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家族の章

そのまま言えねえから

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てめえが決断したことに対しててめえで責任負えないとか、そういう奴をテレビとかネットとかでも散々見てきたんじゃねえのかよ。そういうのに対しててめえはなんて言ってたよ?

『ダセェ奴』

とか言ってたんじゃねえのかよ? その<ダセェ奴>にてめえがなってることに気付けや。

なんてさすがにリーネ達の前でそのまま言えねえから、

『そうだな。その通りだ。自分で考えて自分で判断して自分で決断すればいい。それが『人間として生きる』ってことだ。獣でも家畜でもねえ<人間>だってんならそうしたらいい』

みたいな言い方をするわけだ。基本的に俺は、

『言いたいことを言ってる』

ぞ? <言い方>ってもんを考えてるだけで。リーネ達に対して言ってることは、みなそうだ。言いたいことを言ってる。言い方を考えるようにしてるだけにしか過ぎない。

大人なんだから、それができなきゃむしろおかしいだろ? 阿久津安斗仁王あんとにおはそれができなかったけどな。

だからパワハラとかも平気でやれた。気に入らねえ相手は罵倒できた。人格から何から根こそぎ否定してやった。そんな奴がなんで本気で誰かに信頼してもらえるって思えんだよ? そいつの一面だけを見て心酔しきってる<信者>とやらだったらともかく、物事を客観的に見られる奴は信頼なんかしないだろ。

リーネはこうも言う。

「正直、イワンやカーシャを連れ帰った時には、不安にもなりました。私達のことに飽きて、それで他の子を連れてきたんじゃないかって」

それは、リーネの偽らざる正直な気持ちだっただろう。俺がいくら、

『リーネもトーイも、俺の子供だ』

とか口で言ってたって、人間は嘘を吐く。上辺だけの綺麗事をいくつも並べることもある。その事実をちゃんとリーネは分かってくれてる。

「それについてはすまん。相談するべきだったかもなと反省してる。俺としちゃあ、『親が次の子供を作る時には、上の子に断ったりしないだろ?』って考えもあったんだが、自分の子と、他所の子をもらってくるのとはやっぱり違うよな。その辺、配慮が足りなかったよ」

素直に頭を下げる。こうやって、自分が間違ってたと思った時にはしっかりとそれを表明するのは大事だと思う。思うんだが、これも実は相手を選ばないと面倒なことになるのは確かなんだ。何しろ阿久津安斗仁王あんとにおは、相手がそうやって下手したてに出たら全力で付け込んでくる人間だったしな。そういう奴は確かにこの世に存在する。だから、リーネやトーイやイワンやカーシャにはちゃんと素直に頭も下げるが、村の連中相手にはそこまではしない。

『ああそうかい。じゃあ次からは考えとくわ』

的に受け流すんだよ。この辺のことも教えておかなきゃな。

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