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第一部終章
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「ん――」
太陽の光が差し込み目が覚めた。時計を見るともう昼ごろ。あれほどの死闘の翌日とはいえ普段ならば考えられないような時間である。あとで日課の素振りをしよう。
「椿くん、入りますね」
襖を開けて飛鳥が部屋に入ってくる。
「よかった。起きたんですね」
「飛鳥さん、おはよう。っつ――」
挨拶をして起き上がろうとする。が、身体の節々に痛みが走り上手く起き上がれない。
「あれ、おかしいな?」
「無茶しないでください。魔眼のおかげで傷が塞がったといってもまだ万全の状態じゃないんですから」
「大丈夫、ちょっとふらついただけだよ」
何とか上半身だけ起こし、苦笑する。
「あ、キキョウを起こさないと」
「キキョウさんなら朝早くから起きてますよ。なんだか張り切ってました」
「そ、そんな珍しいことが――」
キキョウも疲れて寝ていると思っていた。完璧に予想外である。何かの前触れだろうか。
「椿くん、昨日は聞きそびれちゃいましたけど、教えてくれませんか、十年前に何があったのかを」
「そうだね。飛鳥さんにはちゃんと説明するよ」
「お願いします」
少し長い話になる。飛鳥に座布団を進め座ってもらう。どこから話したものかと悩み、最初から話始めた。
幼い自分が森を探検中、キキョウと出会ったこと。幼かった自分は無邪気に彼女に話しかけ、友達となった。
毎日一緒に遊ぶようになりクリスマスの日。キキョウの誕生日と知った自分は彼女にプレゼントをあげ、前触れもなく奴が現れ、全てを壊していった。
そして――
「その時死にかけた僕はキキョウと左眼を交換することで命を救われたんだ」
左眼に触れる。自分の物ではない、だが最早自分の一部として溶け込んだ眼を。
「前例はありませんが、確かにその方法なら椿くんを助けることが可能かもしれません」
眼の交換。それが死んだはずの自分が生きている秘密。
他人の魔力が身体を破壊するというならば、魔力を生み出す臓器を移し変えればいい。それならばその魔力は紛れもなく本人の物となるのだから。
「そしてキキョウは魔眼を封印して、十年間廃墟に住み続け、アーサーが再びやってくるのに備えていた」
「魔力の扱い方を知らない椿くんにとって短時間なら恩恵をもたらす魔眼が逆に身体を蝕む諸刃となったから。記憶を消したのは罪の意識から。椿くんが魔眼を保有していることが他者に知られれば椿くんも狙われる。目撃者がいなかったとはいえ何が原因でばれるかもわからない。魔眼の封印が解ける可能性もある。彼女はあの場所で椿くんを見守ると同時に、自らを囮にして世界を欺き続けてきた」
「僕は全てを忘れて平穏に生きてきた。キキョウが辛い思いをしていたというのに――」
「そんなに自分を卑下しないでください」
自らを蔑む椿の手を握り飛鳥が語る。
「きっと、キキョウさんにとって椿くんと過ごした時間は本当に楽しくて、幸せだったんだと思います。それこそ自分の全てを捨ててもいいと思えるほどに。だからこそ、椿くんと再会したことが本当に嬉しくて、たまらなくなって、椿くんの傍にいたいと願ってしまったんですよ」
「そうかな?」
「ええ、きっとそうです。私が保証します」
他の誰でもない、飛鳥にそう言ってもらえると気が和らぐ。少しだけ赦されたような気がした。
「ありがとう。気が楽になったよ」
「どういたしまして」
にっこりと笑う飛鳥。この笑顔に自分はどれだけ助けられたことか。
同時、襖が開きキキョウがやってきた。
「おはよう、椿くん。もうお昼よ」
「おはよう。ごめんね、すぐに起きるよ」
「いいえ、まだ駄目よ」
「まだ?」
ええ、と言ってキキョウは頷く。
「今日はクリスマスよ。約束通り盛大に祝うために目下準備中。準備が出来るまで椿くんは寝てて」
「準備中って――」
ここ数日大変だったために買い物にも行けてないというのに。
「主に食事よ」
「しょ、食事!?」
「ええ、祝い事に食事は欠かせないわ。それに椿くんは栄養のある物を食べてもらって早く元気になってもらいたいもの」
キキョウが廊下から土鍋を持ってきて椿の傍に座る。
「そ、それは?」
「お粥よ。体調が悪い人にはお粥がいいとテレビで言っていたわ」
「そうか、でも今はお腹いっぱいだから後で食べるよ」
何故だろうか、前にも似たようなことがあった気がする。これがデジャブという奴か。最早嫌な予感しかしない。多分今の状態であのお粥を食べれば致命傷になる。
「そう、いらないのね――」
「と、思ったけどいい匂いのせいで急にお腹が減ってきたよ。やっぱり今食べたいな」
キキョウのしょんぼりとした顔。そんなものを見せられては食べない訳にはいかない。
「椿くんは食いしん坊なのね。でも安心して。いっぱい作ってあるから」
「もちろん全部食べるよ」
キキョウがスプーンでお粥を掬い椿の口元に運ぶ。
これを食べれば命の保証はない。もう戻ってこれなくなるかも知れない。
それでもこれを食べるのか。自分にはその覚悟があるのか。
キキョウの顔を見つめる。彼女は期待に満ちた眼をしている。
愚問だ。キキョウの期待に応えるためならばこの命など簡単にくれてやる。
「今日だけ、今日だけは見逃してあげましょう――」
飛鳥が何か小声で呟いている。上手く聞き取れないが後でそのことも覚悟しなければならない気がする。
「くっ――」
恐る恐ると近づく。
「い、いただきます」
パクリと思い切って口に含んだ。刹那、口の中に形容し難い味とスライムのような触感が広がる。
「どうかしら」
「うん、おいしいよ」
「それはよかったわ」
嬉しそうなキキョウの笑顔。それが見れただけで自分の選択に間違いはなかったと確信を持てる。
(あ、これはダメだ――)
前回の料理の時は何とか食べきることができた。だが今回は一口で意識が飛びそうになる。破壊力が段違いである。
(そうか、成長したんだね、キキョウ――)
ここ数日で幾度となく体験した意識が無くなる感覚。
身体の自由が奪われ布団に倒れる。
「あら、やっぱりまだ疲れてたのね」
布団を被せられる。額にひんやりとしたキキョウの手が触れる。
「お休みなさい、椿くん」
キキョウの言葉と共に椿は眠りにつく。
あの夜、自分に足りない物を見つけた。
無くしたものを取り戻した。
そこに至るまで何度も道に迷い続けた。
だがもう迷うことはない。
これからの日々は彼女と共に在る。
幼い頃に出会った魔法使いの少女と共に――
太陽の光が差し込み目が覚めた。時計を見るともう昼ごろ。あれほどの死闘の翌日とはいえ普段ならば考えられないような時間である。あとで日課の素振りをしよう。
「椿くん、入りますね」
襖を開けて飛鳥が部屋に入ってくる。
「よかった。起きたんですね」
「飛鳥さん、おはよう。っつ――」
挨拶をして起き上がろうとする。が、身体の節々に痛みが走り上手く起き上がれない。
「あれ、おかしいな?」
「無茶しないでください。魔眼のおかげで傷が塞がったといってもまだ万全の状態じゃないんですから」
「大丈夫、ちょっとふらついただけだよ」
何とか上半身だけ起こし、苦笑する。
「あ、キキョウを起こさないと」
「キキョウさんなら朝早くから起きてますよ。なんだか張り切ってました」
「そ、そんな珍しいことが――」
キキョウも疲れて寝ていると思っていた。完璧に予想外である。何かの前触れだろうか。
「椿くん、昨日は聞きそびれちゃいましたけど、教えてくれませんか、十年前に何があったのかを」
「そうだね。飛鳥さんにはちゃんと説明するよ」
「お願いします」
少し長い話になる。飛鳥に座布団を進め座ってもらう。どこから話したものかと悩み、最初から話始めた。
幼い自分が森を探検中、キキョウと出会ったこと。幼かった自分は無邪気に彼女に話しかけ、友達となった。
毎日一緒に遊ぶようになりクリスマスの日。キキョウの誕生日と知った自分は彼女にプレゼントをあげ、前触れもなく奴が現れ、全てを壊していった。
そして――
「その時死にかけた僕はキキョウと左眼を交換することで命を救われたんだ」
左眼に触れる。自分の物ではない、だが最早自分の一部として溶け込んだ眼を。
「前例はありませんが、確かにその方法なら椿くんを助けることが可能かもしれません」
眼の交換。それが死んだはずの自分が生きている秘密。
他人の魔力が身体を破壊するというならば、魔力を生み出す臓器を移し変えればいい。それならばその魔力は紛れもなく本人の物となるのだから。
「そしてキキョウは魔眼を封印して、十年間廃墟に住み続け、アーサーが再びやってくるのに備えていた」
「魔力の扱い方を知らない椿くんにとって短時間なら恩恵をもたらす魔眼が逆に身体を蝕む諸刃となったから。記憶を消したのは罪の意識から。椿くんが魔眼を保有していることが他者に知られれば椿くんも狙われる。目撃者がいなかったとはいえ何が原因でばれるかもわからない。魔眼の封印が解ける可能性もある。彼女はあの場所で椿くんを見守ると同時に、自らを囮にして世界を欺き続けてきた」
「僕は全てを忘れて平穏に生きてきた。キキョウが辛い思いをしていたというのに――」
「そんなに自分を卑下しないでください」
自らを蔑む椿の手を握り飛鳥が語る。
「きっと、キキョウさんにとって椿くんと過ごした時間は本当に楽しくて、幸せだったんだと思います。それこそ自分の全てを捨ててもいいと思えるほどに。だからこそ、椿くんと再会したことが本当に嬉しくて、たまらなくなって、椿くんの傍にいたいと願ってしまったんですよ」
「そうかな?」
「ええ、きっとそうです。私が保証します」
他の誰でもない、飛鳥にそう言ってもらえると気が和らぐ。少しだけ赦されたような気がした。
「ありがとう。気が楽になったよ」
「どういたしまして」
にっこりと笑う飛鳥。この笑顔に自分はどれだけ助けられたことか。
同時、襖が開きキキョウがやってきた。
「おはよう、椿くん。もうお昼よ」
「おはよう。ごめんね、すぐに起きるよ」
「いいえ、まだ駄目よ」
「まだ?」
ええ、と言ってキキョウは頷く。
「今日はクリスマスよ。約束通り盛大に祝うために目下準備中。準備が出来るまで椿くんは寝てて」
「準備中って――」
ここ数日大変だったために買い物にも行けてないというのに。
「主に食事よ」
「しょ、食事!?」
「ええ、祝い事に食事は欠かせないわ。それに椿くんは栄養のある物を食べてもらって早く元気になってもらいたいもの」
キキョウが廊下から土鍋を持ってきて椿の傍に座る。
「そ、それは?」
「お粥よ。体調が悪い人にはお粥がいいとテレビで言っていたわ」
「そうか、でも今はお腹いっぱいだから後で食べるよ」
何故だろうか、前にも似たようなことがあった気がする。これがデジャブという奴か。最早嫌な予感しかしない。多分今の状態であのお粥を食べれば致命傷になる。
「そう、いらないのね――」
「と、思ったけどいい匂いのせいで急にお腹が減ってきたよ。やっぱり今食べたいな」
キキョウのしょんぼりとした顔。そんなものを見せられては食べない訳にはいかない。
「椿くんは食いしん坊なのね。でも安心して。いっぱい作ってあるから」
「もちろん全部食べるよ」
キキョウがスプーンでお粥を掬い椿の口元に運ぶ。
これを食べれば命の保証はない。もう戻ってこれなくなるかも知れない。
それでもこれを食べるのか。自分にはその覚悟があるのか。
キキョウの顔を見つめる。彼女は期待に満ちた眼をしている。
愚問だ。キキョウの期待に応えるためならばこの命など簡単にくれてやる。
「今日だけ、今日だけは見逃してあげましょう――」
飛鳥が何か小声で呟いている。上手く聞き取れないが後でそのことも覚悟しなければならない気がする。
「くっ――」
恐る恐ると近づく。
「い、いただきます」
パクリと思い切って口に含んだ。刹那、口の中に形容し難い味とスライムのような触感が広がる。
「どうかしら」
「うん、おいしいよ」
「それはよかったわ」
嬉しそうなキキョウの笑顔。それが見れただけで自分の選択に間違いはなかったと確信を持てる。
(あ、これはダメだ――)
前回の料理の時は何とか食べきることができた。だが今回は一口で意識が飛びそうになる。破壊力が段違いである。
(そうか、成長したんだね、キキョウ――)
ここ数日で幾度となく体験した意識が無くなる感覚。
身体の自由が奪われ布団に倒れる。
「あら、やっぱりまだ疲れてたのね」
布団を被せられる。額にひんやりとしたキキョウの手が触れる。
「お休みなさい、椿くん」
キキョウの言葉と共に椿は眠りにつく。
あの夜、自分に足りない物を見つけた。
無くしたものを取り戻した。
そこに至るまで何度も道に迷い続けた。
だがもう迷うことはない。
これからの日々は彼女と共に在る。
幼い頃に出会った魔法使いの少女と共に――
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