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第一章 転移編

22 五日目

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 それからと言うもの作戦その5でギルバートに叱られてしまったのもあり、なんとなく俺たちの間には気まずい空気が流れていた。
 ギルバードからも近寄りがたいオーラが出ており近づけずにいた。

 パスカルはその後も色々な作戦を俺に提案してくれたが、どの作戦も気が乗らず、あれよあれよという間に5日目の夕方になってしまった。

 俺もここで潮時かもしれない、誘惑もできないようじゃあこの先、生きて行くことなんてできやしない。
 俺に色仕掛けなんてこと出来るわけがなかったのだ。俺の人生もここまでかな、不思議と心が落ち着いている……

「んな、わけなーい! どうしようどうしよう! 俺死んじゃうよ! あーもうやだなんなのこの身体! 助けてパスカルぅー」

 パスカルのテントに来ていた俺は、パスカルに抱きつき無様に泣き崩れ助けを乞う。

「はぁー、全くなんでこんなに素直になれないかなー、見ててイライラしてくるわ」

 パスカルはと言うと最近とっても口が悪い、あと俺とギルバードを見て終始イライラしている。いつも冷静なパスカルがここまでイラついているのは珍しかった。だが俺にはそのイライラの原因がわからなかった。

 そんなことより俺の魔力問題の方が重要だ。あと少しで俺は死んでしまうのだが、なんかもう恒例行事みたいになってて、落ち込んでる気にもなれない。
 今までの俺だったら一人で抱えて苦しんでたんだろうけど、なんやかんやでパスカルって面倒見いいし、俺を見捨てたりしないからついつい甘えてしまう。言うなれば異世界での母親のような感じだ。

「わーん、ママぁ~」
「誰がママだ!」

 17歳の青年がエルフ少年(中身老人)に抱きついて泣き崩れるシュールな光景がそこにはあった。



◇◇◇



 それから泣き続けていた俺はパスカルに「もう寝るから出てけ」とテントから追い出されてしまった。
 なんて無慈悲な、血も涙もない。だが、テントから追い出される時にパスカルは

「まぁ、多分大丈夫だから大人しくテントへ戻って寝てろ」

と、言った。

 てことで、アルのテントに戻りベッドでゴロゴロとしている。このまま寝たら俺は間違いなくそのまま永眠する。まるで雪山のように寝るな寝るなと自分に暗示をかけ続けた。

 まったく、何が大丈夫なのだろうか? 
 もしかして寿命が伸びたとか、魔力を自分で作れるようになってるとか、アルが王子様の如く突然現れるとか……とにかくポジティブなことを考えて気を紛らわす。

 寝ちゃダメだと思うほど眠くなってしまうのが人の性というものだ。

 ──俺はそのまま夢の中へと落ちていった。



◇◇◇



「ったく、呑気に寝やがって死ぬことわかってんのか? 魔力もほとんど残ってねーのに」

 誰かの声が聞こえる、アルか?いや、アルにしては口が悪い。パスカルか?パスカルにしては声が低い、じゃあ誰なんだ?
 俺はその人物が誰なのか知りたくて重たいまぶたを無理やり上げる。

「んっ、だれぇ」

 身体が若干重く、少し息も苦しく感じ転移して来た初日の時の感覚によく似ていた。アルに抱かれるようになってからはその状態になっていなかったため少し怖くなる。

「俺だ、安心しろ魔力を分けてやるよ」
「ギルバードさんどうして?」

 目の前にいたのはギルバードだった。ただ、いつもは上げている前髪を下ろしていていつもより若干幼く見える。
 服装もいつもの堅苦しい格好ではなく、かなりラフな格好だ。

「今にも死にそうな奴を見捨てるほど、性根は腐ってねぇよ。悪かったな怖かったろ」

 そう言ったギルバードは、優しい顔で俺の頭を撫でてくれた。温かくて大きい手で撫でられて少し怖くなっていた気持ちが落ち着ついていく。
 俺の目の前にいるのは本当にあの普段険しい顔をし、威圧的なオーラを出している人物なのだろうか。
 見た目も相まって全くの別人に見える。

「はぁ、はぁ」

 俺の息がだんだん荒くなる。落ち着いたはずなのにあの時と同じ症状が出てきて、また怖くなってきた。
 不安そうな俺の顔に気づいたのかギルバードは、頭を撫でたまま俺の方に顔を近づけそのまま触れるだけのキスをする。
 
「ん、ん──」

 触れるだけのキスでは、魔力の含まれた唾液を貰う事ができずに焦ったい。あろう事かギルバードはそのまま唇を離してしまった。

「んー、なんでぇ」

 唇を離したギルバードの方を睨み不満を言う。

「はは、悪い悪いちゃんとやるよ」

 そう笑ったギルバードは、また俺に顔を近づけ今度は深い口づけをしてくれた。

「っん……ん──はぁ、おいひー」

 カラカラに乾いた喉を潤すような感覚に、飲み物を飲んだ時のような感想を言ってしまう。言った後に気づき恥ずかしくなる。

「ちっ、たくエロいこと言いやがって……」

 ギルバードは顔を背けて何かぼそっと呟いたが、俺にはうまく聞き取れなかった。

 それにしても、簡単に感じるようになってしまった俺は、基本キスされるだけで反応する身体となってしまっていた。
 ギルバードにキスされた事で俺の性器はしっかりと反応してしまっており、俺はこっそりと自分の下半身を見る。

