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悪役令嬢は化けの皮を剥ぐ
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「なんとおっしゃっても構いませんけれど、先生をお疑いになるのはよろしくないと思いましてよ。ノア先生の証言だけでは信用できないと言われるのであれば、他の生徒のみなさんにも確認いただいてけっこうですわ」
「他の生徒?」
今度はエマではなくライアンが答える。
「ええ。私が保健室に行くまでに多くのみなさんが目撃しておりますので」
「ああ、とても目立ってましたからね」
ノア、それ以上は言わなくていいわよ。
間違ってもお姫様抱っこのことは言わないでー!
冷や汗なのか羞恥心からくる変な汗なのかわからない汗をかいている私をよそに話は続いていく。
「では証言者を連れてくることはできるか?」
「連れてくるのは難しいかもしれませんわ。目撃した生徒数はかなりの人数ですし」
「なるほど」
ライアンはそう言うと黙ってしまう。
エマはと見れば、ものすごい目で私を睨んでいた。
おおう。
眼力がすごいわ。
「そういえば、不審な手紙をお調べいただくことはできるのかしら?」
私の質問にライアンが問うような視線を向けてきた。
「気になってはいたのですが、他のことでバタバタしていてまだこの手紙を確認しておりませんの」
そう言って私はポケットから例の手紙を取り出した。
「差出人不明だなんて怖いですし、今ここで開封しても?」
「もちろんだ」
ライアンの許可を得て手紙を開封する。
あ。
私は指を怪我しているからノアが開封してくれたわよ。
『エレナ・ウェルズ公爵令嬢。今から30分後に音楽室に来られたし』
「まぁ」
私は驚きを表情に出す。
エマが私を呼び出すことはわかっていたからどんな文面が書いてあるのかと思っていたけれど…。
まさかの用件だけだなんてびっくりよ。
「これはいったいどういうことでしょう」
私は驚きの後に今度は怯えを滲ませて不安げな表情を作った。
「どなたかが私を音楽室に呼び出そうとしたということですわよね?」
「エマ嬢のバイオリンの件を考えても、エレナ嬢を犯人に仕立て上げようとしたと考えるのが自然かと思いますが」
私の言葉に続いてノアが言う。
ノア、援護射撃をありがとう。
「そうだな…」
ライアンが思案げな顔をする。
「この手紙を預かってもいいだろうか?」
「もちろんですわ」
私としては調べてくれるなら願ったり叶ったりだ。
ちらりとエマを見ると、彼女はうつむいていてその表情は見えない。
「エマ様」
私の呼びかけにエマが顔を上げる。
「私が犯人ではないと納得していただけたかしら?」
「それは…そうですね」
しぶしぶ返事をしているのが丸わかりな状態でエマが答える。
「エマ様、悪いことをしたら謝るのは子どもでも知っていることですわ。今回私は理由もなく糾弾されたわけですし、私に何か言うことはないのかしら?」
私の追求にエマが唇を噛み締める。
悔しいでしょうね。
思い通りにことが運ぶと思ったら思ってもみない結果になって。
でもそれは結局自分のせい。
何もしていないエレナを陥れようとするからこういうことになるのよ。
「思い込みで言いがかりをつけてしまい、申し訳ありませんでした」
握りしめている拳が言葉を裏切っているけれど、それはまぁよしとしましょう。
「エマ様、私は必要以上に責めることはいたしませんわ。謝罪していただければけっこうですの。今後このようなことは気をつけてくださいね」
エレナの寛大さを見せつけるように言って私はエマを許した。
はっきり言って腹は立つけれど、ここでやり込めるよりもエレナの余裕を見せた方が周りからの印象はいいだろう。
それにエマはこれからもやらかしてくれそうだしね。
やり込める機会はまた巡ってくるに違いない。
まぁそれでも、もうひと恥かいてもらうわ。
「そうですわ、ライアン様」
だから私はライアンに話しかける。
エマ、これで終わりではないのよ。
「他の生徒?」
今度はエマではなくライアンが答える。
「ええ。私が保健室に行くまでに多くのみなさんが目撃しておりますので」
「ああ、とても目立ってましたからね」
ノア、それ以上は言わなくていいわよ。
間違ってもお姫様抱っこのことは言わないでー!
冷や汗なのか羞恥心からくる変な汗なのかわからない汗をかいている私をよそに話は続いていく。
「では証言者を連れてくることはできるか?」
「連れてくるのは難しいかもしれませんわ。目撃した生徒数はかなりの人数ですし」
「なるほど」
ライアンはそう言うと黙ってしまう。
エマはと見れば、ものすごい目で私を睨んでいた。
おおう。
眼力がすごいわ。
「そういえば、不審な手紙をお調べいただくことはできるのかしら?」
私の質問にライアンが問うような視線を向けてきた。
「気になってはいたのですが、他のことでバタバタしていてまだこの手紙を確認しておりませんの」
そう言って私はポケットから例の手紙を取り出した。
「差出人不明だなんて怖いですし、今ここで開封しても?」
「もちろんだ」
ライアンの許可を得て手紙を開封する。
あ。
私は指を怪我しているからノアが開封してくれたわよ。
『エレナ・ウェルズ公爵令嬢。今から30分後に音楽室に来られたし』
「まぁ」
私は驚きを表情に出す。
エマが私を呼び出すことはわかっていたからどんな文面が書いてあるのかと思っていたけれど…。
まさかの用件だけだなんてびっくりよ。
「これはいったいどういうことでしょう」
私は驚きの後に今度は怯えを滲ませて不安げな表情を作った。
「どなたかが私を音楽室に呼び出そうとしたということですわよね?」
「エマ嬢のバイオリンの件を考えても、エレナ嬢を犯人に仕立て上げようとしたと考えるのが自然かと思いますが」
私の言葉に続いてノアが言う。
ノア、援護射撃をありがとう。
「そうだな…」
ライアンが思案げな顔をする。
「この手紙を預かってもいいだろうか?」
「もちろんですわ」
私としては調べてくれるなら願ったり叶ったりだ。
ちらりとエマを見ると、彼女はうつむいていてその表情は見えない。
「エマ様」
私の呼びかけにエマが顔を上げる。
「私が犯人ではないと納得していただけたかしら?」
「それは…そうですね」
しぶしぶ返事をしているのが丸わかりな状態でエマが答える。
「エマ様、悪いことをしたら謝るのは子どもでも知っていることですわ。今回私は理由もなく糾弾されたわけですし、私に何か言うことはないのかしら?」
私の追求にエマが唇を噛み締める。
悔しいでしょうね。
思い通りにことが運ぶと思ったら思ってもみない結果になって。
でもそれは結局自分のせい。
何もしていないエレナを陥れようとするからこういうことになるのよ。
「思い込みで言いがかりをつけてしまい、申し訳ありませんでした」
握りしめている拳が言葉を裏切っているけれど、それはまぁよしとしましょう。
「エマ様、私は必要以上に責めることはいたしませんわ。謝罪していただければけっこうですの。今後このようなことは気をつけてくださいね」
エレナの寛大さを見せつけるように言って私はエマを許した。
はっきり言って腹は立つけれど、ここでやり込めるよりもエレナの余裕を見せた方が周りからの印象はいいだろう。
それにエマはこれからもやらかしてくれそうだしね。
やり込める機会はまた巡ってくるに違いない。
まぁそれでも、もうひと恥かいてもらうわ。
「そうですわ、ライアン様」
だから私はライアンに話しかける。
エマ、これで終わりではないのよ。
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