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悪役令嬢はお茶会に招待される
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お茶会当日。
実は内心とても楽しみにしていた私は、朝からメアリの手を借りて準備をしていた。
メアリによっていつでも完璧に手入れされている金髪をサイドだけ残してアップにし、瞳の色と合わせた濃いオーキッド色のドレスを身にまとう。
エレナは可愛いというよりも綺麗と評する方が相応しい。
体型だって出るところは出てくびれるところはくびれているというけしからん程にナイスバディだ。
綺麗だよねぇ。
鏡に映る自分の姿を見ながらしみじみ思う。
着飾れば着飾るほどエレナは映える。
エレナ=自分だということはわかっているが、前世とのあまりの違いに時々ひと事のように感じてしまうのだ。
可愛らしさを求めてはいないので、ドレスにはそれほどレースを使っていない。
ご令嬢のドレスといえばプリンセスラインの物が多いがエレナはそのスタイルを生かすためにもAラインのドレスを好んでいる。
そして今日のドレスにはウェストから裾に向かってレースの代わりに豪奢な刺繍が施されていた。
相変わらずメアリの腕は確かだ。
メイクもいつも通り綺麗に仕上げてもらって、私はレオを伴うと馬車に乗り込む。
「今日の護衛はレオ様なんですね」
「そうね。ダグラスは今日は用事があるとかでお休みなのよ」
メアリの問いに私は簡潔に答えた。
最初ダグラスとレオはそれぞれ一人ずつ護衛についていたが、今では日によって二人になることもある。
一人だったり二人だったり、途中で交代したりと、わりとフレキシブルに対応している感じだ。
それにしても、女子会だよ!
前世でも学校の授業とアルバイトとかの忙しさにかまけてあまりできなかった女子会!
楽しみでしかない。
今日クレアのお茶会に集まるのは、ソフィと私と、なんとジェシカだ。
本来であれば下位貴族である子爵令嬢と上位貴族である公爵令嬢と伯爵令嬢が同じお茶会の場につくことは珍しい。
グラント国では上から公爵、侯爵、伯爵までを上位貴族とし、子爵、男爵は下位貴族とみなされる。
それでも、学園内では平等をモットーとしているし、そこで繋がりができれば個人的に親しくすることはあった。
そこにはその家の考えや令嬢自身の考えが影響するのだけど。
幸いにして、クレアもソフィも柔軟な考えを持っていたようだ。
私自身に至っては元々前世では庶民。
以前のエレナがどうだったかはわからないけど、少なくとも今はノープロブレムだ。
裏の仕事の関係もあるが、今となってはジェシカは私にとって大切な友でもある。
あのご令嬢らしくない歯に衣着せぬ言い方、慣れてしまうと癖になるのよねぇ。
公爵令嬢に対しては忖度するか当たり障りないことを言うご令嬢が多い中、忌憚ない意見をはっきり言ってくれるところも好ましい。
いやだって、腹の探り合いって面倒なんだもん。
たとえそれが貴族としての常識だとしても、裏を考えてばかりの会話はやっぱり疲れる。
その点ジェシカにはいろいろバレてもいるから気が楽だった。
もちろんクレアとソフィも、礼儀や節度は弁えていても本音を打ち明けてくれるから今では親友と言ってもいいと思っている。
…私だけの思い込みじゃないと思うんだけど。
大丈夫かな?
多少の不安を抱える私を乗せて、馬車は順調にスタイン家の邸宅へ向かっていた。
「お嬢様、今日の護衛は私でよろしかったのでしょうか?」
「もちろんよろしくてよ。何か問題でも?」
突然レオから問われ、私は小首を傾げた。
何か問題、あったっけ?
