90 / 204
悪役令嬢は困惑するー前世ー
しおりを挟む
友人に勧められたゲームは、一番最初の王太子の攻略ですでに頓挫気味だった。
「どうだった?どうだった?」
久しぶりに学食で一緒にランチをしようと席に着いた途端、友人のワクワクが抑えきれない瞳と目が合う。
「いやー…うーん…どうにもこうにも胸糞悪かったわー」
「ええー?なんで??」
心底びっくりした友人に、いったいどう伝えようか迷う。
「まだ一人目の王太子の攻略中だけど、悪役令嬢が悪い子には思えないし、王太子は残念王子だし、ヒロインがただの尻軽に思えちゃうんだよね」
「ああー…それね。そこは突っ込んじゃダメなとこだよ」
「どういうこと?」
ワクワクの瞳がいきなりスンっとなって驚く。
「あれはあくまでファンタジーだからね。細かいところを気にすると楽しめなくなっちゃうのよ。基本、ヒロインに感情移入するのがマストだし、倫理観とか言い出したらキリがないのよねー」
かなりゲームにハマっている友人から思わぬ冷静な言葉が返ってきて、むしろそのことに私はびっくりした。
「だって考えてもみてよ。逆ハーなんて現実ではありえないし、男爵令嬢が王太子と恋愛関係になった挙句に結婚まで行くなんて非現実的じゃん」
「それがちゃんとわかっているのにハマれる?」
「それはそれ、これはこれだからよー。頭を空っぽにして楽しむの」
ランチのA定食を頬張りながら、友人はこともなげに言う。
「そういうもん?」
「そういうもんよ。まぁ、そこら辺のことが気になるなら王太子よりも先に他のキャラから攻略した方がいいかも。そっちの方がまだマシだから」
そこまで言って「あ!」と友人は声を上げると続けた。
「でもダグラスは最後に攻略するのがおすすめよ!」
「んんー…最後まで辿り着けるかな?」
「頭空っぽにすれば万事オッケー」
友人の軽口に笑って、私は自分のB定食を食べる。
とりあえずは王太子を後回しにして…他のキャラを先にやってみようか。
その前に一度攻略本をちゃんと見ておこう。
攻略本を見てあまりにも納得できない感じだったら、友人には悪いけどそこで止めるつもりだ。
まったくときめかないわけではないんだけどなぁ。
願わくば、他のキャラではもっとドキドキしたいよね。
「どうだった?どうだった?」
久しぶりに学食で一緒にランチをしようと席に着いた途端、友人のワクワクが抑えきれない瞳と目が合う。
「いやー…うーん…どうにもこうにも胸糞悪かったわー」
「ええー?なんで??」
心底びっくりした友人に、いったいどう伝えようか迷う。
「まだ一人目の王太子の攻略中だけど、悪役令嬢が悪い子には思えないし、王太子は残念王子だし、ヒロインがただの尻軽に思えちゃうんだよね」
「ああー…それね。そこは突っ込んじゃダメなとこだよ」
「どういうこと?」
ワクワクの瞳がいきなりスンっとなって驚く。
「あれはあくまでファンタジーだからね。細かいところを気にすると楽しめなくなっちゃうのよ。基本、ヒロインに感情移入するのがマストだし、倫理観とか言い出したらキリがないのよねー」
かなりゲームにハマっている友人から思わぬ冷静な言葉が返ってきて、むしろそのことに私はびっくりした。
「だって考えてもみてよ。逆ハーなんて現実ではありえないし、男爵令嬢が王太子と恋愛関係になった挙句に結婚まで行くなんて非現実的じゃん」
「それがちゃんとわかっているのにハマれる?」
「それはそれ、これはこれだからよー。頭を空っぽにして楽しむの」
ランチのA定食を頬張りながら、友人はこともなげに言う。
「そういうもん?」
「そういうもんよ。まぁ、そこら辺のことが気になるなら王太子よりも先に他のキャラから攻略した方がいいかも。そっちの方がまだマシだから」
そこまで言って「あ!」と友人は声を上げると続けた。
「でもダグラスは最後に攻略するのがおすすめよ!」
「んんー…最後まで辿り着けるかな?」
「頭空っぽにすれば万事オッケー」
友人の軽口に笑って、私は自分のB定食を食べる。
とりあえずは王太子を後回しにして…他のキャラを先にやってみようか。
その前に一度攻略本をちゃんと見ておこう。
攻略本を見てあまりにも納得できない感じだったら、友人には悪いけどそこで止めるつもりだ。
まったくときめかないわけではないんだけどなぁ。
願わくば、他のキャラではもっとドキドキしたいよね。
746
お気に入りに追加
2,273
あなたにおすすめの小説
婚約破棄を望むなら〜私の愛した人はあなたじゃありません〜
みおな
恋愛
王家主催のパーティーにて、私の婚約者がやらかした。
「お前との婚約を破棄する!!」
私はこの馬鹿何言っているんだと思いながらも、婚約破棄を受け入れてやった。
だって、私は何ひとつ困らない。
困るのは目の前でふんぞり返っている元婚約者なのだから。

