前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります

京衛武百十

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転生の章

ボリスとペトロ

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そうしてアーク家の一員として頑張ってくれてるマリヤと一緒に手伝ってくれてるのが、ボリスとペトロだった。

ボリスはイワンと同じで足が不自由だったことで捨てられた子だが、どうやらイワンのような絵本作家としての才能はなくて、どちらかと言えば鍛冶の仕事に興味があるようだ。俺が道具やその使い方を教えてやると熱心に聞いてくる。

また、ペトロは耳が聞こえないことで捨てられた子であり、実は知能にも若干の遅れが見られる。もっともそれは、耳が聞こえないことによって言語能力の発達が遅れてるのが原因ではないかと俺は見ているので、対処次第では変わってくる可能性もあるだろう。

どちらも、当人の状況に合わせて対処すれば済む話だ。

『こちらの都合に合わせられないのなら価値はない』

などと切り捨てる必要はないさ。そもそも、アーク家においちゃ大した問題じゃないしな。

実際、ペトロも、勉強には関心を示してくれている。耳が聞こえないからしゃべることはできなくても、文字を覚えれば筆談でコミュニケーションも取れる。今でもある程度はジェスチャーで意思を伝えることもできてる。

カーシャの時と同じで、諦める必要もない。できることは何かあるだろう。

そして大事なのは、

『価値がなければ人間じゃない。というわけじゃない』

ってことだ。価値のあるなしは、所詮、特定の誰かから見た主観でしかない。どこかの誰かにとっては価値がなくとも、他の誰かにとってはそうじゃない。なんてことも当たり前のようにあるだろう? ダイヤモンドに価値があると思ってるのは、それに価値を見出してる人間がそう言ってるだけで、まったく興味のない人間からしたらただの<綺麗な石ころ>でしかないしな。

村の連中がボリスやペトロに『価値がない』と言っても、それは村の連中の主観でしかないんだよ。

自分が勝手に決めた<価値>で他者の命をどうこうしようなんて奴自身が、社会にとっちゃリスクだろ。そいつの勝手で<生きてていい人間><死ぬべき人間>が決められちまうんだぞ? そんなクズ野郎に俺の家族の命の価値を決められてたまるかってんだ! 俺にとっちゃそいつこそが、

<生きてる価値もないクズ>

だっての!

だが、俺はそれを実行には移さない。だからこそ、俺の家族の命の価値を勝手に決めることも許さない。認めない。

俺は、このアーク家を誇りに思ってる。この子達こそが、

<俺の生きてる証>

だよ。



と、みんなで食事の用意をしながらそんなことを思う。

ただ、

「……?」

最近、なんか腰が痛えんだよな……歳か?

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