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悪役令嬢は感謝される
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デュランの妹はミラというらしい。
栗色の髪にヘーゼル色の瞳はデュランと同じだ。
今12歳と言っていたからデュランとは11歳の歳の差になるのだろう。
12歳にしてはミラが幼い感じがするのはデュランがミラを大事にするあまり悪い虫とか嫌な現実をなるべく見せないようにしているからだろうか。
けっこうな純粋培養に見えるけど?
むしろ貴族の方が表向きには純粋に見せて裏ではドロドロなんてことが多いのかもしれない。
いずれにしても、ミラにはこちらを癒すようなオーラがあった。
あの三男もミラなら自分を拒まないと思ったのか。
ミラにとっては迷惑以外の何物でもないけれど。
救出したミラと共に私は情報ギルドのあるカフェに向かった。
「お兄ちゃん!」
カフェに飛び込んだミラがデュランに抱きつく。
デュランもミラをしっかりと抱きしめた。
今日ティミード家に行くことを伝えてあったからか、カフェは臨時休業になっている。
「良かった…良かった、ミラ!!」
「うう…うえーん」
デュランの腕の中でミラが泣き出した。
今までは我慢していたのだろうか。
それとも安心したから?
どちらにしても、ミラが殺されてデュランが心に大きな傷を負うということが防げて良かった。
あんなに可愛いミラがあのクズ男に理不尽に命を奪われる事態にならなくて本当に本当に良かった。
二人の喜ぶ姿を見て、不覚にももらい泣きしてしまいそうだ。
「お嬢さま、目から鼻水が出そうですよ」
ダグラス、お前は私をなんだと思っているの。
そしてそんなベタな発言では面白くない。
どうせツッコミを入れるならもっと鋭いのを頼むわ。
「エレナ嬢、ミラを助けてくれて、本当にありがとう」
いつの間に『お嬢ちゃん』から『エレナ嬢』に昇格したのかしら?
「お礼には及びませんわ。ミラ様を助けるのは契約履行のための条件でしたし」
「そうだとしても、だ。我々だけでは助けられなかったかもしれない」
「それなら、契約は正式に結ばれたということで。今後は私からの依頼、よろしくお願いいたしますね」
「もちろんだ」
契約成立。
これで理不尽な情報操作で評判を貶められる心配も無くなったし、情報は誰よりも先に手に入れられるようになったし、なによりも、もし断罪されても路頭に迷う可能性がかなり減った。
契約の条件ではあったけれどミラを助けられたのは良かった。
あんなクズ男にこんなに可愛い子が虐げられるなんて許せない。
それに。
『妹が…ディミード家の三男に殺された。あの男は許せない。でもミラを救えなかった自分も許せないんだ』
ゲームの中ではたった一行しか出てこないミラだけど、現実に会ってしまえばその存在は確かにそこに在るのだから。
今までだって感じていたこと。
たとえここが乙女ゲームの世界だったとしても、今ここにいる私にとってこの世界は現実であると、改めて感じたのだった。
栗色の髪にヘーゼル色の瞳はデュランと同じだ。
今12歳と言っていたからデュランとは11歳の歳の差になるのだろう。
12歳にしてはミラが幼い感じがするのはデュランがミラを大事にするあまり悪い虫とか嫌な現実をなるべく見せないようにしているからだろうか。
けっこうな純粋培養に見えるけど?
むしろ貴族の方が表向きには純粋に見せて裏ではドロドロなんてことが多いのかもしれない。
いずれにしても、ミラにはこちらを癒すようなオーラがあった。
あの三男もミラなら自分を拒まないと思ったのか。
ミラにとっては迷惑以外の何物でもないけれど。
救出したミラと共に私は情報ギルドのあるカフェに向かった。
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「良かった…良かった、ミラ!!」
「うう…うえーん」
デュランの腕の中でミラが泣き出した。
今までは我慢していたのだろうか。
それとも安心したから?
どちらにしても、ミラが殺されてデュランが心に大きな傷を負うということが防げて良かった。
あんなに可愛いミラがあのクズ男に理不尽に命を奪われる事態にならなくて本当に本当に良かった。
二人の喜ぶ姿を見て、不覚にももらい泣きしてしまいそうだ。
「お嬢さま、目から鼻水が出そうですよ」
ダグラス、お前は私をなんだと思っているの。
そしてそんなベタな発言では面白くない。
どうせツッコミを入れるならもっと鋭いのを頼むわ。
「エレナ嬢、ミラを助けてくれて、本当にありがとう」
いつの間に『お嬢ちゃん』から『エレナ嬢』に昇格したのかしら?
「お礼には及びませんわ。ミラ様を助けるのは契約履行のための条件でしたし」
「そうだとしても、だ。我々だけでは助けられなかったかもしれない」
「それなら、契約は正式に結ばれたということで。今後は私からの依頼、よろしくお願いいたしますね」
「もちろんだ」
契約成立。
これで理不尽な情報操作で評判を貶められる心配も無くなったし、情報は誰よりも先に手に入れられるようになったし、なによりも、もし断罪されても路頭に迷う可能性がかなり減った。
契約の条件ではあったけれどミラを助けられたのは良かった。
あんなクズ男にこんなに可愛い子が虐げられるなんて許せない。
それに。
『妹が…ディミード家の三男に殺された。あの男は許せない。でもミラを救えなかった自分も許せないんだ』
ゲームの中ではたった一行しか出てこないミラだけど、現実に会ってしまえばその存在は確かにそこに在るのだから。
今までだって感じていたこと。
たとえここが乙女ゲームの世界だったとしても、今ここにいる私にとってこの世界は現実であると、改めて感じたのだった。
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