〈完結〉【コミカライズ・取り下げ予定】思い上がりも程々に。地味令嬢アメリアの幸せな婚約
ごろごろみかん。
恋愛
「もう少し、背は高い方がいいね」
「もう少し、顔は華やかな方が好みだ」
「もう少し、肉感的な方が好きだな」
あなたがそう言うから、あなたの期待に応えれるように頑張りました。
でも、だめだったのです。
だって、あなたはお姉様が好きだから。
私は、お姉様にはなれません。
想い合うふたりの会話を聞いてしまった私は、父である公爵に婚約の解消をお願いしにいきました。
それが、どんな結末を呼ぶかも知らずに──。
悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません
れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。
「…私、間違ってませんわね」
曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話
…だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている…
5/13
ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます
5/22
修正完了しました。明日から通常更新に戻ります
9/21
完結しました
また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います

【 完結 】「婚約破棄」されましたので、恥ずかしいから帰っても良いですか?
しずもり
恋愛
ミレーヌはガルド国のシルフィード公爵令嬢で、この国の第一王子アルフリートの婚約者だ。いや、もう元婚約者なのかも知れない。
王立学園の卒業パーティーが始まる寸前で『婚約破棄』を宣言されてしまったからだ。アルフリートの隣にはピンクの髪の美少女を寄り添わせて、宣言されたその言葉にミレーヌが悲しむ事は無かった。それよりも彼女の心を占めていた感情はー。
恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい!!
ミレーヌは恥ずかしかった。今すぐにでも気を失いたかった。
この国で、学園で、知っていなければならない、知っている筈のアレを、第一王子たちはいつ気付くのか。
孤軍奮闘のミレーヌと愉快な王子とお馬鹿さんたちのちょっと変わった断罪劇です。
なんちゃって異世界のお話です。
時代考証など皆無の緩い設定で、殆どを現代風の口調、言葉で書いています。
HOT2位 &人気ランキング 3位になりました。(2/24)
数ある作品の中で興味を持って下さりありがとうございました。
*国の名前をオレーヌからガルドに変更しました。
私達、政略結婚ですから。
黎
恋愛
オルヒデーエは、来月ザイデルバスト王子との結婚を控えていた。しかし2年前に王宮に来て以来、王子とはろくに会わず話もしない。一方で1年前現れたレディ・トゥルペは、王子に指輪を贈られ、二人きりで会ってもいる。王子に自分達の関係性を問いただすも「政略結婚だが」と知らん顔、レディ・トゥルペも、オルヒデーエに向かって「政略結婚ですから」としたり顔。半年前からは、レディ・トゥルペに数々の嫌がらせをしたという噂まで流れていた。
それが罪状として読み上げられる中、オルヒデーエは王子との数少ない思い出を振り返り、その処断を待つ。

婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでのこと。
……やっぱり、ダメだったんだ。
周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間でもあった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表する。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放。そして、国外へと運ばれている途中に魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※毎週土曜日の18時+気ままに投稿中
※プロットなしで書いているので辻褄合わせの為に後から修正することがあります。
悪役令嬢に転生したので、すべて無視することにしたのですが……?
りーさん
恋愛
気がついたら、生まれ変わっていた。自分が死んだ記憶もない。どうやら、悪役令嬢に生まれ変わったみたい。しかも、生まれ変わったタイミングが、学園の入学式の前日で、攻略対象からも嫌われまくってる!?
こうなったら、破滅回避は諦めよう。だって、悪役令嬢は、悪口しか言ってなかったんだから。それだけで、公の場で断罪するような婚約者など、こっちから願い下げだ。
他の攻略対象も、別にお前らは関係ないだろ!って感じなのに、一緒に断罪に参加するんだから!そんな奴らのご機嫌をとるだけ無駄なのよ。
もう攻略対象もヒロインもシナリオも全部無視!やりたいことをやらせてもらうわ!
そうやって無視していたら、なんでか攻略対象がこっちに来るんだけど……?
※恋愛はのんびりになります。タグにあるように、主人公が恋をし出すのは後半です。
1/31 タイトル変更 破滅寸前→ゲーム開始直前

とある令嬢の勘違いに巻き込まれて、想いを寄せていた子息と婚約を解消することになったのですが、そこにも勘違いが潜んでいたようです
珠宮さくら
恋愛
ジュリア・レオミュールは、想いを寄せている子息と婚約したことを両親に聞いたはずが、その子息と婚約したと触れ回っている令嬢がいて混乱することになった。
令嬢の勘違いだと誰もが思っていたが、その勘違いの始まりが最近ではなかったことに気づいたのは、ジュリアだけだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる