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25.5 久住の謎 日向side
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正義が自分の部屋に戻ったあと、ベッドに寝転がりさっきの正義の言葉を思い出す。
「番なんて作らない」正義に番の話をすると返ってくる答えは毎度同じこの言葉だった。
どうして作らないんだろう。
男と付き合うことがそんなにも嫌なことなのだろうかと、ずっとそう思っていた。
だから、僕と凛の関係も話さなかった。いつかはバレることだと分かっていたが、嫌われるのではと少なからず不安があったから自分からは言わなかった。
凛は「アイツがお前のこと嫌いになるわけない」と、平気そうな顔で言っていたが、僕は怖がりだからなかなか告白することができなかった。
でもつい最近付き合っていることがバレた。
凛の言った通り正義は僕たちを軽蔑することはなかった。弟だからと正義は言っていたが、きっとそこら辺にいる男同士のカップルを見ても気持ち悪いなんて正義は言わないと思う。
多分正義は、自分がオメガだから男と付き合うなんて気持ち悪いと言っているんだ。
オメガは発情すれば繁殖以外何も考えられなくなってしまう。そんな自分が嫌で嫌でしょうがないんだと思う。だからオメガの本能を否定する様に男を嫌っているんだ。
僕はそんな正義にたまに腹が立つ。
僕と凛がどれだけ愛し合っても子どもはできないのに、子どもができる身体を持っている正義は子どもなんて産まないなんて言うから。
でもそんなこと思ってしまう自分かまなによりも一番腹が立つ。
正義の辛さをオメガの辛さを一番そばで見てきたのに、オメガに生まれたい奴なんていないのに、羨ましいと思ってしまう自分の醜さに一番腹が立つ。
「あーあ、最低だな僕」
僕の呟きは部屋の壁に吸い込まれるように消えていき、部屋は静寂に包まれた。
残り二日で僕は星学へ正義はヤバキタへ元通りの生活に戻る。凛は僕と同じ学校に通えて嬉しそうで、僕ももちろん楽しいんだけど、実はそんなことよりも正義のことが気になって全力で楽しめてはいなかった。
実はデートの日につけていた盗聴器付きピンを改造して、ブレザーのボタンを盗聴器付きボタンに付け替えておいたのだ。
だからこの3日間の出来事も全て把握していた。元に戻った時対応できるようにする為に致し方ないことなのだが、かなり面倒なことになっており、一種のドラマを聴いているようで、凛とのサボりデートも集中できないでいた。
流石に集中してなさすぎて、凛にもこのことがバレてしまったが、彼にバレるのは特に問題はない。
盗聴していて分かったことはあの噂が本当だってことだった。「久住先輩はオメガには手を出さない」と言う噂のことだ。おそらく久住先輩は正義がオメガだと気がついているはず、僕と同じぐらいアルファの中でも優秀だから間違いないはずだ。
僕は相手を見ただけで第二の性を見分けることができる。だからきっと久住先輩にもそれができるはず、デートの時正義の性器を見たのなら確実に気がついているはずだ。
それなのに僕と正義が入れ替わっていると当てたとき、正義がオメガだと久住先輩は言わなかった。
だから噂は本当なのだと思ったけど、不可解なことが一つそこで生まれた。
オメガに手を出さない久住先輩が、正義を突き放すのではなく喧嘩をふっかけたことにだ。
それは少なからず正義との関わりを切らないようにするための行動だと感じた。
正義も久住先輩が何をしたいのかわからないようだったけど、僕にも彼の行動がよく分かっていなかった。
久住先輩がクズだって噂もどこから出たのかわからない眉唾のようなものだった。凛にそのことを話していたから上手いこと正義にもその噂が伝わって、入れ代わる口実が作れたのでよかったが。
久住先輩には少し悪いことをしてしまったとは思っているが、彼に謎が多いのも事実なのでしょうがない。
残り2日で全てが解決するかはわからない。僕と正義が元に戻った時の久住先輩の対応も気になるところだ。
