306 / 398
家族の章
そのまま言えねえから
しおりを挟む
てめえが決断したことに対しててめえで責任負えないとか、そういう奴をテレビとかネットとかでも散々見てきたんじゃねえのかよ。そういうのに対しててめえはなんて言ってたよ?
『ダセェ奴』
とか言ってたんじゃねえのかよ? その<ダセェ奴>にてめえがなってることに気付けや。
なんてさすがにリーネ達の前でそのまま言えねえから、
『そうだな。その通りだ。自分で考えて自分で判断して自分で決断すればいい。それが『人間として生きる』ってことだ。獣でも家畜でもねえ<人間>だってんならそうしたらいい』
みたいな言い方をするわけだ。基本的に俺は、
『言いたいことを言ってる』
ぞ? <言い方>ってもんを考えてるだけで。リーネ達に対して言ってることは、みなそうだ。言いたいことを言ってる。言い方を考えるようにしてるだけにしか過ぎない。
大人なんだから、それができなきゃむしろおかしいだろ? 阿久津安斗仁王はそれができなかったけどな。
だからパワハラとかも平気でやれた。気に入らねえ相手は罵倒できた。人格から何から根こそぎ否定してやった。そんな奴がなんで本気で誰かに信頼してもらえるって思えんだよ? そいつの一面だけを見て心酔しきってる<信者>とやらだったらともかく、物事を客観的に見られる奴は信頼なんかしないだろ。
リーネはこうも言う。
「正直、イワンやカーシャを連れ帰った時には、不安にもなりました。私達のことに飽きて、それで他の子を連れてきたんじゃないかって」
それは、リーネの偽らざる正直な気持ちだっただろう。俺がいくら、
『リーネもトーイも、俺の子供だ』
とか口で言ってたって、人間は嘘を吐く。上辺だけの綺麗事をいくつも並べることもある。その事実をちゃんとリーネは分かってくれてる。
「それについてはすまん。相談するべきだったかもなと反省してる。俺としちゃあ、『親が次の子供を作る時には、上の子に断ったりしないだろ?』って考えもあったんだが、自分の子と、他所の子をもらってくるのとはやっぱり違うよな。その辺、配慮が足りなかったよ」
素直に頭を下げる。こうやって、自分が間違ってたと思った時にはしっかりとそれを表明するのは大事だと思う。思うんだが、これも実は相手を選ばないと面倒なことになるのは確かなんだ。何しろ阿久津安斗仁王は、相手がそうやって下手に出たら全力で付け込んでくる人間だったしな。そういう奴は確かにこの世に存在する。だから、リーネやトーイやイワンやカーシャにはちゃんと素直に頭も下げるが、村の連中相手にはそこまではしない。
『ああそうかい。じゃあ次からは考えとくわ』
的に受け流すんだよ。この辺のことも教えておかなきゃな。
『ダセェ奴』
とか言ってたんじゃねえのかよ? その<ダセェ奴>にてめえがなってることに気付けや。
なんてさすがにリーネ達の前でそのまま言えねえから、
『そうだな。その通りだ。自分で考えて自分で判断して自分で決断すればいい。それが『人間として生きる』ってことだ。獣でも家畜でもねえ<人間>だってんならそうしたらいい』
みたいな言い方をするわけだ。基本的に俺は、
『言いたいことを言ってる』
ぞ? <言い方>ってもんを考えてるだけで。リーネ達に対して言ってることは、みなそうだ。言いたいことを言ってる。言い方を考えるようにしてるだけにしか過ぎない。
大人なんだから、それができなきゃむしろおかしいだろ? 阿久津安斗仁王はそれができなかったけどな。
だからパワハラとかも平気でやれた。気に入らねえ相手は罵倒できた。人格から何から根こそぎ否定してやった。そんな奴がなんで本気で誰かに信頼してもらえるって思えんだよ? そいつの一面だけを見て心酔しきってる<信者>とやらだったらともかく、物事を客観的に見られる奴は信頼なんかしないだろ。
リーネはこうも言う。
「正直、イワンやカーシャを連れ帰った時には、不安にもなりました。私達のことに飽きて、それで他の子を連れてきたんじゃないかって」
それは、リーネの偽らざる正直な気持ちだっただろう。俺がいくら、
『リーネもトーイも、俺の子供だ』
とか口で言ってたって、人間は嘘を吐く。上辺だけの綺麗事をいくつも並べることもある。その事実をちゃんとリーネは分かってくれてる。
「それについてはすまん。相談するべきだったかもなと反省してる。俺としちゃあ、『親が次の子供を作る時には、上の子に断ったりしないだろ?』って考えもあったんだが、自分の子と、他所の子をもらってくるのとはやっぱり違うよな。その辺、配慮が足りなかったよ」
素直に頭を下げる。こうやって、自分が間違ってたと思った時にはしっかりとそれを表明するのは大事だと思う。思うんだが、これも実は相手を選ばないと面倒なことになるのは確かなんだ。何しろ阿久津安斗仁王は、相手がそうやって下手に出たら全力で付け込んでくる人間だったしな。そういう奴は確かにこの世に存在する。だから、リーネやトーイやイワンやカーシャにはちゃんと素直に頭も下げるが、村の連中相手にはそこまではしない。
『ああそうかい。じゃあ次からは考えとくわ』
的に受け流すんだよ。この辺のことも教えておかなきゃな。
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~
イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」
どごおおおぉっ!!
5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略)
ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。
…だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。
それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。
泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ…
旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは?
更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!?
ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか?
困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語!
※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください…
※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください…
※小説家になろう様でも掲載しております
※イラストは湶リク様に描いていただきました
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです
ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。
転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。
前世の記憶を頼りに善悪等を判断。
貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。
2人の兄と、私と、弟と母。
母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。
ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。
前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる