この異世界は、かつて私が創造した世界

「神西暦シリーズ GAME/SAME」

「GAME」Ⅱ

かつて私がゴロにて「GAME」の連載を開始したのが西暦1986年…「SAME」の連載ですら1989年…
凄い速さで科学が進歩していくのを感じ、街並みがどんどん移り変わっていくのを見ていた当時の私にとって、21世紀の手前となる近未来の西暦1999年は、かなりの技術の進化を期待していた。
炊事・洗濯は、全てオートメーション化され、ほとんどの職が機械化…一部の機械化されない職も、通信などで行われ、車や電車などの移動も配達用の路線が配置され物流がかなり円滑に行われていた。
人間が移動するためのルートは、透明ケーブルが使われるが…ビルから見渡す限り、それを使って移動している者はかなり少なかった。
ビルからの眺めはかなり綺麗なものだった…区画整理され終わったビル群…山も切り崩され、平地に等間隔で配置されていた。
「これが未来の世界の墓地か？」
意識を取り戻した赤井義経あかいよしつね   が問いかけた。
確かに、戦国の世に比べて活気は感じないかもしれないし、ビルが巨大な墓石に見えたのかもしれないが、一応、当時の私が近未来のユートピアのつもりで描いたものを、デストピアのように言われたのは少しショックだった。
ただまあ、これから起きる戦いを考えれば、そう言われてもおかしくはなかった。

***

SD-G-RL-SETU…現実世界の日本の大阪に該当する地点…SD-G-RLという国の経済中心部にあたる。首都のSD-G-RL-KYOUは、先ほどまでいた400年前の建物を残したままであるのに対し、かつての雰囲気はほとんど感じられない。
現実世界の大阪であれば、大阪城などがあっただろうが、世界的な大戦の大空襲によって焼け落ちてしまっていた。
SETU天閣というタワーの頂上の巨大モニターに映し出された時刻は、神西暦772年6月5日23時30分…朝だというのに、人通りは確かに少なかった。
まあ、「GAME」のときも「SAME」のときも、最終決戦がちょうど他の連載も忙しいときにあたってしまい、モブをそんなに描いている時間がなかったという本音はあるが、「VANE」では人々は、SD-G-RL-OUMIの地下都市に移住していたという後付け設定がされている。
いや、一応昔の私を擁護しておくと、「GAME」序盤、SD-G-RL-OUMIで国が何か作っているという描写はあったため、移住に繋げる気はあったのだ…ただ、「GAME」も「SAME」も勢いを殺したくなかったのと、他の連載でネームを練る余裕がなかったため、「VANE」で説明することとなった。「VANE」でお叱りのハガキが少し来た事を考えると、描写伏線で伏線として貼れていなかったことは認めざるを得ない。
流れから察した人もいるかもしれないが、このSD-G-RL-SETUは…それどころかSD-G-RLの主要都市のほとんどは、翌日の神西暦772年6月6日の1日のうちに壊滅してしまう。
後30分で神西暦772年6月6日…「GAME」「SAME」の最終決戦が開始される…