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「神西暦シリーズ VANE」

「VANE」Ⅵ

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風田哲也かぜたてつやとマミーとの会話が続いていく…
「アイツから、みんなを守るためには誰かが犠牲になるしかなかったの…」
マミーは、包帯を取り、風田哲也に自分の体を見せた。
何度も切り刻まれては縫合された痕…体の一部からは電気や炎が漏れだしていた…
「いったい、誰がこんな…」
「炎は前から吐けたの知ってよね…アイツらね…ムリやり電気の力も付加させようと…」
そのときだった…
スフィンクスの爪がマミーの身体を貫いた。
「喋りすぎだ、出来損ない!それに、あのお方をアイツだと?」
スフィンクスの爪は、マミーの身体をえぐっていく。
「真美ちゃん!」
風田が、マミーの元に駆け寄る。
「私ね…実験のせいで…心がどんどん操られていってたけど…哲也くんと再会できて…嬉しかったんだよ…哲也くん、どうかこの世界を救って…ここは神が作った地獄でしかない…」
マミーは、風田の腕の中で死んでいった。
風田は、怒りを露にしてスフィンクスを睨み付けた。

スフィンクスは、「メソポタミア神話」や「ギリシャ神話」などの一部の神話での伝承と同様に、ライオンの身体とワシの翼…そして、女性の顔…伝承ではそこまでであるが、エジプトのギザの大スフィンクスを思わせる程の巨体になることもできた。
これは裏設定になるが、これまで描いてきた天使の中で「VANE」以前の神兵やそれと同等の天使たちの中から選ばれ組み合わせたキメラを考えた結果、ライオンとワシの特徴を持つスフィンクスをデザインモチーフに選んだ。
倒された天使の成分を回収した神によって作られたキメラ…巨体となるのも、ホエール・ズーの力を持つためである。

風田は、右手から青い炎を出しながら、高速でスフィンクスの顔に殴りつけた。
スフィンクスはそれに対して痛くもないといった具合に、ただただ少し焦がれた髪を気にしていた。
スフィンクスの顔がニヤリと笑った。
私はその顔を一瞬見て、ゾクリと来るものを感じた…あんな顔を描いた覚えがない。…いや、スフィンクスは「VANE」の中でも長く登場させていた神兵…「空白」や「GAME」のときほどではないが、やはり序盤と終盤ではタッチが変わってくる…だが、そういった話をしているのではない…ああいった表情をするキャラクターですらなかったはずなのだ…もう少し延々とムスとしたままの顔の厳格なキャラクター…どこかで見た気もするが、どこだったかは思い出せない…
が、私がその顔を見れたのは一瞬だった。私と渡房太郎わたりぼうたろうの方も、それどころではなかったのだ…
スフィンクスは、そのまま近付いた風田に爪を立てようとしたが、水本耕二みずもとこうじがクナイを放ち、それを防いだ。
「ありがとうございます。」
「あまり頭に血を上らせるな…確かに爆発的な力は出るが、どこかで失敗することになるぞ…いつかの俺のようにな…」
水本は、風田のもとまで駆け寄ると、風田を連れ、スフィンクスから距離をとった。
スフィンクスは、ニヤリと笑い、爪の先をクナイのように飛ばした。
水本へ飛んだ爪の先は、水本に刺さるどころか、水本の肩を貫いた。
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