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「悪川シリーズ」
「業火」五之巻
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真の隠し湯の湯が巨大な人の形を作っていった。
さらに、周りの雪も解け、その水分も吸収してどんどん巨大化していっていた。
水で出来た体ゆえに、赤井義朝の攻撃も、バット・ズーの突風も、通じることはなかった。それどころか、水の巨人は、反撃とばかりに義朝とバット・ズーを水の体の中に捕えてしまった。
元が真の隠し湯とはいえ、その内部に空気は無い…義朝とバット・ズーが苦しんでいく…
「…パーラちゃん…今助ける!」
サラマンダー・ズーが、炎を吐くが、焼け石に水…いや、プールに焼け石と言うべきか…水の巨人には効果が無かった。
そして、そのまま、サラマンダー・ズーと風も水の巨人の中に取り込まれてしまった。
最後の標的として私が狙われたそのとき、ウルフ・ズーと赤井義経が現れ、そのまま水の巨人へと飛び込んだ。
風と義朝、バットとサラマンダーをそれぞれ掴むと、そのままの勢いで水の巨人から飛び出した。
義経とウルフ・ズーの強靭な筋力によるスピードの成せる技であった。
「だからこそ、近くにいたサラマンダー・ズーではなく、真っ先にバット・ズーを狙ったのか…」
「おや、何か勝機を見出だしましたか?」
「これは…バット・ズー、君の子孫の渡房太郎がやった戦法で、君がやれる確証はないが、この中でやれるとすれば君だけだろう。そこにいる水の巨人の周りを素早く移動し、相手を凍らせる…」
そう…これは、「VANE」の主人公・渡がとった戦法だ…渡がバット・ズーの子孫というのは裏設定に留めたが、素早さを受け継いだという事で最速のキャラクターだった…だが、渡は特訓の末に負傷しながら成功させた技…とても勝算と呼べるものではなかった。
「ホ~、何故、子孫のことなんて知っているかは、後で教えてもらうとしましょう…ワタシしかできないというなら、ワタシがやるしかないでしょう!」
バット・ズーは、翼をバッと開き、水の巨人の周りを高速で回転した。
ここが南アルプスだった事や、相手が保温性の低い水の巨人だった事もあっただろうが、バット・ズーは、見事に水の巨人を凍らせた。
安心したのも束の間、空中で息を整えていたバット・ズーの翼に、クナイが刺さり、バット・ズーは地面へと落下した。
「いや、見事!短期間とはいえ、かなり修行したというのに…まさか、凍らせるとは…」
そう言いながら雪の中から、服部半蔵が現れた。
私と、落下したバット・ズー以外のメンバーは、警戒するように戦闘体勢をとっていた。
「…今、警戒すべきはこちらよりも、そこにいる無名…」
先ほどの水の巨人もそうだが、無名なんてキャラクターを私は知らない…
振り返ると、そこには、忍び装束を着た水本耕二が立っていた。
水本耕二は、私の方に向かい跳んだ。そのスピードは、以前高千穂で出会った頃の3倍にはなっていた。
私の喉元に、水本耕二がクナイを突き立てるが、かつてのように「お前はここに何しにきた?」と聞いてくることは無かった。
私の首筋に液が垂れる感触があった。拭うことも直接見ることもできない状況だったため、それが血か汗か確認することはできなかった。
さらに、周りの雪も解け、その水分も吸収してどんどん巨大化していっていた。
水で出来た体ゆえに、赤井義朝の攻撃も、バット・ズーの突風も、通じることはなかった。それどころか、水の巨人は、反撃とばかりに義朝とバット・ズーを水の体の中に捕えてしまった。
元が真の隠し湯とはいえ、その内部に空気は無い…義朝とバット・ズーが苦しんでいく…
「…パーラちゃん…今助ける!」
サラマンダー・ズーが、炎を吐くが、焼け石に水…いや、プールに焼け石と言うべきか…水の巨人には効果が無かった。
そして、そのまま、サラマンダー・ズーと風も水の巨人の中に取り込まれてしまった。
最後の標的として私が狙われたそのとき、ウルフ・ズーと赤井義経が現れ、そのまま水の巨人へと飛び込んだ。
風と義朝、バットとサラマンダーをそれぞれ掴むと、そのままの勢いで水の巨人から飛び出した。
義経とウルフ・ズーの強靭な筋力によるスピードの成せる技であった。
「だからこそ、近くにいたサラマンダー・ズーではなく、真っ先にバット・ズーを狙ったのか…」
「おや、何か勝機を見出だしましたか?」
「これは…バット・ズー、君の子孫の渡房太郎がやった戦法で、君がやれる確証はないが、この中でやれるとすれば君だけだろう。そこにいる水の巨人の周りを素早く移動し、相手を凍らせる…」
そう…これは、「VANE」の主人公・渡がとった戦法だ…渡がバット・ズーの子孫というのは裏設定に留めたが、素早さを受け継いだという事で最速のキャラクターだった…だが、渡は特訓の末に負傷しながら成功させた技…とても勝算と呼べるものではなかった。
「ホ~、何故、子孫のことなんて知っているかは、後で教えてもらうとしましょう…ワタシしかできないというなら、ワタシがやるしかないでしょう!」
バット・ズーは、翼をバッと開き、水の巨人の周りを高速で回転した。
ここが南アルプスだった事や、相手が保温性の低い水の巨人だった事もあっただろうが、バット・ズーは、見事に水の巨人を凍らせた。
安心したのも束の間、空中で息を整えていたバット・ズーの翼に、クナイが刺さり、バット・ズーは地面へと落下した。
「いや、見事!短期間とはいえ、かなり修行したというのに…まさか、凍らせるとは…」
そう言いながら雪の中から、服部半蔵が現れた。
私と、落下したバット・ズー以外のメンバーは、警戒するように戦闘体勢をとっていた。
「…今、警戒すべきはこちらよりも、そこにいる無名…」
先ほどの水の巨人もそうだが、無名なんてキャラクターを私は知らない…
振り返ると、そこには、忍び装束を着た水本耕二が立っていた。
水本耕二は、私の方に向かい跳んだ。そのスピードは、以前高千穂で出会った頃の3倍にはなっていた。
私の喉元に、水本耕二がクナイを突き立てるが、かつてのように「お前はここに何しにきた?」と聞いてくることは無かった。
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