを心配して声を掛けるがリズはあっけらかんとした様子で話を続けた。
「でも、最近はギルとばかりしてたから、アルが恋しくなったんじゃない?ほらさっき裏庭でアル早く帰って来ないかなって言ってたじゃない」
「そ、それは……」
別に恋しくて言ったわけではなく俺にも手伝えることが何かないか聞きたかったし、なによりギルがすごく疲れているようなので、アルが帰ってくれば少しは楽になるかもと思ったからだ。
このことをいうべきか迷ったが、アルは第二王子の護衛で本部を離れているとパスカルから聞いている。妹のリズだったら何かいい提案をしてくれるかもと思い相談することにした。
「実はギルがすごく疲れているみたいで、昨日の夜も最中に寝落ちしちゃったし、朝もすごく早くに起きてて……だからアルが帰ってくれば少しは負担が減るかもと思って」
「なるほど、つまり……欲求不満ってわけね」
「!? 違う、違うって! 俺の話聞いてた?!」
俺が深刻な話をしてるというのに全然違う解釈をするリズに全力で否定をする。俺の反応に彼女は笑いながら「冗談よ、冗談」と軽くあしらっている。そんなリズの対応に恨めしい顔でリズの方を見る。すると冗談を言ったリズは急に何かを悟ったような遠い目した。
「まぁ、あのバカ兄貴のせいでギルもアルも苦労してるからね~」
「バカ兄貴?」
もしかして第二王子のことを言っているのだろうか。すごく嫌そうな顔で話を続ける。
「あいつがアルを連れ回すのはいつものことよ」
「ど、どうして?」
「嫌がらせっていうか……憂さ晴らし?」
「嫌ってるのかあのアルを?!」
アルフレッドという男は誰に対しても分け隔てなく接し、男女問わず人気が高そうに見える。そんな男を嫌い、嫌がらせをするとは第二王子って相当嫌なやつなのだろうか。アルのことが心配になる。
「違うわよ、未練タラタラだからアルに嫌がらせの任務を急に入れて憂さ晴らししてんのよ。ただのとばっちりなんだけどね。アルも苦労してるわねー」
「??? どういうことだよ」
「まぁこれは、いつかわかるわよ。あまり関わらない方がいいし」
全く話が掴めない俺だが、リズも話す気がないようなのでとりあえずこの話は置いておくことにした。すごく気にはなるがアルが嫌われているわけではないことに少しホッとした。
「あ、あとうちのバカ兄貴の方には絶対近づかない方がいいわよ! あいつサタローみたいな可愛い系男子大好きの変態だから」
「……俺別に可愛くないと思うけど」
リズの全力の忠告に引き気味に答える。
身長もそこそこの17歳の平凡男を可愛いは少しキツすぎる気がする。みんな俺に気をつけろとか言うけど過大評価しすぎなんだよな。
「サタローは自分を過小評価しすぎね……まぁいいわとりあえず第二王子のエドガー兄さんには近づかないこと!」
「は、はい」
リズは何かをブツブツと言った後、もう一度俺に第二王子のエドガー様に会うなと忠告した。そもそも顔もわからないのに会うなと言われても困る。それに城に出入りするなんてことないだろうから早々出会うこともないだろう。
「そう、だから決して変態ではないから!」
「でも、納得したわサタローからギルの魔力を感じるわけ……」
俺が自分の身体のことをリズとソフィさんに話すと、二人は驚きながらも案外簡単に納得してくれた。
「それにしても、厄介な身体ね……ふふふ」
「そうですねお嬢様……ふふ」
──ふふふ?
リズとソフィさんは俺の方を心配や同情の顔で見るのではなく、ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべている。まるで初めてパスカルに会った時と同じ面白いものでも見つけたかのような表情だ。
その笑みを崩すことなくリズが俺に話しかける。
「じゃあサタローは総受けなのね」
「そ、総受け?」
「バリネコってことよ」
バリ、ネコ? 初めて聞く言葉だ。
犬派か猫派かってことだろうか。つまりとっても猫好きってことか! なぜ急にそんなことを言い出すのかわからないが、俺は特に犬も猫も同じぐらいに好きだ。
「俺、犬も猫も好きだけど……」
俺は少々照れながらリズの言葉を否定する。するとリズは飲んでいた紅茶を吹き出して、ソフィさんは顔を背けて肩を震わせた。二人の反応に俺の脳は、はてなでいっぱいになる。
「……なんなのこのピュアピュアボーイは」
「はぁ……教え甲斐があっていいじゃないですか」
二人は俺に聞こえない声でヒソヒソと何かを話している。俺何か変なこと言っただろうか?二人の反応に違和感を感じながらもその原因がわからずに首を捻る。
二人はひとしきり話を終えるとひとつ咳払いをして、真面目な顔で俺にさっきの言葉の意味を説明し始めた。
「ネコっていうのは受けってことよ、つまり入れられる側ってこと」
「いれ、られ…る……はっ!」
リズの説明で言葉の意味を理解した俺は、先ほどの返答がとんでもなく的外れでアホなことに気が付きどうしよもない羞恥心に襲われ顔を手で覆う。パスカルにも言われたけど俺のエロ知識は乏しすぎるのだろうか。自分より一つ年下少女に教えてもらうなんて恥ずかしすぎる。
そんな俺の反応を見て、リズは俺を励ますかのように言葉をかける。
「まぁまぁ、知らなくてもいいのよ別に一般常識じゃないから。そんなことよりもアルとギルとしたんでしょ、どうだったのよ」
「ど、どうって?」
「そりゃ、どっちがよかったか、とか?」
「どっちがって、どっちもよかったですけど……」
「ぐはぁ」
「ソ、ソフィさん!?」
ずっと頬を赤らめなが俺たちの話を聞いていたソフィさんが、何かに撃たれたように苦しそうに胸と口を押さえながらよろめく。よく見ると鼻から血を流していた。
俺は慌ててソフィさんを心配して声を掛けるがリズはあっけらかんとした様子で話を続けた。
「でも、最近はギルとばかりしてたから、アルが恋しくなったんじゃない?ほらさっき裏庭でアル早く帰って来ないかなって言ってたじゃない」
「そ、それは……」
別に恋しくて言ったわけではなく俺にも手伝えることが何かないか聞きたかったし、なによりギルがすごく疲れているようなので、アルが帰ってくれば少しは楽になるかもと思ったからだ。
このことをいうべきか迷ったが、アルは第二王子の護衛で本部を離れているとパスカルから聞いている。妹のリズだったら何かいい提案をしてくれるかもと思い相談することにした。
「実はギルがすごく疲れているみたいで、昨日の夜も最中に寝落ちしちゃったし、朝もすごく早くに起きてて……だからアルが帰ってくれば少しは負担が減るかもと思って」
「なるほど、つまり……欲求不満ってわけね」
「!? 違う、違うって! 俺の話聞いてた?!」
俺が深刻な話をしてるというのに全然違う解釈をするリズに全力で否定をする。俺の反応に彼女は笑いながら「冗談よ、冗談」と軽くあしらっている。そんなリズの対応に恨めしい顔でリズの方を見る。すると冗談を言ったリズは急に何かを悟ったような遠い目した。
「まぁ、あのバカ兄貴のせいでギルもアルも苦労してるからね~」
「バカ兄貴?」
もしかして第二王子のことを言っているのだろうか。すごく嫌そうな顔で話を続ける。
「あいつがアルを連れ回すのはいつものことよ」
「ど、どうして?」
「嫌がらせっていうか……憂さ晴らし?」
「嫌ってるのかあのアルを?!」
アルフレッドという男は誰に対しても分け隔てなく接し、男女問わず人気が高そうに見える。そんな男を嫌い、嫌がらせをするとは第二王子って相当嫌なやつなのだろうか。アルのことが心配になる。
「違うわよ、未練タラタラだからアルに嫌がらせの任務を急に入れて憂さ晴らししてんのよ。ただのとばっちりなんだけどね。アルも苦労してるわねー」
「??? どういうことだよ」
「まぁこれは、いつかわかるわよ。あまり関わらない方がいいし」
全く話が掴めない俺だが、リズも話す気がないようなのでとりあえずこの話は置いておくことにした。すごく気にはなるがアルが嫌われているわけではないことに少しホッとした。
「あ、あとうちのバカ兄貴の方には絶対近づかない方がいいわよ! あいつサタローみたいな可愛い系男子大好きの変態だから」
「……俺別に可愛くないと思うけど」
リズの全力の忠告に引き気味に答える。
身長もそこそこの17歳の平凡男を可愛いは少しキツすぎる気がする。みんな俺に気をつけろとか言うけど過大評価しすぎなんだよな。
「サタローは自分を過小評価しすぎね……まぁいいわとりあえず第二王子のエドガー兄さんには近づかないこと!」
「は、はい」
リズは何かをブツブツと言った後、もう一度俺に第二王子のエドガー様に会うなと忠告した。そもそも顔もわからないのに会うなと言われても困る。それに城に出入りするなんてことないだろうから早々出会うこともないだろう。
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