上 下
47 / 60
「神西暦シリーズ VANE」

「VANE」Ⅹ

しおりを挟む
一ヶ所に集まった私たちにどこからか声が聞こえた。
「どこに行こうというのですか?…この金の神から逃げられると思っているのですか?」
金の神…来るとしても、火の神か木の神が来ると踏んでいたから逃げられると踏んでいたが…よりによって金の神…
「GAME」「SAME」「VANE」の「神西暦シリーズ」ではなく、「ナイト」「キング」「ルーク」の「チェスシリーズ」の神だというのに…だが、水本耕二みずももこうじの時間移動を止めるとなると最適の相手なのだろう。
荒廃した街の中で鉄筋が溶け出し、金網のように私たちを囲んだ。半球の金網…いや、金の神のこと、見えてないだけで、サンダードームのように地中まで金網がしかれていたのだろう。
金の神は、あらゆる金属を操る能力を持つ…
金の神は、落ちていた銀の弾丸を操り、水本の身体を貫いた。
「ナイト」加筆分でもそうやって水本耕二の心臓を貫き、不意打ちにより水本を殺している。今回は、それに気付いた渡房太郎により、急所を避け、肩と腹部を貫くだけで終わったが、それでも時間移動できるほどの集中力が保てない状態になった。
金網の折で外にも出られない中、大砲を背負った巨大な白い虎が姿を現した。金の神だ…時間移動できない以上、あの大砲から出てくる巨大な金属の弾に押し潰されるのを待つしかなかった。
だが、そのとき、真美の墓から金の神に向かって、無数の包帯が伸びた。
真美の最後の力だったのだろう。
金の神を止めてくれたのはいいが、時間移動の方法が無いことには代わりがなかった。
「VANE」で渡房太郎がホワイトベーンによる超加速をしていたことや、時系列的に風田哲也かぜたてつやとの共闘という1つの戦いが終わった後で、同時に終わるはずの赤井隆あかいたかしとの共闘をやっていたりしたミスがあったので、「ポーン」で超加速により時間移動していたという設定を加えようと思っていたが、その能力は1人用…ここにいる全員を時間移動できる方法ではなかった。
そんな中、私に負傷した水本が語りかけた。
「なあ、また詰んだとか思ってないだろうな…お前、自分で気付いてるかわからないが、時間移動できるだろ?」
私が時間移動?…いや、確かに思い返してみると、思い当たる部分はある。時間移動できない者…もしくは、水の神の力の加護がない者は時間移動の際、強い酔いに襲われるはずが、私にはそれがなかった。火の神との戦いで、一時的に火の神が止まったのも、過去の海波洋一みなみよういちが助けたなんて確証はなかったため、それも私がやったことなのかもしれない。さらに、時間移動で行ける未来は、能力を手に入れた時点までと設定していたにも関わらず、水本は神西暦772年こと西暦1999年や神西暦799年に跳べた事…水本が能力を手に入れた日時は、正確には設定していないが1989年以前…どれも私が時間を操った…少なくとも、そのサポートをしたと考えれば納得がいった。
私は、それを確認するために…私は地面に手を着いた。
サンダードームで囲まれたまま、私たちは過去に移動した。咄嗟だったためか、下手に意識したためか、そこは私たちが目指す時点ではなかった。

「あ~あ、逃げられちゃった。金の神ちゃん、ダメぢゃない。これじゃ、金の神ぢゃなくて銀の神ね。まあ、いいっか…楽しみはとっておかなくっちゃね。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー

紫電のチュウニー
ファンタジー
 第四部第一章 新大陸開始中。 開始中(初投稿作品)  転生前も、転生後も 俺は不幸だった。  生まれる前は弱視。  生まれ変わり後は盲目。  そんな人生をメルザは救ってくれた。  あいつのためならば 俺はどんなことでもしよう。  あいつの傍にずっといて、この生涯を捧げたい。  苦楽を共にする多くの仲間たち。自分たちだけの領域。  オリジナルの世界観で描く 感動ストーリーをお届けします。

巡り巡って風車 前世の罪は誰のもの

あべ鈴峰
ファンタジー
母が死に高校に進学もできず。父親の顔色を見て暮らす生活。今日も父親のせっかんを受けていた。気を失い目を覚ますと待っていとのは更なる地獄。 しかし、それは人違いによるものだった。

異世界に転移したけどマジに言葉が通じずに詰んだので、山に籠ってたら知らんうちに山の神にされてた。

ラディ
ファンタジー
 日本国内から国際線の旅客機に乗り込みたった数時間の空の旅で、言語はまるで変わってしまう。  たった数百や数千キロメートルの距離ですら、文法どころか文化も全く違ったりする。  ならば、こことは異なる世界ならどれだけ違うのか。  文法や文化、生態系すらも異なるその世界で意志を伝える為に言語を用いることは。  容易ではない。 ■感想コメントなどはお気軽にどうぞ! ■お気に入り登録もお願いします! ■この他にもショート作品や長編作品を別で執筆中です。よろしければ登録コンテンツから是非に。

鬼面の忍者 R15版

九情承太郎
歴史・時代
陽花「ヤングでムッツリな服部半蔵が主人公の戦国コメディ。始まるざますよ!」 更紗「読むでがんす!」 夏美「ふんがー!」 月乃「まともに始めなさいよ!」 服部半蔵&四人の忍者嫁部隊が、徳川軍団の快進撃に貢献するチープでファンキーな歴史ライトノベルだぜ、ベイベー! ※本作品は、2016年3月10日に公開された「鬼面の忍者」を再編集し、お色気シーンを強化したイヤんバカン版です。 ※カクヨムでの重複投稿をしています。 表紙は、画像生成AIで出力したイラストです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

【完結】異世界アイドル事務所〜アナタの才能、発掘します!〜

成瀬リヅ
ファンタジー
「願わくば、来世で彼女をトップアイドルに……」  そう思いながら死んだアイドルプロデューサーの俺・小野神太は、気付けば担当アイドルと共に多種族の住む異世界へ転生していた!  どうやら転生を担当した者によれば、異世界で”トップアイドルになれるだけの価値”を示すことができれば生き返らせてくれるらしい。  加えて”アイドル能力鑑定チート”なるものも手に入れていた俺は、出会う女性がアイドルに向いているかどうかもスグに分かる!なら異世界で優秀なアイドルでも集めて、大手異世界アイドル事務所でも作って成り上がるか! ———————— ・第1章(7万字弱程度)まで更新します。それ以降は未定です。 ・3/24〜HOT男性向けランキング30位以内ランクイン、ありがとうございます!

雨上がりに僕らは駆けていく Part2

平木明日香
青春
学校の帰り道に突如現れた謎の女 彼女は、遠い未来から来たと言った。 「甲子園に行くで」 そんなこと言っても、俺たち、初対面だよな? グラウンドに誘われ、彼女はマウンドに立つ。 ひらりとスカートが舞い、パンツが見えた。 しかしそれとは裏腹に、とんでもないボールを投げてきたんだ。

処理中です...