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10 テスト返し
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朝のホームルームが終わりそのまま一時間目の授業が始まった。日向の言った通りテスト返しだ。
日向に聞いたがこのクラスの3分の2はアルファらしい。残りはベータの奴ら、オメガなんてきっとこの学校にはいないだろう。
もしここでオメガがヒートなんて起こした時には、一瞬で犯されて孕まされて最悪、番になってしまうだろう。
まぁ、俺の場合はそいつら全員ボコボコにしてやるがな!
こいつらは俺のことをアルファの日向だと思っている。
俺がオメガだと気付かないエリート様たちを心の中で鼻で笑ってやった。
解答用紙が次々に返却され、生徒たちは俺の勝ちだとか負けたーだの言い合っているのを聞き、アルファだろうがこういうところは俺の知っている男子高校生だなと思った。
だが、よく聞いてみると90点だの86点だっただの、高得点で悔しがっている生徒の声が聞こえる。赤点を免れる点数さえ取れていれば上等だと思っている俺とは大違い、さすがは進学校レベルが違う。
一時間目は数学だが、確か日向は数学は苦手だと言っていた。だったら点数もよくないはずだから、あまり他の生徒たちには言いふらさないようにしよう。
名前を呼ばれて解答用紙を取りに行く。渡された解答用紙の右上を見ると「92点」の数字が見えた。
「はぁ!?」
「どうかしたか! 御子柴」
「あ、いえ、なんでもないです……」
──嘘だろ、苦手な教科で92点とかありえねぇ
ていうかこんな数字初めてみた。
俺の代わりにヤバキタのテストを受けてくれた日向だが、替え玉とバレないように赤点をギリギリ免れる点数を上手いこと叩き出してくれていた。
点数も25点とか30点とかだった。ちなみにヤバキタの赤点ラインは平均点の半分なのだが、平均点が15点とかよくて25点なので二桁を取っていれば大体は大丈夫だ。
だから、92点なんて俺には異次元の数字なわけで、驚きのあまり声を上げてしまった。
急いで席に座って問題を見ると呪文? が並んでいて全く読めない。
「どうだった、日向くん」
隣の席の生徒が話しかけてくる。もし、俺がこんな点数とったのなら学校中に自慢するのだが、日向は絶対そんなことしないだろう。
「数学は得意じゃ無いんだけど……92点だったよ」
「やっぱりすごいね日向くんは」
「ほんと、すごいよなー」
「アルファの中でもやっぱり日向君は優秀だよね」
いつのまにか他の生徒も俺の周りに集まってきたていつのまにか目立ってしまった。
日向がこんなに優秀だと言うことを初めて知った。なんか弟が褒められていると思うと素直に嬉しい。
「そんなこと、ないよ、今回はたまたま山が当たっただけだって……」
「またまたー」とか「謙虚だなー」とか言っている周りを見るに対応は間違っていないようでホッとする。
テストの返却が終わると残り時間はテストの見直しや自習時間になった。とにかく目立たないようにしなければ、ボロが出てしまう。
しかしここで、絶体絶命のピンチに直面する。
「日向くん、ここ教えてくれないかな」
クラスメイトの誰かが、テストの不正解の部分を教えてほしいと言いにきた。
まぁ普通にわかるわけがない……だって俺日向くんじゃないし
さて、どうしたものかと、日向の解答用紙を見ると教えてほしいと言われた部分には綺麗な丸が書かれている。
算数の分数で挫折した俺が数学なんて未知なる分野できるわけがない。
「ご、ごめん。僕やりたいことがあるから他の人に教えてもらって……本当にごめんね」
「いいよ、いいよ! 日向くんのやりたいことをやって!」
生徒は申し訳なさそうにして、自分の席に戻って行った。なんかすごく悪いことしたなと申し訳なく思う。でもまじでわかんないから……
自習といっても特にすることもなく、教科書を見ても呪文にしか見えない俺は、窓の外をぼーっと眺めていた。
初めて50分間、足を開かずに椅子にキチンと座っていた自分を褒めてやりたい。
日向に聞いたがこのクラスの3分の2はアルファらしい。残りはベータの奴ら、オメガなんてきっとこの学校にはいないだろう。
もしここでオメガがヒートなんて起こした時には、一瞬で犯されて孕まされて最悪、番になってしまうだろう。
まぁ、俺の場合はそいつら全員ボコボコにしてやるがな!
こいつらは俺のことをアルファの日向だと思っている。
俺がオメガだと気付かないエリート様たちを心の中で鼻で笑ってやった。
解答用紙が次々に返却され、生徒たちは俺の勝ちだとか負けたーだの言い合っているのを聞き、アルファだろうがこういうところは俺の知っている男子高校生だなと思った。
だが、よく聞いてみると90点だの86点だっただの、高得点で悔しがっている生徒の声が聞こえる。赤点を免れる点数さえ取れていれば上等だと思っている俺とは大違い、さすがは進学校レベルが違う。
一時間目は数学だが、確か日向は数学は苦手だと言っていた。だったら点数もよくないはずだから、あまり他の生徒たちには言いふらさないようにしよう。
名前を呼ばれて解答用紙を取りに行く。渡された解答用紙の右上を見ると「92点」の数字が見えた。
「はぁ!?」
「どうかしたか! 御子柴」
「あ、いえ、なんでもないです……」
──嘘だろ、苦手な教科で92点とかありえねぇ
ていうかこんな数字初めてみた。
俺の代わりにヤバキタのテストを受けてくれた日向だが、替え玉とバレないように赤点をギリギリ免れる点数を上手いこと叩き出してくれていた。
点数も25点とか30点とかだった。ちなみにヤバキタの赤点ラインは平均点の半分なのだが、平均点が15点とかよくて25点なので二桁を取っていれば大体は大丈夫だ。
だから、92点なんて俺には異次元の数字なわけで、驚きのあまり声を上げてしまった。
急いで席に座って問題を見ると呪文? が並んでいて全く読めない。
「どうだった、日向くん」
隣の席の生徒が話しかけてくる。もし、俺がこんな点数とったのなら学校中に自慢するのだが、日向は絶対そんなことしないだろう。
「数学は得意じゃ無いんだけど……92点だったよ」
「やっぱりすごいね日向くんは」
「ほんと、すごいよなー」
「アルファの中でもやっぱり日向君は優秀だよね」
いつのまにか他の生徒も俺の周りに集まってきたていつのまにか目立ってしまった。
日向がこんなに優秀だと言うことを初めて知った。なんか弟が褒められていると思うと素直に嬉しい。
「そんなこと、ないよ、今回はたまたま山が当たっただけだって……」
「またまたー」とか「謙虚だなー」とか言っている周りを見るに対応は間違っていないようでホッとする。
テストの返却が終わると残り時間はテストの見直しや自習時間になった。とにかく目立たないようにしなければ、ボロが出てしまう。
しかしここで、絶体絶命のピンチに直面する。
「日向くん、ここ教えてくれないかな」
クラスメイトの誰かが、テストの不正解の部分を教えてほしいと言いにきた。
まぁ普通にわかるわけがない……だって俺日向くんじゃないし
さて、どうしたものかと、日向の解答用紙を見ると教えてほしいと言われた部分には綺麗な丸が書かれている。
算数の分数で挫折した俺が数学なんて未知なる分野できるわけがない。
「ご、ごめん。僕やりたいことがあるから他の人に教えてもらって……本当にごめんね」
「いいよ、いいよ! 日向くんのやりたいことをやって!」
生徒は申し訳なさそうにして、自分の席に戻って行った。なんかすごく悪いことしたなと申し訳なく思う。でもまじでわかんないから……
自習といっても特にすることもなく、教科書を見ても呪文にしか見えない俺は、窓の外をぼーっと眺めていた。
初めて50分間、足を開かずに椅子にキチンと座っていた自分を褒めてやりたい。
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