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いない二人
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出来上がった肉はまだ熱く、切るには早かった。火からおろして平らに石を積んだ上にオーブンごと置いた。
冷めて切り分けた時はもう夜も深まっていた。
ワインをあけキャンプチェアに並んで空を見上げている。
話していないと深い溝に落ちてしまいそうで、ずうっと、話し続けている。
「こんなに美味しいの、初めて食べた」
「良かった、気に入ってくれて」
お互いどんなふうに暮らしていたのか、どんなふうに出会ったのか、どんなふうに愛し合っていたのか、互いのパートナーの、パートナーだった人たちの話をしていた。
「俺はさ、感覚がおかしくなってるから。子どもの時から獣の生き死にを見てるし、大きくなってからは手伝いもしてた。体温のある肉を切ったりして、血もたくさん見たりしてさ。獣を捌くときは、必ず血抜きをするのね。切る場所も、そういうのちゃんとやり方があって、大量の血が出る。それやらないと肉が悪くなるから。そんなことばっかり見てるから、だからさ、怖がられるんだよ。俺が、切り替えられないせいもあるんだけど…」
冷めて切り分けた時はもう夜も深まっていた。
ワインをあけキャンプチェアに並んで空を見上げている。
話していないと深い溝に落ちてしまいそうで、ずうっと、話し続けている。
「こんなに美味しいの、初めて食べた」
「良かった、気に入ってくれて」
お互いどんなふうに暮らしていたのか、どんなふうに出会ったのか、どんなふうに愛し合っていたのか、互いのパートナーの、パートナーだった人たちの話をしていた。
「俺はさ、感覚がおかしくなってるから。子どもの時から獣の生き死にを見てるし、大きくなってからは手伝いもしてた。体温のある肉を切ったりして、血もたくさん見たりしてさ。獣を捌くときは、必ず血抜きをするのね。切る場所も、そういうのちゃんとやり方があって、大量の血が出る。それやらないと肉が悪くなるから。そんなことばっかり見てるから、だからさ、怖がられるんだよ。俺が、切り替えられないせいもあるんだけど…」
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