19 / 24
眠れない日々
1
しおりを挟む
トイレの建物の前でマサミチが空を見上げていた。
「ごめんね、付き合わせちゃって。なんか、恥ずかしい、大人なのに」
「俺も行こうと思ってたから、ちょうど良かった。ここ新しいからさ、トイレもきれいで広いでしょ。このキャンプ場ね、うちの奥さんとよく来てたんだよ」
よく…来てたんだよ…
マサミチはもう一度小さな声で言った。
彼の妻は、夫婦でよく来ていたこの場所で、別の男と交わったのか。
それを彼は見てしまった。
帰りはなんとなく遠回りの道を行った。どちらともなくあの茂みの道へ進んだ。
行きと同じく私たちは手をつないで歩いていた。
あの場所で足が止まる。
止まる瞬間、マサミチの指がキュッと私を握った。
二人で茂みを見つめていると、お互いの繋ぐ手に力が入っていった。
元の場所に戻り、それぞれのテントに入る。
「じゃあ、おやすみなさい。何かあったら、起こしてくれていいから」
「うん。おやすみ。ツカサくんも、何かあったら、起こして」
1人用のテントは程よく狭く、包まれているみたいで安心できた。家のガランとした寝室よりも幾分落ち着く。
だけど、やっぱり眠ることはできなかった。
あの日以来、不眠みたいな状態が続いている。
今日も風のない蒸し暑い夜で、寝苦しくてテントの入口を開けた。
「ごめんね、付き合わせちゃって。なんか、恥ずかしい、大人なのに」
「俺も行こうと思ってたから、ちょうど良かった。ここ新しいからさ、トイレもきれいで広いでしょ。このキャンプ場ね、うちの奥さんとよく来てたんだよ」
よく…来てたんだよ…
マサミチはもう一度小さな声で言った。
彼の妻は、夫婦でよく来ていたこの場所で、別の男と交わったのか。
それを彼は見てしまった。
帰りはなんとなく遠回りの道を行った。どちらともなくあの茂みの道へ進んだ。
行きと同じく私たちは手をつないで歩いていた。
あの場所で足が止まる。
止まる瞬間、マサミチの指がキュッと私を握った。
二人で茂みを見つめていると、お互いの繋ぐ手に力が入っていった。
元の場所に戻り、それぞれのテントに入る。
「じゃあ、おやすみなさい。何かあったら、起こしてくれていいから」
「うん。おやすみ。ツカサくんも、何かあったら、起こして」
1人用のテントは程よく狭く、包まれているみたいで安心できた。家のガランとした寝室よりも幾分落ち着く。
だけど、やっぱり眠ることはできなかった。
あの日以来、不眠みたいな状態が続いている。
今日も風のない蒸し暑い夜で、寝苦しくてテントの入口を開けた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる