14 / 35
13 宣戦布告
しおりを挟む
とりあえず日向の件については解決には至らないが、話はわかった。
だが、さっきのクラスメイトの件については見逃すわけにはいかない。関係ないやつをそれも3対1でいじめるのは外道の行いだ。そこのところははっきりさせないといけない。
「日向の件は分かったが、さっきのクラスメイトの件は許せねぇな! なんであんなことした!」
「あ? イライラしてたから暇潰し……」
そんなくだらないことで無関係の人間にあんなことするなんて、やはり久住はクズ野郎だった。
「テメェ、同じ学校の生徒をなんだと思ってんだ」
「生徒をか? あんなのただの雑魚だろ、あいつも一応はアルファだが、アルファの中でも底辺中の底辺、同じアルファで括られるなんて虫唾が走る」
「マジで言ってんのかそれ……」
「当たり前だろ? すぐに助けを求めて一人では何もできない無様な雑魚が……」
コイツの話を聞いてるとイライラが治らねぇ。殴りたい気持ちが再び湧き上がってきた。
俺は久住を睨む。
「なんだよその目は、お前みたいな人間のゴミはそれにも値しないがな、でもお前の弟の日向は俺がたっぷり可愛がってやるよ」
その一言を聞き、俺の中で何かがプツンと切れる音がした。それは殴りかかるとかそう言うのさえも超えて逆に冷静になってしまうほどだった。
「お前そんなことずっと続けてるのか?」
「まぁな、授業も簡単すぎて暇だしな。ちょっとした遊びだよ。辞めてった奴らもいるが俺のせいにはならないからな」
なるほどな、日向の言っていたあの噂は本当で、コイツのターゲットにされた奴らが逃げるように学園を去って行ったのか。
そんでターゲットの一人として俺のクラスメイトが選ばれたわけか……。
許せねぇ、不良をやってきたがここまでのクズは早々出会えるもんじゃないぞ。どこにでもいるもんだなこういう奴は。
「お前の思い通りになんかさせねぇからな! 俺がお前の遊びとやらを全部邪魔してやる!」
「……ふっははは、なんだそれ、バカが考えることは突拍子もなくて面白いな……勝手にしろよ」
「あぁ、勝手にさせてもらう!」
そう久住に言った俺は、空き教室を出て行った。
教室を出た俺はズカズカと廊下を歩き、帰るために昇降口に向かう。するとどこからかさっき助けたクラスメイトが出てくる。
「日向くん!」
「お前、帰ったんじゃなかったのか?」
「うん! お礼が言いたくて、さっきは助けてくれてありがとう」
「いや、元々俺のせいだし気にすんな」
「そんなことないよ、僕本当に怖かったから。あの時助けに来てくれて嬉しかった、だからありがとう」
「あ、ああ」
不良をやっていると周りから疎まれることはあっても、感謝されることは少ない。だからこんなに感謝されるとどう返せばいいのか分からなくなってしまう。
照れた俺は感謝を言ったクラスメイトと共に昇降口へ向かった。
「でも、なんか今日の日向くんすごくカッコいいね。口調もいつもと違うし」
「え……あっ」
やばい、すっかり自分が日向のフリをしていることを忘れていた。久住にはバレてしまったが、流石に他の生徒にバレるわけにはいかない。
だがここで慌てるのも怪しまれるので上手いこと誤魔化さなくてはいけない。
「いやー、お兄ちゃんの真似してみたんだよね」
「日向くんお兄さんがいるんだ!」
「う、うん、双子の兄なんだけどね、強くてかっこいいんだ!」
多分日向は俺のことを一ミリもかっこいいなんて思っていないだろうが、ついつい口が勝手に動いてしまったので仕方がないのだ。やはり兄というものは弟にかっこいいと思われていたいものだ。
クラスメイトとは正門の前で別れ、朝と同じ道を通り駅に向かった。
「あっ! あいつに俺のスマホとバッグどこにあるか聞くの忘れた!」
昨日ホテルに置いてきてしまったスマホとバッグを返してもらうことをすっかり忘れていた。
デートの後帰ってからホテルに電話したのだが、忘れ物はなにもなかったと言われたので、恐らく久住が持っているのでそのことを一番に聞くつもりだったのだが、ムカつきすぎて忘れていた。
ゲームの連続ログインが切れてしまうが、あいつにまた会うのも気分が悪いので大人しく駅に歩みを進めた。
帰りはそこまで満員電車ではなかったので、痴漢に遭わずに電車に乗ることができた。
だが、さっきのクラスメイトの件については見逃すわけにはいかない。関係ないやつをそれも3対1でいじめるのは外道の行いだ。そこのところははっきりさせないといけない。
「日向の件は分かったが、さっきのクラスメイトの件は許せねぇな! なんであんなことした!」
「あ? イライラしてたから暇潰し……」
そんなくだらないことで無関係の人間にあんなことするなんて、やはり久住はクズ野郎だった。
「テメェ、同じ学校の生徒をなんだと思ってんだ」
「生徒をか? あんなのただの雑魚だろ、あいつも一応はアルファだが、アルファの中でも底辺中の底辺、同じアルファで括られるなんて虫唾が走る」
「マジで言ってんのかそれ……」
「当たり前だろ? すぐに助けを求めて一人では何もできない無様な雑魚が……」
コイツの話を聞いてるとイライラが治らねぇ。殴りたい気持ちが再び湧き上がってきた。
俺は久住を睨む。
「なんだよその目は、お前みたいな人間のゴミはそれにも値しないがな、でもお前の弟の日向は俺がたっぷり可愛がってやるよ」
その一言を聞き、俺の中で何かがプツンと切れる音がした。それは殴りかかるとかそう言うのさえも超えて逆に冷静になってしまうほどだった。
「お前そんなことずっと続けてるのか?」
「まぁな、授業も簡単すぎて暇だしな。ちょっとした遊びだよ。辞めてった奴らもいるが俺のせいにはならないからな」
なるほどな、日向の言っていたあの噂は本当で、コイツのターゲットにされた奴らが逃げるように学園を去って行ったのか。
そんでターゲットの一人として俺のクラスメイトが選ばれたわけか……。
許せねぇ、不良をやってきたがここまでのクズは早々出会えるもんじゃないぞ。どこにでもいるもんだなこういう奴は。
「お前の思い通りになんかさせねぇからな! 俺がお前の遊びとやらを全部邪魔してやる!」
「……ふっははは、なんだそれ、バカが考えることは突拍子もなくて面白いな……勝手にしろよ」
「あぁ、勝手にさせてもらう!」
そう久住に言った俺は、空き教室を出て行った。
教室を出た俺はズカズカと廊下を歩き、帰るために昇降口に向かう。するとどこからかさっき助けたクラスメイトが出てくる。
「日向くん!」
「お前、帰ったんじゃなかったのか?」
「うん! お礼が言いたくて、さっきは助けてくれてありがとう」
「いや、元々俺のせいだし気にすんな」
「そんなことないよ、僕本当に怖かったから。あの時助けに来てくれて嬉しかった、だからありがとう」
「あ、ああ」
不良をやっていると周りから疎まれることはあっても、感謝されることは少ない。だからこんなに感謝されるとどう返せばいいのか分からなくなってしまう。
照れた俺は感謝を言ったクラスメイトと共に昇降口へ向かった。
「でも、なんか今日の日向くんすごくカッコいいね。口調もいつもと違うし」
「え……あっ」
やばい、すっかり自分が日向のフリをしていることを忘れていた。久住にはバレてしまったが、流石に他の生徒にバレるわけにはいかない。
だがここで慌てるのも怪しまれるので上手いこと誤魔化さなくてはいけない。
「いやー、お兄ちゃんの真似してみたんだよね」
「日向くんお兄さんがいるんだ!」
「う、うん、双子の兄なんだけどね、強くてかっこいいんだ!」
多分日向は俺のことを一ミリもかっこいいなんて思っていないだろうが、ついつい口が勝手に動いてしまったので仕方がないのだ。やはり兄というものは弟にかっこいいと思われていたいものだ。
クラスメイトとは正門の前で別れ、朝と同じ道を通り駅に向かった。
「あっ! あいつに俺のスマホとバッグどこにあるか聞くの忘れた!」
昨日ホテルに置いてきてしまったスマホとバッグを返してもらうことをすっかり忘れていた。
デートの後帰ってからホテルに電話したのだが、忘れ物はなにもなかったと言われたので、恐らく久住が持っているのでそのことを一番に聞くつもりだったのだが、ムカつきすぎて忘れていた。
ゲームの連続ログインが切れてしまうが、あいつにまた会うのも気分が悪いので大人しく駅に歩みを進めた。
帰りはそこまで満員電車ではなかったので、痴漢に遭わずに電車に乗ることができた。
1
お気に入りに追加
233
あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。


被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。
かとらり。
BL
セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。
オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。
それは……重度の被虐趣味だ。
虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。
だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?
そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。
ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…
オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜
トマトふぁ之助
BL
某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。
そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。
聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。

元ベータ後天性オメガ
桜 晴樹
BL
懲りずにオメガバースです。
ベータだった主人公がある日を境にオメガになってしまう。
主人公(受)
17歳男子高校生。黒髪平凡顔。身長170cm。
ベータからオメガに。後天性の性(バース)転換。
藤宮春樹(ふじみやはるき)
友人兼ライバル(攻)
金髪イケメン身長182cm
ベータを偽っているアルファ
名前決まりました(1月26日)
決まるまではナナシくん‥。
大上礼央(おおかみれお)
名前の由来、狼とライオン(レオ)から‥
⭐︎コメント受付中
前作の"番なんて要らない"は、編集作業につき、更新停滞中です。
宜しければ其方も読んで頂ければ喜びます。

Ωの不幸は蜜の味
grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。
Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。
そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。
何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。
6千文字程度のショートショート。
思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる