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悪役令嬢は護衛の心の内を思う
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「お名前をお願いします」
「レオンハルト・ニールセンと申します」
「あなたはニールセン伯爵家の三男で間違いありませんか?」
「生まれた家がどこか、という問いであれば間違い無いでしょう」
レオの登場は見守る貴族たちにとってますます不可解な状況だ。
いったいなぜダグラス殿下はレオンハルトという青年を証人として召喚したのか。
彼は何者なのか。
多くの人の胸の内にはそんな疑問が渦巻いているに違いない。
しかし再びざわつく人々の中で、ダグラスの時と同じく学園の生徒だけは反応が違う。
「レオ様……ですわよね?」
「ええ。見る限りレオ様……ですわ」
「レオ様はエレナ様の専属護衛なのでは?」
「でもニールセン家の方とおっしゃっていますわ」
エレナの専属護衛だったダグラスはグラント国の第一王子だった。
同じく専属護衛のレオはニールセン伯爵家の第三子。
高位貴族のご令嬢の護衛がどこかの貴族の令息というのはままあることではあるが、その中でもエレナの護衛は異例と言えるだろう。
「それではレオンハルト殿が証言される内容をお願いします」
正直、何度聞いても『レオンハルト』の名前が耳に馴染まない。
私の中でレオは『レオンハルト』ではないのだろう。
レオ自身もこういった場でなければその名前を認めなかったに違いない。
しかしどれだけ捨てたくてもなかなか捨てられないのが貴族の『名前』だ。
「先ほど王妃殿下はダグラス殿下の告発を荒唐無稽なことであり、提出した書類に関して信憑性に欠けるとおっしゃいました」
「たしかにそうです」
裁判長の頷きにレオは一呼吸するとさらに答える。
「今回の書類に関してですが、すべて私が手に入れた物です」
「すべて、ですか?」
「はい」
「レンブラント家や王妃殿下にかなり近い立場でなければ手に入らないような、あの書類をですか?」
「そうです」
レオの証言は何も知らない人から見ればそれこそ荒唐無稽だろう。
ダグラスがそろえた証拠と言った方がまだ信じてもらえるかもしれない。
「なぜ私があれらの書類を手に入れることができたのか、そしてどこから持ってきたのか、それをここで申し上げます」
レオの言葉に王妃が一気に顔色を変えた。
「レオンハルト殿、あなたは主の意に反することは口にできない」
王妃が鋭く声を発す。
本当は『私の意に反する』と言いたかったのだろう。
しかしそれではどういうことかと訝しく思われる。
だからあえて『主』と言ったに違いない。
それでも隷属のアーティファクトに縛られていればその命令に逆らうことはできないはずだった。
レオは心持ち伏せていた視線を上げ、王妃の目を見返す。
「私は……先ほどの書類すべてを王妃殿下の自室から持ち出した物だとここに証言します」
『王妃の自室』
そこは使用人である侍女や招かれたご婦人、ご令嬢以外であれば陛下しか入れないはずの場所。
「…恐れ多くも王宮の王妃殿下の自室から、ということで間違いありませんか?」
「間違いありません」
もはや今日何度目の驚愕だったのだろう。
あふれるくらいの人がいるはずなのに、一言たりとも声が聞こえない。
「なぜ持ち出せたか皆さん疑問に思われることでしょう」
レオにとって今回の証言は痛みを伴うもの。
できれば誰にも知られたくなかったはずの事実を公にしなければならない。
「それは、私が王妃殿下に隷属のアーティファクトで縛られた存在だったからです」
ざわり。
波打つかのような感情が辺りを駆け抜けた。
王妃はレオを凝視している。
隷属のアーティファクトは相手を生涯縛るはずのもの。
その解放方法を知らない王妃にしてみれば、なぜレオが自分の命令に従わなかったのかが信じられないのだろう。
「私があなたの命令に従わなかったことが驚きですか?」
レオの瞳の奥にゆらめく感情が見える。
「お……かしなことをおっしゃるのね。私はそんなアーティファクトのことなんて知りませんわ。ましてやあなたとも今日初めてお会いしたはずですもの」
少し言葉に詰まりながらも王妃が答えた。
「そうですか。では皆さまにはこちらをご覧いただきましょう」
そう言ってレオが取り出したのは一枚の書類だった。
ニールセン家と王妃の間で交わされた契約書、あれだ。
「隷属のアーティファクトを施された子どもを譲渡する。その見返りにレンブラント家が隣国に卸しているマールカ草はすべてニールセン家から購入すること」
マールカ草はグラント国で栽培されている麻酔作用のある薬草だ。
傷の処置やそれ以上の外科的処置が必要な場合など、主に医療の分野で使われている。
……なんとなくレンブラント家が絡んでいるとあらぬことにも使われていそうだけれど……。
「この隷属のアーティファクトを施された子ども、というのが私のことです。私はニールセン家の当主と侍女の間に生まれた庶子。生まれ落ちた時から母とは離され、ニールセン家で奴隷のような生活を強いられてきました。そして義母によってアーティファクトを使われ、その後王妃殿下の物になった」
レオは声を荒げるでもなく淡々と話している。
それなのに、燃えるような怒りを感じた。
「まさしく『物』扱いでしたよ」
「いいえ!裁判長、その者は虚偽の発言をしていますわ!きっとダグラス殿下に言いくるめられたのでしょう。お前、いったい何が望みなの?」
王妃は扇を閉じるとそれをレオに向けて突きつける。
「ああ。いつもそうでしたね。王妃殿下は気に入らないことがあるといつもその扇で打擲するんです。確認していただいてもいいですが、私の背中には消えない痕が残っていますよ」
ここにきて初めて明確に焦る王妃に対して、レオは嘲笑を浮かべて言い放った。
「ただ、判別するのは難しいかもしれません。私はニールセン家に引き取られて以降はニールセン家の奥様に打たれ続けておりましたから。背中の痕が果たして王妃殿下のつけた痕なのか、それとも奥様がつけた痕なのか、判別できればいいのですが……。まぁ、古い傷に関しては肌は引き攣れて色も変わっていますからわかるかもしれませんね」
レオがそう言ったと同時にホールの一角から悲鳴が上がった。
見れば一人の婦人が床に倒れ込み、それをそばにいる男性が支えている。
「ああ。そちらにいらっしゃったんですか。ここにきていまさらご自分たちの犯した罪が白日の下に晒されるとは思っていなかったのですか?悪事は暴かれる。それを知らないのは幸運なことですね」
レオは普段は穏やかな性格だ。
声を荒らげることはないし、誰かに当たることもない。
時々行き過ぎた言動を私に対してすることはあるけれど、それ以外は総じてとても紳士的な男性だと思う。
そのレオが唯一感情を剥き出しにし、瞳に憎悪の炎を燃やすのがニールセン家と王妃に関係することだけ。
やりたいだけやってしまえばいい。
レオにはそうするだけの理由があるのだから。
人を虐げた者は必ず報いを受ける。
私はそう思っているし、そうであって欲しいと思う。
そうでなければ踏みつけられた人が浮かばれないでしょう?
勧善懲悪。
因果応報。
昔の人は良く言ったものよね。
王妃もニールセン家も、その報いを受けるがいい。
「レオンハルト・ニールセンと申します」
「あなたはニールセン伯爵家の三男で間違いありませんか?」
「生まれた家がどこか、という問いであれば間違い無いでしょう」
レオの登場は見守る貴族たちにとってますます不可解な状況だ。
いったいなぜダグラス殿下はレオンハルトという青年を証人として召喚したのか。
彼は何者なのか。
多くの人の胸の内にはそんな疑問が渦巻いているに違いない。
しかし再びざわつく人々の中で、ダグラスの時と同じく学園の生徒だけは反応が違う。
「レオ様……ですわよね?」
「ええ。見る限りレオ様……ですわ」
「レオ様はエレナ様の専属護衛なのでは?」
「でもニールセン家の方とおっしゃっていますわ」
エレナの専属護衛だったダグラスはグラント国の第一王子だった。
同じく専属護衛のレオはニールセン伯爵家の第三子。
高位貴族のご令嬢の護衛がどこかの貴族の令息というのはままあることではあるが、その中でもエレナの護衛は異例と言えるだろう。
「それではレオンハルト殿が証言される内容をお願いします」
正直、何度聞いても『レオンハルト』の名前が耳に馴染まない。
私の中でレオは『レオンハルト』ではないのだろう。
レオ自身もこういった場でなければその名前を認めなかったに違いない。
しかしどれだけ捨てたくてもなかなか捨てられないのが貴族の『名前』だ。
「先ほど王妃殿下はダグラス殿下の告発を荒唐無稽なことであり、提出した書類に関して信憑性に欠けるとおっしゃいました」
「たしかにそうです」
裁判長の頷きにレオは一呼吸するとさらに答える。
「今回の書類に関してですが、すべて私が手に入れた物です」
「すべて、ですか?」
「はい」
「レンブラント家や王妃殿下にかなり近い立場でなければ手に入らないような、あの書類をですか?」
「そうです」
レオの証言は何も知らない人から見ればそれこそ荒唐無稽だろう。
ダグラスがそろえた証拠と言った方がまだ信じてもらえるかもしれない。
「なぜ私があれらの書類を手に入れることができたのか、そしてどこから持ってきたのか、それをここで申し上げます」
レオの言葉に王妃が一気に顔色を変えた。
「レオンハルト殿、あなたは主の意に反することは口にできない」
王妃が鋭く声を発す。
本当は『私の意に反する』と言いたかったのだろう。
しかしそれではどういうことかと訝しく思われる。
だからあえて『主』と言ったに違いない。
それでも隷属のアーティファクトに縛られていればその命令に逆らうことはできないはずだった。
レオは心持ち伏せていた視線を上げ、王妃の目を見返す。
「私は……先ほどの書類すべてを王妃殿下の自室から持ち出した物だとここに証言します」
『王妃の自室』
そこは使用人である侍女や招かれたご婦人、ご令嬢以外であれば陛下しか入れないはずの場所。
「…恐れ多くも王宮の王妃殿下の自室から、ということで間違いありませんか?」
「間違いありません」
もはや今日何度目の驚愕だったのだろう。
あふれるくらいの人がいるはずなのに、一言たりとも声が聞こえない。
「なぜ持ち出せたか皆さん疑問に思われることでしょう」
レオにとって今回の証言は痛みを伴うもの。
できれば誰にも知られたくなかったはずの事実を公にしなければならない。
「それは、私が王妃殿下に隷属のアーティファクトで縛られた存在だったからです」
ざわり。
波打つかのような感情が辺りを駆け抜けた。
王妃はレオを凝視している。
隷属のアーティファクトは相手を生涯縛るはずのもの。
その解放方法を知らない王妃にしてみれば、なぜレオが自分の命令に従わなかったのかが信じられないのだろう。
「私があなたの命令に従わなかったことが驚きですか?」
レオの瞳の奥にゆらめく感情が見える。
「お……かしなことをおっしゃるのね。私はそんなアーティファクトのことなんて知りませんわ。ましてやあなたとも今日初めてお会いしたはずですもの」
少し言葉に詰まりながらも王妃が答えた。
「そうですか。では皆さまにはこちらをご覧いただきましょう」
そう言ってレオが取り出したのは一枚の書類だった。
ニールセン家と王妃の間で交わされた契約書、あれだ。
「隷属のアーティファクトを施された子どもを譲渡する。その見返りにレンブラント家が隣国に卸しているマールカ草はすべてニールセン家から購入すること」
マールカ草はグラント国で栽培されている麻酔作用のある薬草だ。
傷の処置やそれ以上の外科的処置が必要な場合など、主に医療の分野で使われている。
……なんとなくレンブラント家が絡んでいるとあらぬことにも使われていそうだけれど……。
「この隷属のアーティファクトを施された子ども、というのが私のことです。私はニールセン家の当主と侍女の間に生まれた庶子。生まれ落ちた時から母とは離され、ニールセン家で奴隷のような生活を強いられてきました。そして義母によってアーティファクトを使われ、その後王妃殿下の物になった」
レオは声を荒げるでもなく淡々と話している。
それなのに、燃えるような怒りを感じた。
「まさしく『物』扱いでしたよ」
「いいえ!裁判長、その者は虚偽の発言をしていますわ!きっとダグラス殿下に言いくるめられたのでしょう。お前、いったい何が望みなの?」
王妃は扇を閉じるとそれをレオに向けて突きつける。
「ああ。いつもそうでしたね。王妃殿下は気に入らないことがあるといつもその扇で打擲するんです。確認していただいてもいいですが、私の背中には消えない痕が残っていますよ」
ここにきて初めて明確に焦る王妃に対して、レオは嘲笑を浮かべて言い放った。
「ただ、判別するのは難しいかもしれません。私はニールセン家に引き取られて以降はニールセン家の奥様に打たれ続けておりましたから。背中の痕が果たして王妃殿下のつけた痕なのか、それとも奥様がつけた痕なのか、判別できればいいのですが……。まぁ、古い傷に関しては肌は引き攣れて色も変わっていますからわかるかもしれませんね」
レオがそう言ったと同時にホールの一角から悲鳴が上がった。
見れば一人の婦人が床に倒れ込み、それをそばにいる男性が支えている。
「ああ。そちらにいらっしゃったんですか。ここにきていまさらご自分たちの犯した罪が白日の下に晒されるとは思っていなかったのですか?悪事は暴かれる。それを知らないのは幸運なことですね」
レオは普段は穏やかな性格だ。
声を荒らげることはないし、誰かに当たることもない。
時々行き過ぎた言動を私に対してすることはあるけれど、それ以外は総じてとても紳士的な男性だと思う。
そのレオが唯一感情を剥き出しにし、瞳に憎悪の炎を燃やすのがニールセン家と王妃に関係することだけ。
やりたいだけやってしまえばいい。
レオにはそうするだけの理由があるのだから。
人を虐げた者は必ず報いを受ける。
私はそう思っているし、そうであって欲しいと思う。
そうでなければ踏みつけられた人が浮かばれないでしょう?
勧善懲悪。
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