392 / 398
転生の章
ボリスとペトロ
しおりを挟む
そうしてアーク家の一員として頑張ってくれてるマリヤと一緒に手伝ってくれてるのが、ボリスとペトロだった。
ボリスはイワンと同じで足が不自由だったことで捨てられた子だが、どうやらイワンのような絵本作家としての才能はなくて、どちらかと言えば鍛冶の仕事に興味があるようだ。俺が道具やその使い方を教えてやると熱心に聞いてくる。
また、ペトロは耳が聞こえないことで捨てられた子であり、実は知能にも若干の遅れが見られる。もっともそれは、耳が聞こえないことによって言語能力の発達が遅れてるのが原因ではないかと俺は見ているので、対処次第では変わってくる可能性もあるだろう。
どちらも、当人の状況に合わせて対処すれば済む話だ。
『こちらの都合に合わせられないのなら価値はない』
などと切り捨てる必要はないさ。そもそも、アーク家においちゃ大した問題じゃないしな。
実際、ペトロも、勉強には関心を示してくれている。耳が聞こえないからしゃべることはできなくても、文字を覚えれば筆談でコミュニケーションも取れる。今でもある程度はジェスチャーで意思を伝えることもできてる。
カーシャの時と同じで、諦める必要もない。できることは何かあるだろう。
そして大事なのは、
『価値がなければ人間じゃない。というわけじゃない』
ってことだ。価値のあるなしは、所詮、特定の誰かから見た主観でしかない。どこかの誰かにとっては価値がなくとも、他の誰かにとってはそうじゃない。なんてことも当たり前のようにあるだろう? ダイヤモンドに価値があると思ってるのは、それに価値を見出してる人間がそう言ってるだけで、まったく興味のない人間からしたらただの<綺麗な石ころ>でしかないしな。
村の連中がボリスやペトロに『価値がない』と言っても、それは村の連中の主観でしかないんだよ。
自分が勝手に決めた<価値>で他者の命をどうこうしようなんて奴自身が、社会にとっちゃリスクだろ。そいつの勝手で<生きてていい人間><死ぬべき人間>が決められちまうんだぞ? そんなクズ野郎に俺の家族の命の価値を決められてたまるかってんだ! 俺にとっちゃそいつこそが、
<生きてる価値もないクズ>
だっての!
だが、俺はそれを実行には移さない。だからこそ、俺の家族の命の価値を勝手に決めることも許さない。認めない。
俺は、このアーク家を誇りに思ってる。この子達こそが、
<俺の生きてる証>
だよ。
と、みんなで食事の用意をしながらそんなことを思う。
ただ、
「……?」
最近、なんか腰が痛えんだよな……歳か?
ボリスはイワンと同じで足が不自由だったことで捨てられた子だが、どうやらイワンのような絵本作家としての才能はなくて、どちらかと言えば鍛冶の仕事に興味があるようだ。俺が道具やその使い方を教えてやると熱心に聞いてくる。
また、ペトロは耳が聞こえないことで捨てられた子であり、実は知能にも若干の遅れが見られる。もっともそれは、耳が聞こえないことによって言語能力の発達が遅れてるのが原因ではないかと俺は見ているので、対処次第では変わってくる可能性もあるだろう。
どちらも、当人の状況に合わせて対処すれば済む話だ。
『こちらの都合に合わせられないのなら価値はない』
などと切り捨てる必要はないさ。そもそも、アーク家においちゃ大した問題じゃないしな。
実際、ペトロも、勉強には関心を示してくれている。耳が聞こえないからしゃべることはできなくても、文字を覚えれば筆談でコミュニケーションも取れる。今でもある程度はジェスチャーで意思を伝えることもできてる。
カーシャの時と同じで、諦める必要もない。できることは何かあるだろう。
そして大事なのは、
『価値がなければ人間じゃない。というわけじゃない』
ってことだ。価値のあるなしは、所詮、特定の誰かから見た主観でしかない。どこかの誰かにとっては価値がなくとも、他の誰かにとってはそうじゃない。なんてことも当たり前のようにあるだろう? ダイヤモンドに価値があると思ってるのは、それに価値を見出してる人間がそう言ってるだけで、まったく興味のない人間からしたらただの<綺麗な石ころ>でしかないしな。
村の連中がボリスやペトロに『価値がない』と言っても、それは村の連中の主観でしかないんだよ。
自分が勝手に決めた<価値>で他者の命をどうこうしようなんて奴自身が、社会にとっちゃリスクだろ。そいつの勝手で<生きてていい人間><死ぬべき人間>が決められちまうんだぞ? そんなクズ野郎に俺の家族の命の価値を決められてたまるかってんだ! 俺にとっちゃそいつこそが、
<生きてる価値もないクズ>
だっての!
だが、俺はそれを実行には移さない。だからこそ、俺の家族の命の価値を勝手に決めることも許さない。認めない。
俺は、このアーク家を誇りに思ってる。この子達こそが、
<俺の生きてる証>
だよ。
と、みんなで食事の用意をしながらそんなことを思う。
ただ、
「……?」
最近、なんか腰が痛えんだよな……歳か?
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです
ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。
転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。
前世の記憶を頼りに善悪等を判断。
貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。
2人の兄と、私と、弟と母。
母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。
ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。
前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。

選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ
暖夢 由
恋愛
【5月20日 90話完結】
5歳の時、母が亡くなった。
原因も治療法も不明の病と言われ、発症1年という早さで亡くなった。
そしてまだ5歳の私には母が必要ということで通例に習わず、1年の喪に服すことなく新しい母が連れて来られた。彼女の隣には不思議なことに父によく似た女の子が立っていた。私とあまり変わらないくらいの歳の彼女は私の2つ年上だという。
これからは姉と呼ぶようにと言われた。
そして、私が14歳の時、突然謎の病を発症した。
母と同じ原因も治療法も不明の病。母と同じ症状が出始めた時に、この病は遺伝だったのかもしれないと言われた。それは私が社交界デビューするはずの年だった。
私は社交界デビューすることは叶わず、そのまま治療することになった。
たまに調子がいい日もあるが、社交界に出席する予定の日には決まって体調を崩した。医者は緊張して体調を崩してしまうのだろうといった。
でも最近はグレン様が会いに来ると約束してくれた日にも必ず体調を崩すようになってしまった。それでも以前はグレン様が心配して、私の部屋で1時間ほど話をしてくれていたのに、最近はグレン様を姉が玄関で出迎え、2人で私の部屋に来て、挨拶だけして、2人でお茶をするからと消えていくようになった。
でもそれも私の体調のせい。私が体調さえ崩さなければ……
今では月の半分はベットで過ごさなければいけないほどになってしまった。
でもある日婚約者の裏切りに気づいてしまう。
私は耐えられなかった。
もうすべてに………
病が治る見込みだってないのに。
なんて滑稽なのだろう。
もういや……
誰からも愛されないのも
誰からも必要とされないのも
治らない病の為にずっとベッドで寝ていなければいけないのも。
気付けば私は家の外に出ていた。
元々病で外に出る事がない私には専属侍女などついていない。
特に今日は症状が重たく、朝からずっと吐いていた為、父も義母も私が部屋を出るなど夢にも思っていないのだろう。
私は死ぬ場所を探していたのかもしれない。家よりも少しでも幸せを感じて死にたいと。
これから出会う人がこれまでの生活を変えてくれるとも知らずに。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる