109 / 204
悪役令嬢はアーティファクトを手に入れる
しおりを挟む
「おう。エレナ嬢、久しぶりだな」
ギルド長室に入ると、いつもと変わらずデュランが挨拶をしてくる。
室内にはリックも同席していた。
「今日はミラはいないのですね」
「ああ。契約の話になるし、買い物を兼ねておつかいに行かせてるよ」
そうか。
少し前までは一人で出かけることすら怖がっていたけれど、出かけられるようになったのね。
あの事件の心の傷がすぐに癒えるとは思っていない。
それでも、少しずつでも立ち直っていっている様子がうかがえて嬉しかった。
「リックもごきげんよう。商会の運営も順調と聞いていますわ。今日は商会の口座からもお金を動かしますので、よろしくお願いしますわね」
「ああ」
デュランの勧めでソファに腰掛けると、さっそく話題はアーティファクトのことになった。
「いくら探しても全然情報が出てこなかったからいい加減諦めかけていたところだったんだが……思わぬところで見つかってな」
「思わぬところ、ですか?」
「先日スラム街で老人が一人亡くなったんだが、そいつの遺品に、あったんだよ」
「あのアーティファクトがですの!?」
え。
あれってかなり高額の希少品なんだけど。
スラム街のご老人が持っているような物ではないよね?
「どうやらその老人は元々はかなりいいところの出だったらしい。スラム街でその老人が世話していた子がいるんだが、その子どもがこちらに話を持ってきた」
「アーティファクトは一見しただけではそれほど価値のあるものとわからないことが多いのですが、その子はよくわかりましたわね?」
「それが何なのかはわかっていなかったが、少なくともガラクタではないと思ったらしい」
ほうほう。
なかなか目利きの良い子ね。
「ところが、だ。ここで問題が発生した」
「問題、ですか?」
「どこからか亡くなったことを聞きつけた老人の身内と名乗る者が現れた。その者はアーティファクトに関しても権利を主張している」
「スラム街にいたのであれば、元の家との繋がりは絶たれているものではないのですか?」
そう。
この王都にはスラム街がある。
元々貧しい者や何か事情があって流れてきた者たちが住む場所。
決して治安は良くないし、平民ですらあまり近寄らないところだ。
「普通であればそうだろう。その老人に関しても、元の家とは亡くなるまではなんの繋がりもなかったようだ」
「それが亡くなった途端あらわれた、ということですわね」
「目的はそのアーティファクトだ。どうやら老人は家を出る時にそれを黙って持って出たらしい」
いやいや、待って。
アーティファクトのある家って相当な高位貴族なのでは?
公爵家である我が家ですら持っていないし、私がデュランとの契約で使ったアーティファクトは王家のもの。
「聞くのも恐ろしいですけれど、その家というのはどちらの?」
「レンブラント家だ」
レンブラント家といえば……王妃の実家じゃないの!
え……なに、じゃああのアーティファクトは元々王妃の実家にあったってこと?
ああ!
だからか。
ゲームの中でライアンがあれを持っていたのは。
「すでにアーティファクトはこちらで預かってはいるが、さすがに知らぬ存ぜぬで通すことができない」
「でもそのアーティファクトがレンブラント家の物だったという証拠はありませんよね?」
「その証拠はなかったが、亡くなった老人がレンブラント家の者だったということはわかっている。アーティファクトと共に家紋の彫られた指輪を持っていたからな」
となると、老人の持ち物は基本的にレンブラント家の物ということになる。
一緒に暮らしていた子がいたということだから、少なくともその子にも多少なりとも権利があるはずだけど、相手が高位貴族であればそんなことは無かったことにされるだろうな。
「結局のところ落とし所がある程度の金銭ということになった」
「ということは、デュランはあの家と交渉したということかしら?」
あの、いろいろ噂のあるレンブラント家と?
高価なアーティファクトを持ち出せるくらいの立場にいた者を平気でスラム街に追いやるあの家と?