 ギルバードからつい最近借りた黒のTシャツは返却する事なく、ちゃっかり俺がそのまま着てしまっている。
 大きめのTシャツだから、寝る時はズボンは履かないでいつも寝ていた。もちろんパンツは履いている。

 俺が下を向いている事に気づいたギルバードは、俺の下半身を見る。するとニヤリと笑った。

「なんだ、お前もう勃ってるのか?変態だな」
「なっ! 違っ、え?」

 反論しようとすると、ギルバードは俺の背後に周り寝ている俺を起き上がらせると座った彼の脚の間に座らされる。
 そのまま俺の下半身に手を持っていき、パンツ越しに俺の性器を触りはじめた。
 そのまま粘着質に触り続け、敏感な部分を責め始める。

「やぁ! そこ、だめっ」
「ふっ、気持ちいいんだろ」
「あっ、あっ、ダメ! イっちゃうっ」

 しつこく責め続けられて本当にイってしまいそうになり、脚を閉じようとするが、ギルバードの脚によって俺の脚を閉じれないように止められてしまう。
 パンツの布が擦れて、もどかしいのだが敏感なところを執念に責められ気持ち良すぎて苦しい。

「いいぞ、イけよ」
「やぁ、あっあっ、イクぅぅ」

 耳元で囁かれた一言で俺はあっさり、パンツを履いたまま射精してしまった。自分の精液によってパンツがジワジワと濡れていくのを感じ気持ちが悪い。

 ギルバードは俺の濡れたパンツのゴムの部分を引っ張り中が見えるようにする。

「見てみろ、お前の精液でぐちょぐちょだぞ」
「はぁ、はぁ、うぅぅ、見せないでぇ」

 ギルバードの言った通り、俺のパンツの中は俺が放った白い精液でぐちょぐちょになってしまっていた。恥ずかしい。
 さっきは優しいと思っていたギルバードだが急に意地悪になっていて混乱する。
 意地悪をするギルバードの方を振り向き上目遣いで涙ながらに睨む。しかしそんな顔はギルバードには全く効果がないようで、

「はは、悪かったよ」

そう笑ったギルバードは、俺の瞳に溜まった涙にキスをした。なんだろう優しくされたり意地悪されたりで気持ちがおかしくなりそうだ。緊張している暇もない。

 ギルバードは俺の精液でぐちゃぐちゃになったパンツを脱がせると、そのまま俺を四つん這いにさせた。

「? 何するの」

「なんだ、アルはバックではやらなかったのか」

 バックってこの体制でやるのか!初めての体位に急に緊張し始める。なんかギルバードの顔が見えなくて少し不安だ。
 そんな俺の不安を他所に俺の背後にいるギルバードは中をほぐすように指を入れてきた。
 グチュグチュとギルバードが指を動かすたびにいやらしい音がテント内に響く。

「はぁ、んぅ……ん゛あ」
「はは、本当に濡れんのかよ、しかも柔らかいな」

 アルが初めて俺を抱いた時と同じ反応をしている。
 
 ギルバードは俺の中から指を引き抜くと、ズボンをずらす音が聞こえ自身を入り口にあてがった。
 そしてそのまま俺の中へ挿入する。

「あ、んぅっ……ぁ、あ、あっ」
「はぁ、はぁ」

 ギルバードが俺の腰を掴み、自身の性器を抜き差しする。その動きと合わせて自然と俺の口から喘ぎ声が漏れる。
 ギルバードの荒い息づかいも聞こえ、普段冷静な彼からそんな声が出ることにゾワゾワと全身が震える。
 俺で気持ち良くなってくれていると思うと嬉しくなった。

 ただ顔が見られないのが少し残念だ。
 それにキスもできないし──

 ギルバードは徐々にスピードを早めていく、それに伴って俺の声も大きくなる。

 ギリギリまで自身の性器を引き抜いたギルバードは、一気に奥深くまで突いた。今までに感じたことのない感覚に俺の身体に雷が落ちたような感覚になり、ビクビクと身体を震わせてイってしまった。
 ギルバードも俺がイくのとほぼ同時に俺の中に精液を放った。

「あっ、ん゛ン……あ゛あ゛ぁぁ」
「くっ……はぁ、はぁ──」

 俺は上半身を支えられなくなり、そのままベッドに崩れ落ちお尻だけを高く上げた状態になっていた。ギルバードが俺の中から性器を抜く。それだけでも敏感になった俺の身体は反応してしまう。

「んっ……」
「サタローお前触らなくてもイけるなんて、本当に変態だな」

 俺に覆いかぶさり耳元で意地悪なことを囁いてきた。

「あっ……だって、気持ちよく、てっ」
「そうか、ならよかった……チュ」

 いつもより少しトーンが上がり嬉しそうに首筋に軽くキスをする。
 くすぐったさともどかしさを感じた俺は、ギルバードの方を向く。

「ギル……キスしてぇ」

 俺は辛い身体を起こしギルバードにキスのおねだりをした。どうやら俺はキスが好きだったらしい。アルはよくキスしてくれていたから、そのせいだろうか。
 ギルバードは目を大きく見開いて驚いた顔をしたが、すぐに険しい顔をする。

「ちっ、煽りやがって……」

 ギルバードは俺の要求に応えてキスをしてくれた。


 ──そして俺は五日間の心配なんて要らなかったぐらいに、ギルバードにたっぷり魔力を貰ったのであった。
 まぁ、いくら貰っても五日間しか寿命は伸びないんだけどね……

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