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悪役令嬢は観察する
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兄がどんな人なのかはあまり記憶がない。
ゲームだけではなくエレナの記憶を探ってもそれほど出てこないということは、本当にこの兄妹はコミュニケーションを取ることが少なかったのだろう。
となると、今の私の目から見て兄がどんな人なのか探っておく必要がある。
変な話、別に兄がヒロインと恋に落ちても問題ないといえばない。
私に余波がこなければいくらでも好きにどうぞなのだが。
残念ながらここが乙女ゲームであると考えると、攻略対象とヒロインが恋に落ちるイコール悪役令嬢であるエレナの破滅なので、放置ができない。
とりあえずは現状確認をして、その後はヒロインが誰のルートを選ぶかによるだろう。
というわけで、まずは兄の観察だ。
「4月からお兄さまと同じ学園に通えるようになれて嬉しいですわ」
「嬉しい?」
「ええ。たった二人の兄妹ですもの。家でも全然お会いできないですから寂しく思っていましたの。学園に通うようになればお会いできるでしょう?」
私の言葉に兄の眉間にしわが寄る。
兄よ、妹の可愛らしい発言になぜその表情なのか。
「今までほとんど交流はなかったと思うが、なぜ突然そんなことを言い出したんだ?」
交流ですって。
妹とのやりとりを交流という兄。
他人行儀も甚だしい。
兄にとってエレナは職場の同僚以上に遠い存在なのかもしれない。
「いやですわ。今までもお兄さまにお会いしたかったのですけど、お兄さまが全然家に帰ってこないんですもの。お会いする機会がなかったのです」
兄が「あー」とか「うー」とかよくわからない言葉を口の中で呟いている。
なるほど。
あえて寄りつかないようにしていたということね。
「これからは同じ学園内、たまにはこちらにお邪魔してもよろしいかしら?」
もちろん、来るにしてもヒロインが兄ルートでは無い場合に限定されるけど。
「あー…そうだな。何かわからないことがあれば寄るといい」
ふーむ。
今の兄の態度を見る限り、現時点では兄からエレナへの否定的な感情は見られない。
となると、もしエレナを断罪することになるのであれば、ヒロインと出会ってから、ということね。
まぁ、現時点で不仲であるよりはよほどいい。
あとはヒロインが兄ルートに入らないことを祈るべきか。
身内が敵に回るのって面倒なのよね。
ただでさえ両親が味方とは思えないから、せめて兄には手を煩わされたくない。
兄よ、頼むから大人しくしていてちょうだい。
ゲームだけではなくエレナの記憶を探ってもそれほど出てこないということは、本当にこの兄妹はコミュニケーションを取ることが少なかったのだろう。
となると、今の私の目から見て兄がどんな人なのか探っておく必要がある。
変な話、別に兄がヒロインと恋に落ちても問題ないといえばない。
私に余波がこなければいくらでも好きにどうぞなのだが。
残念ながらここが乙女ゲームであると考えると、攻略対象とヒロインが恋に落ちるイコール悪役令嬢であるエレナの破滅なので、放置ができない。
とりあえずは現状確認をして、その後はヒロインが誰のルートを選ぶかによるだろう。
というわけで、まずは兄の観察だ。
「4月からお兄さまと同じ学園に通えるようになれて嬉しいですわ」
「嬉しい?」
「ええ。たった二人の兄妹ですもの。家でも全然お会いできないですから寂しく思っていましたの。学園に通うようになればお会いできるでしょう?」
私の言葉に兄の眉間にしわが寄る。
兄よ、妹の可愛らしい発言になぜその表情なのか。
「今までほとんど交流はなかったと思うが、なぜ突然そんなことを言い出したんだ?」
交流ですって。
妹とのやりとりを交流という兄。
他人行儀も甚だしい。
兄にとってエレナは職場の同僚以上に遠い存在なのかもしれない。
「いやですわ。今までもお兄さまにお会いしたかったのですけど、お兄さまが全然家に帰ってこないんですもの。お会いする機会がなかったのです」
兄が「あー」とか「うー」とかよくわからない言葉を口の中で呟いている。
なるほど。
あえて寄りつかないようにしていたということね。
「これからは同じ学園内、たまにはこちらにお邪魔してもよろしいかしら?」
もちろん、来るにしてもヒロインが兄ルートでは無い場合に限定されるけど。
「あー…そうだな。何かわからないことがあれば寄るといい」
ふーむ。
今の兄の態度を見る限り、現時点では兄からエレナへの否定的な感情は見られない。
となると、もしエレナを断罪することになるのであれば、ヒロインと出会ってから、ということね。
まぁ、現時点で不仲であるよりはよほどいい。
あとはヒロインが兄ルートに入らないことを祈るべきか。
身内が敵に回るのって面倒なのよね。
ただでさえ両親が味方とは思えないから、せめて兄には手を煩わされたくない。
兄よ、頼むから大人しくしていてちょうだい。
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