ブルブル。
恐ろしい。
「まぁ、それがエレナ嬢からの依頼だったしな。情報ギルドとして仕事を請け負ったからには全力を尽くすに決まっているだろう」
やだ。
デュランさんが男前です。
「わかりましたわ。ではあらかじめお伺いしていた金額の内商会からの分は小切手を切りますわね。残りの分は分割で持参しますわ」
商会の分は自分の口座だから小切手を切れるけど、家から割り振られた予算から出す分は目的も支払い先も知られるわけにはいかない。
「わかった。では契約だけは今済ませておこう」
アーティファクトの所有者はレンブラント家から一旦デュランに移し、その後デュランから私に移す予定だ。
それでも、表向きはデュランのままにする。
そうしなければ私の身に危険がおよびかねない。
情報ギルド長のデュランであれば相手も簡単に害せないだろうから、といった理由でそう決めたわけだけど……。
「あなたに危険を押しつけるようなことになってしまわないかしら?」
正直、それだけが心配だ。
「俺もだてにこの仕事をやってるわけじゃないからな。こちらが危なくならないように、そこはちょーっと脅しておいた」
ニヤッと笑う顔が悪い顔になってますよ、デュランさん。
自分の身をちゃんと守れると言い切れるのはさすがだよね。
ああでも、ミラは大丈夫かな。
あとその老人と一緒にいたという子は?
守るものが多い人はその分弱みが増える。
デュランが私の分も危険を引き受けてくれるというのであれば、私は私のできることをしよう。
「では、ミラは私が預かりますわ」
「ミラを?」
「ええ。ミラに何かあってはいけませんもの。使用人としてになってしまいますが」
「そうだな。この件が片づいて危険がないとわかるまではその方がいいか……」
平民街の中でもあまり治安が良くないこの地域にいるよりは、公爵邸内にいた方がまだ安全だろう。
「あと、その老人と一緒にいたという子はどんな子ですか?」
「スラム街育ちの割にはかなり賢いな。目端が利くし。もしかすると亡くなったという老人がいろいろ教えて育てていたのかもしれない」
ふむ。
とりあえずゲームの登場人物ではないと思うけど……。
少なくとも攻略対象者ではないはずだし。
でもなぜか気になるのよね。
いずれにせよその子も老人とレンブラント家の関係、そしてアーティファクトの存在を知ってしまっている分、危険かもしれないよね。
「わかりましたわ。ではミラと一緒にその子も私が預かりましょう」
「しかし、素性は知れないぞ?」
「問題ありませんわ。万が一危ないと思いましたら容赦なく切り捨てますので」
そこは甘い顔はしない。
でもその子にもチャンスはあってもいいはずだから。
様子を見る限り、デュランもその子を気にしてるみたいだし。
「わかった。ではそれで頼む」
デュランの言葉をきりに、まずはアーティファクトの手続きをする。
私としてはかなり高額な買い物だからサインをする手が震えていたけど、そのことは内緒だ。
「そういえば、一つ調べていただきたいことがありますの」
契約が一段落ついたところで、私はおもむろに話を切り出す。
「今度は何だ?」
「私の新しい専属護衛になったレオについてですわ」
「なんだ、護衛が増えたのか?」
「ええ。ダグラスだけでは大変だろうということで。でもレオの身上書を私は見せてもらえなかったんですの。それがちょっと気になりまして」
「なるほど。エレナ嬢にとって公爵邸の中は必ずしも安心できる場所ではないだろうからなぁ」
デュラン、ちゃっかりうちの内情も調べていそうね。
「そういう訳で、よろしくお願いしますわね」
そう言って私は一通りの目的を済ませたのだった。
ギルド長室に入ると、いつもと変わらずデュランが挨拶をしてくる。
室内にはリックも同席していた。
「今日はミラはいないのですね」
「ああ。契約の話になるし、買い物を兼ねておつかいに行かせてるよ」
そうか。
少し前までは一人で出かけることすら怖がっていたけれど、出かけられるようになったのね。
あの事件の心の傷がすぐに癒えるとは思っていない。
それでも、少しずつでも立ち直っていっている様子がうかがえて嬉しかった。
「リックもごきげんよう。商会の運営も順調と聞いていますわ。今日は商会の口座からもお金を動かしますので、よろしくお願いしますわね」
「ああ」
デュランの勧めでソファに腰掛けると、さっそく話題はアーティファクトのことになった。
「いくら探しても全然情報が出てこなかったからいい加減諦めかけていたところだったんだが……思わぬところで見つかってな」
「思わぬところ、ですか?」
「先日スラム街で老人が一人亡くなったんだが、そいつの遺品に、あったんだよ」
「あのアーティファクトがですの!?」
え。
あれってかなり高額の希少品なんだけど。
スラム街のご老人が持っているような物ではないよね?
「どうやらその老人は元々はかなりいいところの出だったらしい。スラム街でその老人が世話していた子がいるんだが、その子どもがこちらに話を持ってきた」
「アーティファクトは一見しただけではそれほど価値のあるものとわからないことが多いのですが、その子はよくわかりましたわね?」
「それが何なのかはわかっていなかったが、少なくともガラクタではないと思ったらしい」
ほうほう。
なかなか目利きの良い子ね。
「ところが、だ。ここで問題が発生した」
「問題、ですか?」
「どこからか亡くなったことを聞きつけた老人の身内と名乗る者が現れた。その者はアーティファクトに関しても権利を主張している」
「スラム街にいたのであれば、元の家との繋がりは絶たれているものではないのですか?」
そう。
この王都にはスラム街がある。
元々貧しい者や何か事情があって流れてきた者たちが住む場所。
決して治安は良くないし、平民ですらあまり近寄らないところだ。
「普通であればそうだろう。その老人に関しても、元の家とは亡くなるまではなんの繋がりもなかったようだ」
「それが亡くなった途端あらわれた、ということですわね」
「目的はそのアーティファクトだ。どうやら老人は家を出る時にそれを黙って持って出たらしい」
いやいや、待って。
アーティファクトのある家って相当な高位貴族なのでは?
公爵家である我が家ですら持っていないし、私がデュランとの契約で使ったアーティファクトは王家のもの。
「聞くのも恐ろしいですけれど、その家というのはどちらの?」
「レンブラント家だ」
レンブラント家といえば……王妃の実家じゃないの!
え……なに、じゃああのアーティファクトは元々王妃の実家にあったってこと?
ああ!
だからか。
ゲームの中でライアンがあれを持っていたのは。
「すでにアーティファクトはこちらで預かってはいるが、さすがに知らぬ存ぜぬで通すことができない」
「でもそのアーティファクトがレンブラント家の物だったという証拠はありませんよね?」
「その証拠はなかったが、亡くなった老人がレンブラント家の者だったということはわかっている。アーティファクトと共に家紋の彫られた指輪を持っていたからな」
となると、老人の持ち物は基本的にレンブラント家の物ということになる。
一緒に暮らしていた子がいたということだから、少なくともその子にも多少なりとも権利があるはずだけど、相手が高位貴族であればそんなことは無かったことにされるだろうな。
「結局のところ落とし所がある程度の金銭ということになった」
「ということは、デュランはあの家と交渉したということかしら?」
あの、いろいろ噂のあるレンブラント家と?
高価なアーティファクトを持ち出せるくらいの立場にいた者を平気でスラム街に追いやるあの家と?
ブルブル。
恐ろしい。
「まぁ、それがエレナ嬢からの依頼だったしな。情報ギルドとして仕事を請け負ったからには全力を尽くすに決まっているだろう」
やだ。
デュランさんが男前です。
「わかりましたわ。ではあらかじめお伺いしていた金額の内商会からの分は小切手を切りますわね。残りの分は分割で持参しますわ」
商会の分は自分の口座だから小切手を切れるけど、家から割り振られた予算から出す分は目的も支払い先も知られるわけにはいかない。
「わかった。では契約だけは今済ませておこう」
アーティファクトの所有者はレンブラント家から一旦デュランに移し、その後デュランから私に移す予定だ。
それでも、表向きはデュランのままにする。
そうしなければ私の身に危険がおよびかねない。
情報ギルド長のデュランであれば相手も簡単に害せないだろうから、といった理由でそう決めたわけだけど……。
「あなたに危険を押しつけるようなことになってしまわないかしら?」
正直、それだけが心配だ。
「俺もだてにこの仕事をやってるわけじゃないからな。こちらが危なくならないように、そこはちょーっと脅しておいた」
ニヤッと笑う顔が悪い顔になってますよ、デュランさん。
自分の身をちゃんと守れると言い切れるのはさすがだよね。
ああでも、ミラは大丈夫かな。
あとその老人と一緒にいたという子は?
守るものが多い人はその分弱みが増える。
デュランが私の分も危険を引き受けてくれるというのであれば、私は私のできることをしよう。
「では、ミラは私が預かりますわ」
「ミラを?」
「ええ。ミラに何かあってはいけませんもの。使用人としてになってしまいますが」
「そうだな。この件が片づいて危険がないとわかるまではその方がいいか……」
平民街の中でもあまり治安が良くないこの地域にいるよりは、公爵邸内にいた方がまだ安全だろう。
「あと、その老人と一緒にいたという子はどんな子ですか?」
「スラム街育ちの割にはかなり賢いな。目端が利くし。もしかすると亡くなったという老人がいろいろ教えて育てていたのかもしれない」
ふむ。
とりあえずゲームの登場人物ではないと思うけど……。
少なくとも攻略対象者ではないはずだし。
でもなぜか気になるのよね。
いずれにせよその子も老人とレンブラント家の関係、そしてアーティファクトの存在を知ってしまっている分、危険かもしれないよね。
「わかりましたわ。ではミラと一緒にその子も私が預かりましょう」
「しかし、素性は知れないぞ?」
「問題ありませんわ。万が一危ないと思いましたら容赦なく切り捨てますので」
そこは甘い顔はしない。
でもその子にもチャンスはあってもいいはずだから。
様子を見る限り、デュランもその子を気にしてるみたいだし。
「わかった。ではそれで頼む」
デュランの言葉をきりに、まずはアーティファクトの手続きをする。
私としてはかなり高額な買い物だからサインをする手が震えていたけど、そのことは内緒だ。
「そういえば、一つ調べていただきたいことがありますの」
契約が一段落ついたところで、私はおもむろに話を切り出す。
「今度は何だ?」
「私の新しい専属護衛になったレオについてですわ」
「なんだ、護衛が増えたのか?」
「ええ。ダグラスだけでは大変だろうということで。でもレオの身上書を私は見せてもらえなかったんですの。それがちょっと気になりまして」
「なるほど。エレナ嬢にとって公爵邸の中は必ずしも安心できる場所ではないだろうからなぁ」
デュラン、ちゃっかりうちの内情も調べていそうね。
「そういう訳で、よろしくお願いしますわね」
そう言って私は一通りの目的を済ませたのだった。
809
お気に入りに追加
2,273
あなたにおすすめの小説

記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?
ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」
バシッ!!
わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。
目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの?
最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故?
ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない……
前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた……
前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。
転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?