「いえ。学園での護衛の際も日中や他のご友人とご一緒される時はダグラス殿が務めていたので。もしかしてお嬢様の中で護衛をする上での区別やルールがあるのかと思っていたのですが」
なるほど。
言われてみればたしかに、友人たちと一緒にいる時の護衛はほぼダグラスだった。
学園にレオを連れて行ったことがないわけではないが、どちらかというと休日に兄のところに突撃する時や、途中でダグラスと交代して授業後だけとか、レオがクレアたちと接する機会は無かったに等しい。
「特に決めていたわけではないわ。ちょうど良い機会ですから、今日彼女たちにも紹介しましょう」
もしかして、私がレオを差別しているとでも思っていたのかな?
そうだとしたら申し訳ない。
雇用主としては従業員が気持ち良く働ける環境を作らないとね。
「承知いたしました」
レオが胸に手を当て軽く頭を下げる。
何ていうか、絵になるのよね。
金髪碧眼の美丈夫。
基本的に美形というのは貴族に多い。
というのも、貴族はその力にあかせて美しいものを手に入れるものだから。
元々美しい者が美しい相手と子を成せば当然生まれてくる子も美しい可能性が高い。
平民の中に綺麗な人がいないわけではないけどそういう人は珍しいし、下手に平民の中で綺麗だと目立ってしまい、目をつけた貴族に召し上げられて苦労することが往々にしてある。
いわゆる愛人になれと強要されたり、場合によっては庶子を産まされたり。
そう思うと、綺麗な人というのも大変なのかも。
そしてレオは所作も洗練されているのだ。
小さい頃から身につける立ち居振る舞いは誤魔化せない。
そしてこの容姿。
レオが貴族である可能性は相当高いと思う。
誰かの息がかかっているのかねぇ。
あの両親のことだ、疑い出したら切りが無い。
エレナのことを考えて良い人材を雇うとかあり得ないからね。
ま、ダグラス同様腕は立つのだろうけど。
エレナの身を守る、その一点に関してだけは信用できる。
今のところはどうなのかわからないから、一度デュランに調べてもらった方がいいかも。
そんなことを考えている内に、馬車はスタイン家の邸宅に着いたのだった。
実は内心とても楽しみにしていた私は、朝からメアリの手を借りて準備をしていた。
メアリによっていつでも完璧に手入れされている金髪をサイドだけ残してアップにし、瞳の色と合わせた濃いオーキッド色のドレスを身にまとう。
エレナは可愛いというよりも綺麗と評する方が相応しい。
体型だって出るところは出てくびれるところはくびれているというけしからん程にナイスバディだ。
綺麗だよねぇ。
鏡に映る自分の姿を見ながらしみじみ思う。
着飾れば着飾るほどエレナは映える。
エレナ=自分だということはわかっているが、前世とのあまりの違いに時々ひと事のように感じてしまうのだ。
可愛らしさを求めてはいないので、ドレスにはそれほどレースを使っていない。
ご令嬢のドレスといえばプリンセスラインの物が多いがエレナはそのスタイルを生かすためにもAラインのドレスを好んでいる。
そして今日のドレスにはウェストから裾に向かってレースの代わりに豪奢な刺繍が施されていた。
相変わらずメアリの腕は確かだ。
メイクもいつも通り綺麗に仕上げてもらって、私はレオを伴うと馬車に乗り込む。
「今日の護衛はレオ様なんですね」
「そうね。ダグラスは今日は用事があるとかでお休みなのよ」
メアリの問いに私は簡潔に答えた。
最初ダグラスとレオはそれぞれ一人ずつ護衛についていたが、今では日によって二人になることもある。
一人だったり二人だったり、途中で交代したりと、わりとフレキシブルに対応している感じだ。
それにしても、女子会だよ!
前世でも学校の授業とアルバイトとかの忙しさにかまけてあまりできなかった女子会!
楽しみでしかない。
今日クレアのお茶会に集まるのは、ソフィと私と、なんとジェシカだ。
本来であれば下位貴族である子爵令嬢と上位貴族である公爵令嬢と伯爵令嬢が同じお茶会の場につくことは珍しい。
グラント国では上から公爵、侯爵、伯爵までを上位貴族とし、子爵、男爵は下位貴族とみなされる。
それでも、学園内では平等をモットーとしているし、そこで繋がりができれば個人的に親しくすることはあった。
そこにはその家の考えや令嬢自身の考えが影響するのだけど。
幸いにして、クレアもソフィも柔軟な考えを持っていたようだ。
私自身に至っては元々前世では庶民。
以前のエレナがどうだったかはわからないけど、少なくとも今はノープロブレムだ。
裏の仕事の関係もあるが、今となってはジェシカは私にとって大切な友でもある。
あのご令嬢らしくない歯に衣着せぬ言い方、慣れてしまうと癖になるのよねぇ。
公爵令嬢に対しては忖度するか当たり障りないことを言うご令嬢が多い中、忌憚ない意見をはっきり言ってくれるところも好ましい。
いやだって、腹の探り合いって面倒なんだもん。
たとえそれが貴族としての常識だとしても、裏を考えてばかりの会話はやっぱり疲れる。
その点ジェシカにはいろいろバレてもいるから気が楽だった。
もちろんクレアとソフィも、礼儀や節度は弁えていても本音を打ち明けてくれるから今では親友と言ってもいいと思っている。
…私だけの思い込みじゃないと思うんだけど。
大丈夫かな?
多少の不安を抱える私を乗せて、馬車は順調にスタイン家の邸宅へ向かっていた。
「お嬢様、今日の護衛は私でよろしかったのでしょうか?」
「もちろんよろしくてよ。何か問題でも?」
突然レオから問われ、私は小首を傾げた。
何か問題、あったっけ?
「いえ。学園での護衛の際も日中や他のご友人とご一緒される時はダグラス殿が務めていたので。もしかしてお嬢様の中で護衛をする上での区別やルールがあるのかと思っていたのですが」
なるほど。
言われてみればたしかに、友人たちと一緒にいる時の護衛はほぼダグラスだった。
学園にレオを連れて行ったことがないわけではないが、どちらかというと休日に兄のところに突撃する時や、途中でダグラスと交代して授業後だけとか、レオがクレアたちと接する機会は無かったに等しい。
「特に決めていたわけではないわ。ちょうど良い機会ですから、今日彼女たちにも紹介しましょう」
もしかして、私がレオを差別しているとでも思っていたのかな?
そうだとしたら申し訳ない。
雇用主としては従業員が気持ち良く働ける環境を作らないとね。
「承知いたしました」
レオが胸に手を当て軽く頭を下げる。
何ていうか、絵になるのよね。
金髪碧眼の美丈夫。
基本的に美形というのは貴族に多い。
というのも、貴族はその力にあかせて美しいものを手に入れるものだから。
元々美しい者が美しい相手と子を成せば当然生まれてくる子も美しい可能性が高い。
平民の中に綺麗な人がいないわけではないけどそういう人は珍しいし、下手に平民の中で綺麗だと目立ってしまい、目をつけた貴族に召し上げられて苦労することが往々にしてある。
いわゆる愛人になれと強要されたり、場合によっては庶子を産まされたり。
そう思うと、綺麗な人というのも大変なのかも。
そしてレオは所作も洗練されているのだ。
小さい頃から身につける立ち居振る舞いは誤魔化せない。
そしてこの容姿。
レオが貴族である可能性は相当高いと思う。
誰かの息がかかっているのかねぇ。
あの両親のことだ、疑い出したら切りが無い。
エレナのことを考えて良い人材を雇うとかあり得ないからね。
ま、ダグラス同様腕は立つのだろうけど。
エレナの身を守る、その一点に関してだけは信用できる。
今のところはどうなのかわからないから、一度デュランに調べてもらった方がいいかも。
そんなことを考えている内に、馬車はスタイン家の邸宅に着いたのだった。
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