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「チェスシリーズ」
「ルーク」4
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ゲルは、複数のプレートを使い、自分だけ地上に出ると、フリードリヒ2世の場所まで移動した。
フリードリヒ2世、本来の歴史では西暦1194年12月26日から西暦1250年(神西暦23年)12月13日まで生きたローマ皇帝。
歴史にかなり大きな影響を残した人間のため、少なくとも神西暦となるまでは残しておきたいし、フリードリヒ2世が神に興味を持つのは避けたい。「ルーク」内では、それにより物語が複雑化していき、神・フリードリヒ2世・ゲルの三つ巴の戦いになり、それが「ルーク」の魅力にもなったが、実際のところ、フリードリヒ2世が支援だけ続けていれば、漫画でも金の神と水の神を封じる事はできたはずだ。
ゲルの能力は、プレートが使いきりという面を省けばかなりのものになる。複数のプレートを使えば、視界さえ開けていれば4km先のものすら見ることができ、足の速さは時速141km、握力は500kgfで500vの電気を流すこともできる。さらに、頭をメドーサのように蛇に変えて攻撃するなどの多彩な技を持つ。はっきり言ってこの時代最高の頭脳を持った怪物。時間停止や時間移動などがなければ、海波洋一よりも強いだろう。
その能力を見ただけで、興味を持ったフリードリヒ2世は、神の事どころか天使の事さえ話していないにも関わらず、ゲルへの支援を決めた。これで20年後、カステル・デル・モンテも完成するだろう…と思っていた…実際、以前確認した海波洋一の歴史書にもそう記されていた…
※※※
ゲルは研究室に戻るとともにプレートを取り外した。プレートは外されるとともに壊れていく。
「さて…まずは捕らえた天使を見せておこう。」
そう言って、ゲルは研究室内の階段を降りていった。私たちもそれに続いていった。
「天使と呼ぶと神々しい存在を思い浮かべるかもしれないが、実際はそれほどでもない。神の使いと知らずに見てしまえば、悪魔と呼ぶ者もいるかもしれない。」
階段を降りた先にあったのは、八角形の台座の上に八角柱の檻が8個。中央には、能力をプレートに入れるための装置…
中にいたのは、鋭い眼光をし翼を傷付けられた鳥人と髪の毛の蛇の眼を全て潰されたリザードマンのみ…他の檻は空ではあるが、獣人たちの体液が飛び散っていた。おそらく、能力を限界まで絞り取って最終的に始末したのだろう。
端にある石の机の上には、天使の装飾の弓矢や鞭、錫杖や槍が飾られていた。
ここまで悲惨な描写はしたつもりはなかったが、確かに「ルーク」でフリードリヒ2世に見せたときに2体いた天使は、数年後、水の神とゲルがここで戦ったときはいなくなっていた。最終決戦の流れを乱さないためにあえて描かなかったが、力尽きていたと考えた方が早いだろう。
「さて…詳しい説明をお願いしようか。」
海波洋一や水本耕二に真実を話せば自分の人生を狂わせた張本人と逆上されるだろうが、ゲルに下手な嘘をついても通用しない事は明らかだった…
「ゲル、君が私の安全を約束してくれるというなら…」
「わかった。約束しよう。」ゲルは早く答えが聞きたいとばかりに、ギザギザの歯でこちらに笑いかけた。
「この世界は、おそらく、私が創り出した物語を統合した世界…」
ゲルは未知のものに興味を抱き嬉しそうに聞いていた。海波と水本は、話を聞き終わった途端に斬りかかってきそうなほどの剣幕でこちらを見つめながら話を聞いていた。
私はゆっくりと、これまでの経緯を話した。
フリードリヒ2世、本来の歴史では西暦1194年12月26日から西暦1250年(神西暦23年)12月13日まで生きたローマ皇帝。
歴史にかなり大きな影響を残した人間のため、少なくとも神西暦となるまでは残しておきたいし、フリードリヒ2世が神に興味を持つのは避けたい。「ルーク」内では、それにより物語が複雑化していき、神・フリードリヒ2世・ゲルの三つ巴の戦いになり、それが「ルーク」の魅力にもなったが、実際のところ、フリードリヒ2世が支援だけ続けていれば、漫画でも金の神と水の神を封じる事はできたはずだ。
ゲルの能力は、プレートが使いきりという面を省けばかなりのものになる。複数のプレートを使えば、視界さえ開けていれば4km先のものすら見ることができ、足の速さは時速141km、握力は500kgfで500vの電気を流すこともできる。さらに、頭をメドーサのように蛇に変えて攻撃するなどの多彩な技を持つ。はっきり言ってこの時代最高の頭脳を持った怪物。時間停止や時間移動などがなければ、海波洋一よりも強いだろう。
その能力を見ただけで、興味を持ったフリードリヒ2世は、神の事どころか天使の事さえ話していないにも関わらず、ゲルへの支援を決めた。これで20年後、カステル・デル・モンテも完成するだろう…と思っていた…実際、以前確認した海波洋一の歴史書にもそう記されていた…
※※※
ゲルは研究室に戻るとともにプレートを取り外した。プレートは外されるとともに壊れていく。
「さて…まずは捕らえた天使を見せておこう。」
そう言って、ゲルは研究室内の階段を降りていった。私たちもそれに続いていった。
「天使と呼ぶと神々しい存在を思い浮かべるかもしれないが、実際はそれほどでもない。神の使いと知らずに見てしまえば、悪魔と呼ぶ者もいるかもしれない。」
階段を降りた先にあったのは、八角形の台座の上に八角柱の檻が8個。中央には、能力をプレートに入れるための装置…
中にいたのは、鋭い眼光をし翼を傷付けられた鳥人と髪の毛の蛇の眼を全て潰されたリザードマンのみ…他の檻は空ではあるが、獣人たちの体液が飛び散っていた。おそらく、能力を限界まで絞り取って最終的に始末したのだろう。
端にある石の机の上には、天使の装飾の弓矢や鞭、錫杖や槍が飾られていた。
ここまで悲惨な描写はしたつもりはなかったが、確かに「ルーク」でフリードリヒ2世に見せたときに2体いた天使は、数年後、水の神とゲルがここで戦ったときはいなくなっていた。最終決戦の流れを乱さないためにあえて描かなかったが、力尽きていたと考えた方が早いだろう。
「さて…詳しい説明をお願いしようか。」
海波洋一や水本耕二に真実を話せば自分の人生を狂わせた張本人と逆上されるだろうが、ゲルに下手な嘘をついても通用しない事は明らかだった…
「ゲル、君が私の安全を約束してくれるというなら…」
「わかった。約束しよう。」ゲルは早く答えが聞きたいとばかりに、ギザギザの歯でこちらに笑いかけた。
「この世界は、おそらく、私が創り出した物語を統合した世界…」
ゲルは未知のものに興味を抱き嬉しそうに聞いていた。海波と水本は、話を聞き終わった途端に斬りかかってきそうなほどの剣幕でこちらを見つめながら話を聞いていた。
私はゆっくりと、これまでの経緯を話した。
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