とにかく正義には頑張ってもらうしかないと応援するばかりだった。
「番なんて作らない」正義に番の話をすると返ってくる答えは毎度同じこの言葉だった。
どうして作らないんだろう。
男と付き合うことがそんなにも嫌なことなのだろうかと、ずっとそう思っていた。
だから、僕と凛の関係も話さなかった。いつかはバレることだと分かっていたが、嫌われるのではと少なからず不安があったから自分からは言わなかった。
凛は「アイツがお前のこと嫌いになるわけない」と、平気そうな顔で言っていたが、僕は怖がりだからなかなか告白することができなかった。
でもつい最近付き合っていることがバレた。
凛の言った通り正義は僕たちを軽蔑することはなかった。弟だからと正義は言っていたが、きっとそこら辺にいる男同士のカップルを見ても気持ち悪いなんて正義は言わないと思う。
多分正義は、自分がオメガだから男と付き合うなんて気持ち悪いと言っているんだ。
オメガは発情すれば繁殖以外何も考えられなくなってしまう。そんな自分が嫌で嫌でしょうがないんだと思う。だからオメガの本能を否定する様に男を嫌っているんだ。
僕はそんな正義にたまに腹が立つ。
僕と凛がどれだけ愛し合っても子どもはできないのに、子どもができる身体を持っている正義は子どもなんて産まないなんて言うから。
でもそんなこと思ってしまう自分かまなによりも一番腹が立つ。
正義の辛さをオメガの辛さを一番そばで見てきたのに、オメガに生まれたい奴なんていないのに、羨ましいと思ってしまう自分の醜さに一番腹が立つ。
「あーあ、最低だな僕」
僕の呟きは部屋の壁に吸い込まれるように消えていき、部屋は静寂に包まれた。
残り二日で僕は星学へ正義はヤバキタへ元通りの生活に戻る。凛は僕と同じ学校に通えて嬉しそうで、僕ももちろん楽しいんだけど、実はそんなことよりも正義のことが気になって全力で楽しめてはいなかった。
実はデートの日につけていた盗聴器付きピンを改造して、ブレザーのボタンを盗聴器付きボタンに付け替えておいたのだ。
だからこの3日間の出来事も全て把握していた。元に戻った時対応できるようにする為に致し方ないことなのだが、かなり面倒なことになっており、一種のドラマを聴いているようで、凛とのサボりデートも集中できないでいた。
流石に集中してなさすぎて、凛にもこのことがバレてしまったが、彼にバレるのは特に問題はない。
盗聴していて分かったことはあの噂が本当だってことだった。「久住先輩はオメガには手を出さない」と言う噂のことだ。おそらく久住先輩は正義がオメガだと気がついているはず、僕と同じぐらいアルファの中でも優秀だから間違いないはずだ。
僕は相手を見ただけで第二の性を見分けることができる。だからきっと久住先輩にもそれができるはず、デートの時正義の性器を見たのなら確実に気がついているはずだ。
それなのに僕と正義が入れ替わっていると当てたとき、正義がオメガだと久住先輩は言わなかった。
だから噂は本当なのだと思ったけど、不可解なことが一つそこで生まれた。
オメガに手を出さない久住先輩が、正義を突き放すのではなく喧嘩をふっかけたことにだ。
それは少なからず正義との関わりを切らないようにするための行動だと感じた。
正義も久住先輩が何をしたいのかわからないようだったけど、僕にも彼の行動がよく分かっていなかった。
久住先輩がクズだって噂もどこから出たのかわからない眉唾のようなものだった。凛にそのことを話していたから上手いこと正義にもその噂が伝わって、入れ代わる口実が作れたのでよかったが。
久住先輩には少し悪いことをしてしまったとは思っているが、彼に謎が多いのも事実なのでしょうがない。
残り2日で全てが解決するかはわからない。僕と正義が元に戻った時の久住先輩の対応も気になるところだ。
とにかく正義には頑張ってもらうしかないと応援するばかりだった。
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