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第一章 転移編
16 魔法
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彼らが何者で今どんな状況なのかがわかったところで、次に知りたいことはこの世界についてとクロノス王国という国についてだ。
これからはこの世界で生きることになるわけだから、知っておいて損はないだろう。
何百年と生きているパスカルなら詳しく説明してくれるはずだ。
「じゃあ次、この世界について教えてくれ」
「世界ねー、サタローがいた世界と違うここと言えばやっぱり魔法が使えることだな」
「だよな」
大きく違うところは確実にそこだろう。前世では魔法はゲームや漫画、アニメなんかの設定でしかなかった。
しかしこの世界では、当たり前のように魔法が使えるわけで今も正面に座っているパスカルが持っていたフォークをふわふわと浮かせている。
普通にすごいし俺もやってみたい。だが、俺には魔力がないわけで魔法なんて使えないのだろう。
今のところわかっている俺の能力といえば、魔力が自分で作れなくて、人より興奮しやすくて男なのに濡れるという聞いたことない力しかなかった。
能力と呼べるほどの優れた力でもないし、もし欲しいか聞かれていたら即答で断っていただろう。今回は勝手についてきてしまったので仕方がない。
「やっぱり、俺には魔法は使えないのか?」
ダメ元でパスカルに聞いてみる。無理だと言われると思っていた俺だが、返ってきた答えは意外なものだった。
「別に使えるぞ」
「えぇ! 使えるのかよ」
「なぜそんなに驚くんだ?お前の中にはアルに貰った魔力があるだろう」
「確かに貰ったのはあるけど……」
そう言いながら俺は自分のお腹に手を当てる。今の話だと他人から貰った魔力でも魔法は使えるようだ。
「だが、魔法を使えば魔力を消費して寿命も縮むからな」
「あ、そっか」
「まぁ、最下級魔法程度なら大して魔力も消費しないで使えるとおもうぞ」
「最下級魔法ってどんな?」
「うーん、気持ちいつもより滞空時間が長い気がする空中魔法とか、海中でいつもより長く息が止められたような気がする魔法とかかな」
「……何だその自分の気持ち次第でどうとでも捉えられそうな魔法は!」
「最下級魔法だからなー」
最下級魔法ってもはや魔法じゃないだろうそんなの。せめて火を指パッチン一つでつけられるとか、手から水を出せるとかそのくらいはやってみたい。
最下級魔法がそんな低レベルとなると俺のやりたい魔法は中級レベルぐらいの魔法だろうか。
どのくらい魔力を消費するかはわからないが、自分の寿命を縮めてまでも魔法を使うのはかなりリスクを伴う。魔法がなくても生きていけるだろうし、使うのは諦めるしかなさそうだ。
使いすぎてぽっくり死んでも困るし、使えば魔力が減って精液を貰う期間が早くなってしまう。自分のわがままで忙しいアルに迷惑をかける訳にはいかない。
これから俺は魔法を使いたい気持ちを抑え、生きていかなければいけないわけだ。
「一ついい方法があるぞ、魔法を使いたい放題の方法が」
「!?……なんだよその方法!」
魔法を使うのは諦めるしかないと、肩を落としていた俺にパスカルは嬉しい言葉を放つ。
さすが物知りのエルフだ、伊達に300年以上歳食ってない。
「つまりだな、魔法を使ってもすぐに魔力を補給できればいいわけだから、セックスしながら魔法を使えばいいんだよ」
「…………」
期待した俺が馬鹿だった。
やはり魔法を使うのは諦めることにしよう。
気を取り直して、話の続きをする。
「それで、ほかにこの世界についてなんかないのかよ」
「そうだな、いろんな種族の者が存在しているな」
「確かに、パスカルってエルフなんだもんな」
「ああ、他にも獣人や鬼、悪魔なんかもいるぞ」
ファンタジーの世界のように様々な種族が共存しているようだ。アルやギルバードここにいる兵士達は俺と同じ人間の姿をしていたが、実は別の種族なのだろうか。
「アルとギルバードさんは人間じゃないのか?」
「あいつらは人間だぞ。今回は人間のみの編成部隊だからわし以外人間だが、王都にある本部に戻れば別の奴らもいるぞ」
別の種族がいると聞くだけでワクワクしてくる。特に獣人なんかはどんな感じなのだろうか、人間寄りの見た目なのか動物寄りの見た目なのかが気になるところだ。
魔法が使えないなら他のことでこの世界を楽しむことにしようと決意する。
「そうだ、一つ重要なことを言い忘れていた。この世界の悪魔は我々とは敵対関係にある。だから悪魔にもし弱っちぃサタローが捕まりでもしたら……」
パスカルは急に席から立ち上がると、襲いかかるようなポーズでジリジリと俺に近づきながら恐ろしいことを言ってきた。
ごくりと息を呑む。
「……捕まったらどうなるんだよ」
「そりゃもうぐちゃぐちゃのドロドロに犯されて、一生悪魔たちの性奴隷として生活するハメになる」
「ひぃー」
考えただけでも恐ろしいパスカルの言葉に震え上がる。そんな俺の反応を見て目の前の少年の皮を被った老人はどこか楽しんでいるようだった。
「すまない、ご飯はしっかり食べたかいサタロー……って何してるんだい?」
さっきアルフレッドを呼びにきたギルバードと同じ反応を示したアルが、俺たちのいるテントの中に入ってきた。
これからはこの世界で生きることになるわけだから、知っておいて損はないだろう。
何百年と生きているパスカルなら詳しく説明してくれるはずだ。
「じゃあ次、この世界について教えてくれ」
「世界ねー、サタローがいた世界と違うここと言えばやっぱり魔法が使えることだな」
「だよな」
大きく違うところは確実にそこだろう。前世では魔法はゲームや漫画、アニメなんかの設定でしかなかった。
しかしこの世界では、当たり前のように魔法が使えるわけで今も正面に座っているパスカルが持っていたフォークをふわふわと浮かせている。
普通にすごいし俺もやってみたい。だが、俺には魔力がないわけで魔法なんて使えないのだろう。
今のところわかっている俺の能力といえば、魔力が自分で作れなくて、人より興奮しやすくて男なのに濡れるという聞いたことない力しかなかった。
能力と呼べるほどの優れた力でもないし、もし欲しいか聞かれていたら即答で断っていただろう。今回は勝手についてきてしまったので仕方がない。
「やっぱり、俺には魔法は使えないのか?」
ダメ元でパスカルに聞いてみる。無理だと言われると思っていた俺だが、返ってきた答えは意外なものだった。
「別に使えるぞ」
「えぇ! 使えるのかよ」
「なぜそんなに驚くんだ?お前の中にはアルに貰った魔力があるだろう」
「確かに貰ったのはあるけど……」
そう言いながら俺は自分のお腹に手を当てる。今の話だと他人から貰った魔力でも魔法は使えるようだ。
「だが、魔法を使えば魔力を消費して寿命も縮むからな」
「あ、そっか」
「まぁ、最下級魔法程度なら大して魔力も消費しないで使えるとおもうぞ」
「最下級魔法ってどんな?」
「うーん、気持ちいつもより滞空時間が長い気がする空中魔法とか、海中でいつもより長く息が止められたような気がする魔法とかかな」
「……何だその自分の気持ち次第でどうとでも捉えられそうな魔法は!」
「最下級魔法だからなー」
最下級魔法ってもはや魔法じゃないだろうそんなの。せめて火を指パッチン一つでつけられるとか、手から水を出せるとかそのくらいはやってみたい。
最下級魔法がそんな低レベルとなると俺のやりたい魔法は中級レベルぐらいの魔法だろうか。
どのくらい魔力を消費するかはわからないが、自分の寿命を縮めてまでも魔法を使うのはかなりリスクを伴う。魔法がなくても生きていけるだろうし、使うのは諦めるしかなさそうだ。
使いすぎてぽっくり死んでも困るし、使えば魔力が減って精液を貰う期間が早くなってしまう。自分のわがままで忙しいアルに迷惑をかける訳にはいかない。
これから俺は魔法を使いたい気持ちを抑え、生きていかなければいけないわけだ。
「一ついい方法があるぞ、魔法を使いたい放題の方法が」
「!?……なんだよその方法!」
魔法を使うのは諦めるしかないと、肩を落としていた俺にパスカルは嬉しい言葉を放つ。
さすが物知りのエルフだ、伊達に300年以上歳食ってない。
「つまりだな、魔法を使ってもすぐに魔力を補給できればいいわけだから、セックスしながら魔法を使えばいいんだよ」
「…………」
期待した俺が馬鹿だった。
やはり魔法を使うのは諦めることにしよう。
気を取り直して、話の続きをする。
「それで、ほかにこの世界についてなんかないのかよ」
「そうだな、いろんな種族の者が存在しているな」
「確かに、パスカルってエルフなんだもんな」
「ああ、他にも獣人や鬼、悪魔なんかもいるぞ」
ファンタジーの世界のように様々な種族が共存しているようだ。アルやギルバードここにいる兵士達は俺と同じ人間の姿をしていたが、実は別の種族なのだろうか。
「アルとギルバードさんは人間じゃないのか?」
「あいつらは人間だぞ。今回は人間のみの編成部隊だからわし以外人間だが、王都にある本部に戻れば別の奴らもいるぞ」
別の種族がいると聞くだけでワクワクしてくる。特に獣人なんかはどんな感じなのだろうか、人間寄りの見た目なのか動物寄りの見た目なのかが気になるところだ。
魔法が使えないなら他のことでこの世界を楽しむことにしようと決意する。
「そうだ、一つ重要なことを言い忘れていた。この世界の悪魔は我々とは敵対関係にある。だから悪魔にもし弱っちぃサタローが捕まりでもしたら……」
パスカルは急に席から立ち上がると、襲いかかるようなポーズでジリジリと俺に近づきながら恐ろしいことを言ってきた。
ごくりと息を呑む。
「……捕まったらどうなるんだよ」
「そりゃもうぐちゃぐちゃのドロドロに犯されて、一生悪魔たちの性奴隷として生活するハメになる」
「ひぃー」
考えただけでも恐ろしいパスカルの言葉に震え上がる。そんな俺の反応を見て目の前の少年の皮を被った老人はどこか楽しんでいるようだった。
「すまない、ご飯はしっかり食べたかいサタロー……って何してるんだい?」
さっきアルフレッドを呼びにきたギルバードと同じ反応を示したアルが、俺たちのいるテントの中に入ってきた。
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