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第1話「気付いてやれなくて(1)」
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今日で息子が死んでから四年が経つ。
今でもたまに夢に出てくる。でも未だに不思議なことがある。
2009年5月6日、事件は起きた。
「え…なにこれ…」
私が家に帰った時にはすでに火は燃え広がっており、そこにはすでに消防車が数台来ていた。
“中の子が死んだ”
そんな声が聞こえた。なんで息子を家に一人にしてしまったのか、後悔しか残らない中で
「すいません。この家の人ですか?」
「はい、そうです」
警察だ。私はただそう答え、その場に立ち尽くしていた。
火は消え、家も綺麗に消え去っていた。
たった一人の家族を失う。それだけでも精一杯だというのに、財産までも。
警察署で色々な話をした。これは事件らしい。犯人はすでに捕まっていた。
後日燃えた家にあった物を回収していると、そこに息子が書いていた絵本があった。少し燃えてなくなっていたが、なぜかあまり被害は少なかった。
息子は当時11歳だった。あまり元気な子ではなくおとなしかった。友達もいたが、一人でいるのが好きで、よく家で遊んでいた。その遊びの一つが絵本を書くことだった。私が覚えている話はピクニックに行った話や、友達とプールに行った話などで、計7冊は書いていたであろう。そして最後に書いていたのが、例の本だ。いつの間に書いていたのか、とにかくこの絵本についてはなにも知らなかった。気になって中を見た。
「あれこの絵本、絵が描いていない…」
絵が描いていないのだ。書いている途中なのか、はたまた燃えて消えてしまったのか、真相はわからないままだった。
だが2013年の今日、一つ気づいたことがある。命日だったこともあり、当時の友達と会うことができた。
「息子が絵本を書いているのを見たことある?」
数名に聞いた。全員が「はい、ありますよ」と答えた。色々と聞いていくうちに、絵本の内容もわかってきた。親の話だったらしい。
その絵本の最後のページにはこう書かれていたようだ。
『大切な人は無くなってから気づくもんだ』
かろうじて読めた。ところどころ虫食い状態だったが。
息子がどんな話を書いていたか、だんだんわかってきた。家庭のことを書いていたとしたら、父親は9歳の時に事故で亡くなった。そのことを書いていたのだろう。
「でもなんで、絵がないんだろう」
改めて疑問に思った。絵本なのに絵がない。なにか理由があるのだろうか。
今でもたまに夢に出てくる。でも未だに不思議なことがある。
2009年5月6日、事件は起きた。
「え…なにこれ…」
私が家に帰った時にはすでに火は燃え広がっており、そこにはすでに消防車が数台来ていた。
“中の子が死んだ”
そんな声が聞こえた。なんで息子を家に一人にしてしまったのか、後悔しか残らない中で
「すいません。この家の人ですか?」
「はい、そうです」
警察だ。私はただそう答え、その場に立ち尽くしていた。
火は消え、家も綺麗に消え去っていた。
たった一人の家族を失う。それだけでも精一杯だというのに、財産までも。
警察署で色々な話をした。これは事件らしい。犯人はすでに捕まっていた。
後日燃えた家にあった物を回収していると、そこに息子が書いていた絵本があった。少し燃えてなくなっていたが、なぜかあまり被害は少なかった。
息子は当時11歳だった。あまり元気な子ではなくおとなしかった。友達もいたが、一人でいるのが好きで、よく家で遊んでいた。その遊びの一つが絵本を書くことだった。私が覚えている話はピクニックに行った話や、友達とプールに行った話などで、計7冊は書いていたであろう。そして最後に書いていたのが、例の本だ。いつの間に書いていたのか、とにかくこの絵本についてはなにも知らなかった。気になって中を見た。
「あれこの絵本、絵が描いていない…」
絵が描いていないのだ。書いている途中なのか、はたまた燃えて消えてしまったのか、真相はわからないままだった。
だが2013年の今日、一つ気づいたことがある。命日だったこともあり、当時の友達と会うことができた。
「息子が絵本を書いているのを見たことある?」
数名に聞いた。全員が「はい、ありますよ」と答えた。色々と聞いていくうちに、絵本の内容もわかってきた。親の話だったらしい。
その絵本の最後のページにはこう書かれていたようだ。
『大切な人は無くなってから気づくもんだ』
かろうじて読めた。ところどころ虫食い状態だったが。
息子がどんな話を書いていたか、だんだんわかってきた。家庭のことを書いていたとしたら、父親は9歳の時に事故で亡くなった。そのことを書いていたのだろう。
「でもなんで、絵がないんだろう」
改めて疑問に思った。絵本なのに絵がない。なにか理由があるのだろうか。
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