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人生の章
アーク家の家訓
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この家庭においてマリーチカはあくまで<新入り>だ。対してトーイは、リーネに続いて<古参>である。でも、だからこそ、俺はトーイの方をまず優先する。トーイの言い分を優先する。じゃないと、新入りに対して強く不満を抱いてしまうこともあるからな。
しかし同時に、新入りであるマリーチカに対しても、新入りだからといっておざなりな態度は取らない。マリーチカはまだ実年齢で五歳だが、まぎれもなく<人間>だ。人間は人間として扱う。それが、
<アーク家の家訓>
だよ。
『自分と同じことができないから人間として扱わなくていい』
『自分にとって都合よく振る舞ってくれないから人間として扱わなくていい』
なんてのは、我が家では有り得ねえ。人間は人間だ。ここには<法律>なんて気の利いたものは、雲の上の連中が勝手に決めたものはあるのかもしれねえが、普段の生活じゃ実感としてあるわけじゃねえ。ましてや<人権>なんてものは影も形もありゃしない。
けどな、そんな世界に生きてようが人間は人間なんだよ。人間じゃねえものじゃ有り得ねえんだ。その現実を受け止められねえ奴はただの<甘ったれ>だ。
ケツの青いガキが中二病丸出しでいくらガキ臭え小理屈並べようが、人間は人間以外のものじゃ有り得ねえんだよ。現実と向き合えや、小僧!!
ってなわけで、マリヤをあやしながらマリーチカの前で膝を着いて視線を合わせて、彼女を人間として接する。
「すまんな。マリーチカ」
「……!?」
俺の態度に彼女は明らかに戸惑ってた。彼女が知る<大人>の姿とはまったく違ってただろうから当然だ。視線を逸らし、どう言えばいいのかを探ってるようだった。
そんな彼女の様子を確認した上で、俺は今度はトーイに向き直り、
「トーイもすまん。俺がちゃんと注意するべきだった」
この家の管理監督者としての責任を基に、そう告げる。すると彼は、こっちには視線を向けないままで、
「父さんは別に悪くない……でも、ごめん……言い過ぎた……」
と言ってくれた。
ああ、それでいい。今はまだそれでいい。そういう態度を恥ずかしく思うようになるにはもう少し時間がかかるだろう。
マリーチカの方も、
「……」
黙ったまま拗ねた様子で立ち尽くしていた。そこに、
「大丈夫……?」
リーネが心配気に隣の部屋から顔を出しつつ声を掛けてくる。イワンも一緒だ。
家の中での騒動を心配して気にしてくれる。それが嬉しい。どうでもいい家だったら、関心も持たないだろうしな。
マリーチカもいずれは家族になれたらいいなと思う。
しかし同時に、新入りであるマリーチカに対しても、新入りだからといっておざなりな態度は取らない。マリーチカはまだ実年齢で五歳だが、まぎれもなく<人間>だ。人間は人間として扱う。それが、
<アーク家の家訓>
だよ。
『自分と同じことができないから人間として扱わなくていい』
『自分にとって都合よく振る舞ってくれないから人間として扱わなくていい』
なんてのは、我が家では有り得ねえ。人間は人間だ。ここには<法律>なんて気の利いたものは、雲の上の連中が勝手に決めたものはあるのかもしれねえが、普段の生活じゃ実感としてあるわけじゃねえ。ましてや<人権>なんてものは影も形もありゃしない。
けどな、そんな世界に生きてようが人間は人間なんだよ。人間じゃねえものじゃ有り得ねえんだ。その現実を受け止められねえ奴はただの<甘ったれ>だ。
ケツの青いガキが中二病丸出しでいくらガキ臭え小理屈並べようが、人間は人間以外のものじゃ有り得ねえんだよ。現実と向き合えや、小僧!!
ってなわけで、マリヤをあやしながらマリーチカの前で膝を着いて視線を合わせて、彼女を人間として接する。
「すまんな。マリーチカ」
「……!?」
俺の態度に彼女は明らかに戸惑ってた。彼女が知る<大人>の姿とはまったく違ってただろうから当然だ。視線を逸らし、どう言えばいいのかを探ってるようだった。
そんな彼女の様子を確認した上で、俺は今度はトーイに向き直り、
「トーイもすまん。俺がちゃんと注意するべきだった」
この家の管理監督者としての責任を基に、そう告げる。すると彼は、こっちには視線を向けないままで、
「父さんは別に悪くない……でも、ごめん……言い過ぎた……」
と言ってくれた。
ああ、それでいい。今はまだそれでいい。そういう態度を恥ずかしく思うようになるにはもう少し時間がかかるだろう。
マリーチカの方も、
「……」
黙ったまま拗ねた様子で立ち尽くしていた。そこに、
「大丈夫……?」
リーネが心配気に隣の部屋から顔を出しつつ声を掛けてくる。イワンも一緒だ。
家の中での騒動を心配して気にしてくれる。それが嬉しい。どうでもいい家だったら、関心も持たないだろうしな。
マリーチカもいずれは家族になれたらいいなと思う。
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