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一日千秋

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その知らせは、午後の日差しの中でアリシアがゆったりと刺繍を嗜んでいた時に届いた。

「お嬢様、3日後にルーカス公がこちらにみえるそうです」
ノエのもたらした情報にアリシアは驚き、そして同時に疑問に思う。

「なぜノエがそんなことを知っているの?」

本来であればそういったことは手紙で伝えられるか、執事もしくは侍女から伝えられるものだ。

「蛇の道は蛇ということで。もうしばらくしたら正式な手紙が届くと思いますよ」
そう告げてノエは護衛の定位置に戻る。

一日千秋の思いでアリシアがルーカスからの手紙を待っているからだろうか。
ノエは少しでも早く知らせたいと思ってくれたのかもしれない。

(ノエは伯爵家の諜報関係の仕事もしていると言っていたし、その関係で手に入れた情報なのかしら?)

いずれにせよ、ノエからの情報が間違っていたことは無い。
ということはつまり3日後に本当にルーカスがここにやって来るということだ。

「大変!!」

アリシアは立ち上がるとすぐさま専属侍女のタラッサを呼ぶ。

「タラッサ、ルーカスが3日後にこちらに来るそうなの。お迎えの準備をしなくてはいけないわ」
アリシアの勢いにタラッサは目を白黒させた。

「お嬢様、でもまだそのようなご連絡はきておりません」
「ノエ情報よ!」
ノエの情報なら間違いは無いでしょうとばかりに押し切り、アリシアはすぐさま部屋を出た。

ルーカスが来るまでにやっておきたいことがたくさんある。

「お嬢様!走ってはなりません!!」
後ろからタラッサの声が追いかけてきたが、アリシアはお構いなく走り出した。

ルーカスが来る。
そう思うと、じっとなんてしていられなかった。
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