この異世界は、かつて私が創造した世界

「悪川シリーズ」

「業火」四之巻

ウルフ・ズーの能力は、人狼をモチーフに、人間より優れた筋力と嗅覚、さらに狼が群れを率いることから他の魔物を率いる統率力。だからこそ、サラマンダー・ズーやバット・ズーを呼ぶことができた。「鬼火」後期では、南九州の島津家に協力して徳川方の勝利に貢献した。
バット・ズーの能力は、ドラキュラなどの吸血鬼をモチーフに素早い飛行能力。サラマンダーほどではないが再生能力も持つ。そして、血を吸った者に力を与える能力も持つ。「鬼火」後期では、武田・北条・上杉に協力して徳川方の勝利に貢献した。
サラマンダー・ズーの能力は、山椒魚をモチーフに高い再生能力…そして、火炎放射能力も持つ。この能力にした理由は何だったかな…サラマンダーだから竜と…いやいや違う違う…先に山椒魚デザインを決めていた。確か、「SAME」のデザインを描いていたときに、鰻に山椒をかけすぎてそれが辛く、火を吹きそうになったからだ…
我ながら恥ずかしい話だが、本来の動物に無い能力の発想なんてものはそんなきっかけがほとんどだ。
サラマンダー・ズーは、「鬼火」後期では、四国の長宗我部に協力していた。

バット・ズーが、赤井義経の肩を掴もうとしたそのときだった。
「待ちな！アタイも着いて行くよ。」
ウルフ・ズーが、バット・ズーの翼を掴んだ。
「痛たたた！…ハハ～、ヘ～、ふ～ん、なるほどねぇ…」
バット・ズーが、何かを察したらしく、ウルフ・ズーをジロジロ眺めていた。
「何だい？」
「いや、盗らないですよ。ワタシはサラマンダー・ズーを連れて先に行っているので、どうかお二人でごゆっくりと…」
バット・ズーは赤井義経あかいよしつねを離すと、再びサラマンダー・ズーの肩を掴み、飛び去って行った。

***

忍者である風の速さもそれなりだというのに、私たちが目的地近くに来る頃には既に、バット・ズーは、既にサラマンダー・ズーを連れ、案内のために待っていた。
「お待ちしておりました。ワタシはバット・ズー…人間社会に馴染むための名はパーラ、こちらはサラマンダー・ズー…人間社会での名はマコ…どちらでも呼びやすい方でお呼びください。」
なるほど…マコの名は「鬼火」後期に登場させていたが、バット・ズーの「パーラ」という名は、「神西暦シリーズ」でバット・ズーが出せなくなっただに代わりに登場させた名前だ…こういった形で統合されたか…
「……寒い…」
ここは南アルプスの山中…さすがに、四国や岡山に行っていたサラマンダー・ズーには堪えるだろう。
「おっと、急ぎましょうか…どうか皆さん、ワタシに着いてきてください。直ぐに真の隠し湯まで案内しますよ。」
小一時間行った先にそれはあった。
積雪のある南アルプスの雪山の中で、雪が全く積もってない場所…
縦・横ともに5mの正方形を面、深さは1m…そこに均一に作られた石レンガが敷き詰められていた。
そこにある蒼い液体こそが、回復の効果がある真の隠し湯…
私と風は、その中に赤井義朝あかいよしともを入れると、ジュワジュワと音を立てながらあっという間に回復していった。
「…！…ここは！？」
目を覚ました赤井義朝に、事情を説明していった。
「…寒い…マコも入る…」
サラマンダー・ズーが、真の隠し湯を覗き込んだそのとき、隠し湯の湯が太い腕となってサラマンダー・ズーを襲った。