20 / 35
19相談
しおりを挟む
四時間目の終わりのチャイムが鳴り、昼休みの時間となる。
俺は小森の席に行き、食堂に行こうと誘いに行く。
「食堂行こうぜ」
「うん」
小森が急いで教科書を片付けているのを待っていると、教室の扉の方から俺を呼ぶ声がした。
「御子柴日向くんいますか……」
「ん?」
声のする方を振り返ると昨日助けたひ弱先輩がおどおどと立っていた。俺はひ弱先輩のいる扉の方へ近づいてどうしたのか尋ねる。
「どうしました?」
「あの、日向くんに相談したいことがあるんだけど……今いいかな?」
「あーっと……」
どうしたものか、この人も久住のターゲットにされてるから相談に乗ってやりたいのは山々だが、小森を一人にするのも心配だ。
悩んでいる俺のところへ片付けを終えた小森がこちらへやってきた。
「日向くんおまたせ……」
「あ、小森」
「やっぱり無理かな?」
「どうかしたの?」
小森が首を傾げて不思議そうに俺たちを見ていたので、事情を説明した。
「いいよ! 僕は教室で食べるから」
「本当にいいのか?」
「いいよいいよ、先輩が相談に乗ってほしいって言ってるんだし」
まぁ、教室でなら他の生徒もいるし久住が襲ってくる心配はないだろう。
ひ弱先輩もかなり深刻そうな顔をしてるし心配だ。
「わかった、くれぐれも教室から出るなよ!」
「大丈夫だよ、心配しないで」
小森に念を押し、俺はひ弱先輩と食堂へ向かった。ひ弱先輩も相談に乗ってくれるとわかり安心したのか、深刻そうな顔が少し和らいだ気がする。
そういえばこの人の名前知らないなとふと思った。
「あのー、先輩の名前ってなんですか?」
「あぁ、ごめん名乗ってなかったね。俺は2年の毒島悠太」
毒島って、全然ひ弱そうな名前じゃねーじゃん、むしろ強そう。こんなひ弱そうな見た目なのに、星宮学園に通ってるってことは頭いいんだよな。人間見た目だけじゃわかんないもんだよな。
俺とこいつどっちがオメガかって100人に聞いたら100人が毒島だって答えるだろう。こいつがアルファかベータかは知らないが。
でもアルファだってイジメられるし、そんなアルファをオメガである俺が守ってやれるんだ。
──見てろよ久住の奴マジでギャフンと言わせてやるからな。
「日向くん?」
打倒久住と、俺は心の中で闘志を燃やしていた。そんな俺を毒島は不思議そうに見ていた。
食堂に着いた俺たちは、昼食を受け取ると席に座った。
「そんで、先輩の相談って?」
「うん、まずはこの前はありがとう助けてくれて」
「いいっすよ、たまたまですから」
やっぱり感謝されるのはどうにもなれなくて、体がむず痒い。
「俺アルファなのに鈍臭いから、久住くんをイライラさせちゃってさ、日向くんはほんと凄いよねあの久住くんに面と向かって言い合えるなんて」
やっぱりこの人もアルファだったのか。でもアルファだけど俺の嫌いなアルファな感じじゃない。
そもそもアルファの奴らはみんな嫌いなんていう偏見は俺には無い、日向も凛もアルファだけど優しいしな。
久住はアルファだから嫌いなんじゃ無い、クズだから嫌いなんだ。
「アルファとかそんなんの関係ないですよ、同じ人間ならみんな一緒です」
「そうかな……優秀なアルファの日向くんにはわからないよ、俺の苦労なんて」
「はあ、そうですかねー少なくとも俺は久住なんかより毒島先輩の方が好きですけどね」
「えっ!! それって」
「いや、その恋愛的なのじゃなくて人としてですよ!!」
──やべっ! 飯食うことに夢中になってて、好きなんて言ってしまった。
「はは、ありがとう日向くんは優しいね」
「そうですか、ね」
アルファの中にも色々あるんだな。
星学のようにアルファが沢山いるとアルファの中でも優劣をつけたがるらしい。アルファというだけでベータやオメガより上なんだからそれだけで十分なのに、贅沢な奴らだ。
俺は小森の席に行き、食堂に行こうと誘いに行く。
「食堂行こうぜ」
「うん」
小森が急いで教科書を片付けているのを待っていると、教室の扉の方から俺を呼ぶ声がした。
「御子柴日向くんいますか……」
「ん?」
声のする方を振り返ると昨日助けたひ弱先輩がおどおどと立っていた。俺はひ弱先輩のいる扉の方へ近づいてどうしたのか尋ねる。
「どうしました?」
「あの、日向くんに相談したいことがあるんだけど……今いいかな?」
「あーっと……」
どうしたものか、この人も久住のターゲットにされてるから相談に乗ってやりたいのは山々だが、小森を一人にするのも心配だ。
悩んでいる俺のところへ片付けを終えた小森がこちらへやってきた。
「日向くんおまたせ……」
「あ、小森」
「やっぱり無理かな?」
「どうかしたの?」
小森が首を傾げて不思議そうに俺たちを見ていたので、事情を説明した。
「いいよ! 僕は教室で食べるから」
「本当にいいのか?」
「いいよいいよ、先輩が相談に乗ってほしいって言ってるんだし」
まぁ、教室でなら他の生徒もいるし久住が襲ってくる心配はないだろう。
ひ弱先輩もかなり深刻そうな顔をしてるし心配だ。
「わかった、くれぐれも教室から出るなよ!」
「大丈夫だよ、心配しないで」
小森に念を押し、俺はひ弱先輩と食堂へ向かった。ひ弱先輩も相談に乗ってくれるとわかり安心したのか、深刻そうな顔が少し和らいだ気がする。
そういえばこの人の名前知らないなとふと思った。
「あのー、先輩の名前ってなんですか?」
「あぁ、ごめん名乗ってなかったね。俺は2年の毒島悠太」
毒島って、全然ひ弱そうな名前じゃねーじゃん、むしろ強そう。こんなひ弱そうな見た目なのに、星宮学園に通ってるってことは頭いいんだよな。人間見た目だけじゃわかんないもんだよな。
俺とこいつどっちがオメガかって100人に聞いたら100人が毒島だって答えるだろう。こいつがアルファかベータかは知らないが。
でもアルファだってイジメられるし、そんなアルファをオメガである俺が守ってやれるんだ。
──見てろよ久住の奴マジでギャフンと言わせてやるからな。
「日向くん?」
打倒久住と、俺は心の中で闘志を燃やしていた。そんな俺を毒島は不思議そうに見ていた。
食堂に着いた俺たちは、昼食を受け取ると席に座った。
「そんで、先輩の相談って?」
「うん、まずはこの前はありがとう助けてくれて」
「いいっすよ、たまたまですから」
やっぱり感謝されるのはどうにもなれなくて、体がむず痒い。
「俺アルファなのに鈍臭いから、久住くんをイライラさせちゃってさ、日向くんはほんと凄いよねあの久住くんに面と向かって言い合えるなんて」
やっぱりこの人もアルファだったのか。でもアルファだけど俺の嫌いなアルファな感じじゃない。
そもそもアルファの奴らはみんな嫌いなんていう偏見は俺には無い、日向も凛もアルファだけど優しいしな。
久住はアルファだから嫌いなんじゃ無い、クズだから嫌いなんだ。
「アルファとかそんなんの関係ないですよ、同じ人間ならみんな一緒です」
「そうかな……優秀なアルファの日向くんにはわからないよ、俺の苦労なんて」
「はあ、そうですかねー少なくとも俺は久住なんかより毒島先輩の方が好きですけどね」
「えっ!! それって」
「いや、その恋愛的なのじゃなくて人としてですよ!!」
──やべっ! 飯食うことに夢中になってて、好きなんて言ってしまった。
「はは、ありがとう日向くんは優しいね」
「そうですか、ね」
アルファの中にも色々あるんだな。
星学のようにアルファが沢山いるとアルファの中でも優劣をつけたがるらしい。アルファというだけでベータやオメガより上なんだからそれだけで十分なのに、贅沢な奴らだ。
0
お気に入りに追加
233
あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。


被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。
かとらり。
BL
セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。
オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。
それは……重度の被虐趣味だ。
虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。
だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?
そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。
ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…

元ベータ後天性オメガ
桜 晴樹
BL
懲りずにオメガバースです。
ベータだった主人公がある日を境にオメガになってしまう。
主人公(受)
17歳男子高校生。黒髪平凡顔。身長170cm。
ベータからオメガに。後天性の性(バース)転換。
藤宮春樹(ふじみやはるき)
友人兼ライバル(攻)
金髪イケメン身長182cm
ベータを偽っているアルファ
名前決まりました(1月26日)
決まるまではナナシくん‥。
大上礼央(おおかみれお)
名前の由来、狼とライオン(レオ)から‥
⭐︎コメント受付中
前作の"番なんて要らない"は、編集作業につき、更新停滞中です。
宜しければ其方も読んで頂ければ喜びます。

Ωの不幸は蜜の味
grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。
Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。
そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。
何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。
6千文字程度のショートショート。
思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。

アルファな俺が最推しを救う話〜どうして俺が受けなんだ?!〜
車不
BL
5歳の誕生日に階段から落ちて頭を打った主人公は、自身がオメガバースの世界を舞台にしたBLゲームに転生したことに気づく。「よりにもよってレオンハルトに転生なんて…悪役じゃねぇか!!待てよ、もしかしたらゲームで死んだ最推しの異母兄を助けられるかもしれない…」これは第二の性により人々の人生や生活が左右される世界に疑問を持った主人公が、最推しの死を阻止するために奮闘する物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる