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悪役令嬢は羞恥心を覚える
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起きてしまったことに対してクヨクヨしても仕方ないと気持ちを立て直した私を待っていたのは、言いようのない羞恥心だった。
世の皆さんは散々泣いて迷惑をかけまくった後にどんな顔をしているのだろうか。
気持ちもだいぶ落ち着いて、涙も止まった。
しかし顔を上げる勇気が無い。
きっと目は真っ赤だろうしひどい顔になっているに違いないから。
泣くことを武器にできる女子ってすごい。
変なところで感心してしまう。
私がそれを武器にするにはかなりハードルが高そうだ。
とはいえこのままずっとダグラスの腕の中に収まっているわけにもいかないし、ダグラスの服も馬車も汚れてしまっているからどうにかしなければいけないし……。
何よりも今後の対策を考える必要がある。
それにはやはり兄を呼ぶ必要があるだろう。
「取り乱してしまいましたわ」
小さな声でそう言うと、私はそっとダグラスの胸から離れた。
うつむいた顔が上げられないのは勘弁して欲しい。
なにせこんなにも大泣きをしたのは初めてなのだ。
恥ずかしくて仕方ない。
「いえ。落ち着いたなら良かったです」
私に気を遣ったのか、そう言うとダグラスはすぐに身を離した。
「案の定御者は逃げていました。このままここに留まるわけにはいきませんので、俺が馬車を動かします」
「わかりましたわ。それにしてもダグラス、馬車を操れるのですね」
「馬車の操縦方法も基本的なことは学びましたから」
馬車を操縦できる王子……乗馬ならわかるけど、どう考えても異質よね。
「とはいえ窓の外にも血がついてしまっていますし、このままでは悪目立ちしてしまうのではないかしら?」
血に汚れた公爵家の馬車が貴族街を走れば何か事件があったのではないかと次の日には社交界で噂になるだろう。
ましてやそれがエレナの乗っていた馬車ともなれば、『公爵令嬢は傷物になったのではないか』なんていう根も葉もない噂が立つに違いない。
一度立った噂はどれだけ否定してもさらに大きな噂となって広まっていく。
さすがにそれはまずいよね……。
「ご心配なく。貴族街に入る前に事件の報告がてら警邏の詰所に寄っていきます。そこで綺麗にしてからウェルズ邸に戻りましょう。多少時間がかかってしまいますが、このまま戻るよりはいいかと」
「わかりましたわ」
私がそう答えると、ダグラスは御者席に乗り換えるために馬車を出る。
そして席に座る前に上部に取り付けられている公爵家の紋章を外した。
正規の馬車には各家の紋章が取り付けられている。
貴族街での暗黙のルールとして、馬車で行き合ったら家格の高い相手に道を譲らなければならないというものがあるからだ。
そのためにもそこに誰が乗っているのかがわかるように紋章が付けられている。
もちろんお忍びで出かける時は外すのだが。
そしてどれだけ見覚えのある馬車であったとしても、紋章がない限り見かけた者は乗っている者が誰かということが断定できない。
時には勝手に他家や高位貴族の馬車を模した物を作って乗り回す者がいるからだ。
そのためにも紋章は必ずその家の者しか受け取れないことになっている。
今回ダグラスが紋章を外したのは、血に汚れた御者の操縦する血塗れの馬車に公爵令嬢が乗っているということを分からなくするためだろう。
相変わらず細かいところまで気が回るよね。
エレナの名誉を傷つけないためにも大切なことだけど、そこまでちゃんと考えられる者がどれほどいるのだろう。
そう思う私を乗せながら、馬車は滑らかに走り始めた。
そして最寄りの詰所に向かったわけなのだけど。
丁寧ってこういうことかしら?
まさか馬車の操縦でこうも差が出るとは思わなかったわ。
コース取りがいいのか、なんといっても不必要に揺れない。
これを思うとウェルズ邸の御者は運転が下手だったと感じる。
思った以上に快適な馬車での移動を経て、ほどなくして私たちは共有街の警邏の詰所までやって来た。
初めて見た詰所はいかにも質実剛健な感じの建物だ。
貴族街の邸宅と比べればこぢんまりとしているが、平民街の建物と比べれば十分大きい。
装飾は少なく色味も抑えられていて、前世での役所のような雰囲気があった。
「お嬢さまはここで少しお待ちください」
そう言うとダグラスは建物入り口の右側に立っているいかにも体格の良い男に声をかけた。
「よう。ルドはいるか?」
「ダグラスじゃねぇか。どうしたんだ?…っていうか、お前怪我してんの!?」
「いや、これは俺の血じゃねぇよ。ちょっと事件に巻き込まれたんでね。ルドに捜査をお願いしがてら経緯を説明しに来たんだが」
「そういうことか。運がいいな。ちょうどさっき戻ってきたところだ」
そう言うと男は入り口の逆サイドに立っている年若の青年に声をかける。
「ルドを呼んできてくれ。ダグラスを行かせてもいいが、馬車もあるみたいだしな。来てもらった方が早いだろう」
様子を見る限り、この詰所の者たちはフットワークが軽そうだ。
おそらくルドというのが上司なんだろうけど、そんな相手を呼びつけるのも普通のような気楽さがある。
「で?どうしたんだよ」
「話はルドが来てからだ。同じ話を二回するのは面倒なんでな」
そう言いながら二人が馬車に近づいてくる。
「派手に汚したなぁ。説明している間に綺麗にするよう指示しておこう」
「助かる」
私は泣いていたであろうことがわかる顔を晒したくなかったのもあって馬車の窓にレースのカーテンを引いていた。
だから声が近づいてきたのはわかっていたが、突然ドアが開くとは思っていなかったのだ。
ガチャ!
「きゃ!」
令嬢らしい、かわいい悲鳴を上げられたと思う。
間違っても「うぎゃ!」と言わなかった私を褒めて欲しい。
「おい!突然開ける奴があるか」
ダグラスとしても予想外だったのか、すぐに男の手を掴むとドアから手を離させた。
「……」
「おい、聞いてるのか?」
ダグラスの問いかけが聞こえているのか聞こえていないのか、男が無言でこちらを見ている。
えええ。
何で無言でこっちを見てるの?
私の不安が膨らんだ直後。
「お前彼女が乗ってるなら先にそう言えよ!」
は?
「彼女?」
ダグラスがおうむ返しに問いかけた。
「こんなむさ苦しい詰所に汚れた馬車で来たんだから、か弱い女性は送り届けた後だと思うだろうが」
そう言うと、けれど男は丁寧に馬車の扉を閉めた。
彼女…。
いや、それよりも泣き腫らした顔をダグラス以外の男性にも見られてしまった…。
何とも言い難い羞恥心に襲われ、私はまたもや両手で顔を覆ったのだった。
世の皆さんは散々泣いて迷惑をかけまくった後にどんな顔をしているのだろうか。
気持ちもだいぶ落ち着いて、涙も止まった。
しかし顔を上げる勇気が無い。
きっと目は真っ赤だろうしひどい顔になっているに違いないから。
泣くことを武器にできる女子ってすごい。
変なところで感心してしまう。
私がそれを武器にするにはかなりハードルが高そうだ。
とはいえこのままずっとダグラスの腕の中に収まっているわけにもいかないし、ダグラスの服も馬車も汚れてしまっているからどうにかしなければいけないし……。
何よりも今後の対策を考える必要がある。
それにはやはり兄を呼ぶ必要があるだろう。
「取り乱してしまいましたわ」
小さな声でそう言うと、私はそっとダグラスの胸から離れた。
うつむいた顔が上げられないのは勘弁して欲しい。
なにせこんなにも大泣きをしたのは初めてなのだ。
恥ずかしくて仕方ない。
「いえ。落ち着いたなら良かったです」
私に気を遣ったのか、そう言うとダグラスはすぐに身を離した。
「案の定御者は逃げていました。このままここに留まるわけにはいきませんので、俺が馬車を動かします」
「わかりましたわ。それにしてもダグラス、馬車を操れるのですね」
「馬車の操縦方法も基本的なことは学びましたから」
馬車を操縦できる王子……乗馬ならわかるけど、どう考えても異質よね。
「とはいえ窓の外にも血がついてしまっていますし、このままでは悪目立ちしてしまうのではないかしら?」
血に汚れた公爵家の馬車が貴族街を走れば何か事件があったのではないかと次の日には社交界で噂になるだろう。
ましてやそれがエレナの乗っていた馬車ともなれば、『公爵令嬢は傷物になったのではないか』なんていう根も葉もない噂が立つに違いない。
一度立った噂はどれだけ否定してもさらに大きな噂となって広まっていく。
さすがにそれはまずいよね……。
「ご心配なく。貴族街に入る前に事件の報告がてら警邏の詰所に寄っていきます。そこで綺麗にしてからウェルズ邸に戻りましょう。多少時間がかかってしまいますが、このまま戻るよりはいいかと」
「わかりましたわ」
私がそう答えると、ダグラスは御者席に乗り換えるために馬車を出る。
そして席に座る前に上部に取り付けられている公爵家の紋章を外した。
正規の馬車には各家の紋章が取り付けられている。
貴族街での暗黙のルールとして、馬車で行き合ったら家格の高い相手に道を譲らなければならないというものがあるからだ。
そのためにもそこに誰が乗っているのかがわかるように紋章が付けられている。
もちろんお忍びで出かける時は外すのだが。
そしてどれだけ見覚えのある馬車であったとしても、紋章がない限り見かけた者は乗っている者が誰かということが断定できない。
時には勝手に他家や高位貴族の馬車を模した物を作って乗り回す者がいるからだ。
そのためにも紋章は必ずその家の者しか受け取れないことになっている。
今回ダグラスが紋章を外したのは、血に汚れた御者の操縦する血塗れの馬車に公爵令嬢が乗っているということを分からなくするためだろう。
相変わらず細かいところまで気が回るよね。
エレナの名誉を傷つけないためにも大切なことだけど、そこまでちゃんと考えられる者がどれほどいるのだろう。
そう思う私を乗せながら、馬車は滑らかに走り始めた。
そして最寄りの詰所に向かったわけなのだけど。
丁寧ってこういうことかしら?
まさか馬車の操縦でこうも差が出るとは思わなかったわ。
コース取りがいいのか、なんといっても不必要に揺れない。
これを思うとウェルズ邸の御者は運転が下手だったと感じる。
思った以上に快適な馬車での移動を経て、ほどなくして私たちは共有街の警邏の詰所までやって来た。
初めて見た詰所はいかにも質実剛健な感じの建物だ。
貴族街の邸宅と比べればこぢんまりとしているが、平民街の建物と比べれば十分大きい。
装飾は少なく色味も抑えられていて、前世での役所のような雰囲気があった。
「お嬢さまはここで少しお待ちください」
そう言うとダグラスは建物入り口の右側に立っているいかにも体格の良い男に声をかけた。
「よう。ルドはいるか?」
「ダグラスじゃねぇか。どうしたんだ?…っていうか、お前怪我してんの!?」
「いや、これは俺の血じゃねぇよ。ちょっと事件に巻き込まれたんでね。ルドに捜査をお願いしがてら経緯を説明しに来たんだが」
「そういうことか。運がいいな。ちょうどさっき戻ってきたところだ」
そう言うと男は入り口の逆サイドに立っている年若の青年に声をかける。
「ルドを呼んできてくれ。ダグラスを行かせてもいいが、馬車もあるみたいだしな。来てもらった方が早いだろう」
様子を見る限り、この詰所の者たちはフットワークが軽そうだ。
おそらくルドというのが上司なんだろうけど、そんな相手を呼びつけるのも普通のような気楽さがある。
「で?どうしたんだよ」
「話はルドが来てからだ。同じ話を二回するのは面倒なんでな」
そう言いながら二人が馬車に近づいてくる。
「派手に汚したなぁ。説明している間に綺麗にするよう指示しておこう」
「助かる」
私は泣いていたであろうことがわかる顔を晒したくなかったのもあって馬車の窓にレースのカーテンを引いていた。
だから声が近づいてきたのはわかっていたが、突然ドアが開くとは思っていなかったのだ。
ガチャ!
「きゃ!」
令嬢らしい、かわいい悲鳴を上げられたと思う。
間違っても「うぎゃ!」と言わなかった私を褒めて欲しい。
「おい!突然開ける奴があるか」
ダグラスとしても予想外だったのか、すぐに男の手を掴むとドアから手を離させた。
「……」
「おい、聞いてるのか?」
ダグラスの問いかけが聞こえているのか聞こえていないのか、男が無言でこちらを見ている。
えええ。
何で無言でこっちを見てるの?
私の不安が膨らんだ直後。
「お前彼女が乗ってるなら先にそう言えよ!」
は?
「彼女?」
ダグラスがおうむ返しに問いかけた。
「こんなむさ苦しい詰所に汚れた馬車で来たんだから、か弱い女性は送り届けた後だと思うだろうが」
そう言うと、けれど男は丁寧に馬車の扉を閉めた。
彼女…。
いや、それよりも泣き腫らした顔をダグラス以外の男性にも見られてしまった…。
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