婚約破棄を望むなら〜私の愛した人はあなたじゃありません〜
みおな
恋愛
王家主催のパーティーにて、私の婚約者がやらかした。
「お前との婚約を破棄する!!」
私はこの馬鹿何言っているんだと思いながらも、婚約破棄を受け入れてやった。
だって、私は何ひとつ困らない。
困るのは目の前でふんぞり返っている元婚約者なのだから。
勘当された悪役令嬢は平民になって幸せに暮らしていたのになぜか人生をやり直しさせられる
千環
恋愛
第三王子の婚約者であった侯爵令嬢アドリアーナだが、第三王子が想いを寄せる男爵令嬢を害した罪で婚約破棄を言い渡されたことによりスタングロム侯爵家から勘当され、平民アニーとして生きることとなった。
なんとか日々を過ごす内に12年の歳月が流れ、ある時出会った10歳年上の平民アレクと結ばれて、可愛い娘チェルシーを授かり、とても幸せに暮らしていたのだが……道に飛び出して馬車に轢かれそうになった娘を助けようとしたアニーは気付けば6歳のアドリアーナに戻っていた。

〈完結〉【コミカライズ・取り下げ予定】思い上がりも程々に。地味令嬢アメリアの幸せな婚約
ごろごろみかん。
恋愛
「もう少し、背は高い方がいいね」
「もう少し、顔は華やかな方が好みだ」
「もう少し、肉感的な方が好きだな」
あなたがそう言うから、あなたの期待に応えれるように頑張りました。
でも、だめだったのです。
だって、あなたはお姉様が好きだから。
私は、お姉様にはなれません。
想い合うふたりの会話を聞いてしまった私は、父である公爵に婚約の解消をお願いしにいきました。
それが、どんな結末を呼ぶかも知らずに──。
悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません
れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。
「…私、間違ってませんわね」
曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話
…だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている…
5/13
ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます
5/22
修正完了しました。明日から通常更新に戻ります
9/21
完結しました
また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います

【 完結 】「婚約破棄」されましたので、恥ずかしいから帰っても良いですか?
しずもり
恋愛
ミレーヌはガルド国のシルフィード公爵令嬢で、この国の第一王子アルフリートの婚約者だ。いや、もう元婚約者なのかも知れない。
王立学園の卒業パーティーが始まる寸前で『婚約破棄』を宣言されてしまったからだ。アルフリートの隣にはピンクの髪の美少女を寄り添わせて、宣言されたその言葉にミレーヌが悲しむ事は無かった。それよりも彼女の心を占めていた感情はー。
恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい!!
ミレーヌは恥ずかしかった。今すぐにでも気を失いたかった。
この国で、学園で、知っていなければならない、知っている筈のアレを、第一王子たちはいつ気付くのか。
孤軍奮闘のミレーヌと愉快な王子とお馬鹿さんたちのちょっと変わった断罪劇です。
なんちゃって異世界のお話です。
時代考証など皆無の緩い設定で、殆どを現代風の口調、言葉で書いています。
HOT2位 &人気ランキング 3位になりました。(2/24)
数ある作品の中で興味を持って下さりありがとうございました。
*国の名前をオレーヌからガルドに変更しました。
私達、政略結婚ですから。
黎
恋愛
オルヒデーエは、来月ザイデルバスト王子との結婚を控えていた。しかし2年前に王宮に来て以来、王子とはろくに会わず話もしない。一方で1年前現れたレディ・トゥルペは、王子に指輪を贈られ、二人きりで会ってもいる。王子に自分達の関係性を問いただすも「政略結婚だが」と知らん顔、レディ・トゥルペも、オルヒデーエに向かって「政略結婚ですから」としたり顔。半年前からは、レディ・トゥルペに数々の嫌がらせをしたという噂まで流れていた。
それが罪状として読み上げられる中、オルヒデーエは王子との数少ない思い出を振り返り、その処断を待つ。

婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでのこと。
……やっぱり、ダメだったんだ。
周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間でもあった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表する。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放。そして、国外へと運ばれている途中に魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※毎週土曜日の18時+気ままに投稿中
※プロットなしで書いているので辻褄合わせの為に後から修正することがあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる