この異世界は、かつて私が創造した世界

「神西暦シリーズ GAME/SAME」

「GAME」Ⅰ

神西暦378年…西暦1605年…
日向の高千穂での数年の修行・特訓により、水本耕二みずもとこうじは、時間を操る能力を手に入れた。
この数年で、随分と国の情勢も変化した…
服部半蔵と徳川家康が起こそうとした大戦により、京都を中心にかつての武田領までの区域を織田信長が治め、神西暦376年（西暦1603年）に征夷大将軍となり幕府を開いた大戦で敵にも味方にもならなかった毛利の領地をそのままに、九州を立花が、四国を浦上が、関東を今川が、東北を豊臣が治め、その5大老の下に諸大名たちが置かれた。

敵となり徳川方についた大名たちは、海外の領土拡大という名目で、海外へ送られてしまった。
一番状況が変わったのは、バット・ズーか…
傷が癒えた後、大戦中に織田信長の窮地を救った事で、側室として迎え入れられることとなった。
魔物のために反対する家臣もいたため側室ではあるが、正室の濃姫も既に亡くなっていた事もあり、実質的には正室の扱いだった。
魔物だと反対する家臣の言葉を「ワシは魔王ぞ！」の一言で捩じ伏せた。
まあ、既にウルフ・ズーが、赤井義経あかいよしつねとの間に6つ子を授かり、人と魔物との間に子供が成せることを証明していた事もあるのだろうが…
そんな泰平の世が始まろうとする中、水本が時間を操る能力を習得したことで出発の時が迫った。

***

目的時刻は、神西暦772年…西暦1999年…
「GAME」「SAME」の舞台となる時間だ…
出発するメンバーは、私と水本耕二と赤井義経とソラ…
義経が、別れの挨拶に来た全員に1人ずつ礼を言い、最後に妻であるウルフ・ズーに別れを告げた。
「神を倒し、真の泰平の世を実現させた後、拙者は必ず戻ってくる。…それまで、子供たちの事は頼んだ…」
「アンタが居なくても、アタイがちゃんと育ててみせるさ…だから、アンタは余計な事を考えず、自分のやる事を専念しな…死ぬんじゃないよ…」
と、口付けを交わした。
挨拶を終えると、水本が貝を持ち「サクリファイス！」と言いながら、時間移動の準備を始めた。
海波洋一みなみよういちは、果物がやりやすかったようだが、サクリファイスに必要なのは、生き物の生気…
サクリファイスの発動により、貝が粉になっていった。

***

海波洋一がサクリファイスの発動したときのような緑色の光で空間が閉ざされて周辺が赤い光で包まれるということはなかった。
あれは、「キング」初期でのみ使った描写のため、「ナイト」のときは海波洋一が使用したときも水本耕二が使用したときも、そういった描写をしてなかったためなのだろう。

***

数分後、私たちは神西暦772年（西暦1999年）のビルの屋上にいた…
SD&PというSD傘下の各国にある対神兵器たいしんへいき製造企業…
かつて、水本が初めて時間移動したときは辺りを見回していたが、それも水の神の力の一部を持っていたからこそ、そんな余裕もあったのだろう…義経とソラは、時間移動のショックにより気を失っていた。
もうすぐ、このビルの屋上で神との第1戦が開始される…